産業革命
フクロウ先生「糸が足りない→紡ぐ機械→織る機械→動力→輸送」。困りごとが次の発明を呼んだ連鎖で覚えよう。
30秒でつかむ
- 資本の蓄積、囲い込みなどによる労働力、石炭や鉄などの資源を背景に、18世紀後半のイギリスで始まった。
- 綿工業の機械化とワットが改良した蒸気機関によって工場制機械工業が広がり、やがて鉄道の実用化へとつながっていく。
- 資本家と労働者の階級が形成されて資本主義が確立する一方、都市や労働の問題が深刻になった。
- いつ
- 18世紀後半〜19世紀前半
- どこ
- イギリス(マンチェスターなど)
- 誰
- ワット・アークライト・スティーヴンソン
- 何
- 水力や蒸気機関で機械を動かす工場が広がり、大量生産が進んだ
詳しく
背景
18世紀のイギリスでは、大西洋三角貿易などの植民地との貿易によって、商人たちのもとに資本が蓄積されていた。農村では、地主が土地を囲い込んで大規模な農業を行う第2次囲い込みが進み、土地を失った農民の中には、農村で雇われて働く者のほか、都市へ移って労働者となる者も多い。国内には石炭や鉄鉱石も豊富にあった。さらに、インドから輸入された綿布(キャラコ)が人気を集め、綿織物を国内で安く大量に生産しようとする動きが強まったのである。
流れ
産業革命は、まず綿工業で始まった。1733年にジョン=ケイが発明した飛び杼で織る速さが上がると、糸が足りなくなる。これを補うため、1760年代からハーグリーヴズのジェニー紡績機、アークライトの水力紡績機、クロンプトンのミュール紡績機が次々に発明された。1785年にはカートライトが力織機を発明し、織る工程も機械化される。
機械を動かす力として大きな役割を果たしたのが、ワットが改良した蒸気機関である。1780年代に回転運動を生み出せるようになると、工場は川の近くでなくても建てられる。燃料の石炭と、機械の材料となる鉄の生産も伸び、手工業から工場制機械工業への転換が進んでいく。
交通の面では、運河の建設に続いて、スティーヴンソンが蒸気機関車を実用化した。1825年にストックトン・ダーリントン間で、蒸気機関車を使う初期の公共鉄道が開通し、1830年にはリヴァプール・マンチェスター間で本格的な営業鉄道が走り始める。こうした工業と交通の発展によって、イギリスは19世紀半ばには「世界の工場」とよばれた。
結果
産業革命によって、工場や機械を持つ産業資本家と、賃金を得て働く労働者という2つの階級が形成され、資本主義のしくみが確立していった。マンチェスターなどの工業都市では人口が急増し、住環境や衛生の悪化、長時間労働、子どもの労働が深刻な問題となる。賃金の低下や失業に苦しむ職人たちは、機械を打ちこわすラダイト運動を起こした。1833年には工場法が定められ、子どもの労働が制限された。産業革命はその後、ベルギーやフランス、アメリカ、ドイツなどへ広がっていく。
主な出来事
- ジョン=ケイの飛び杼
- ハーグリーヴズのジェニー紡績機(このころ)
- ワットが蒸気機関の改良で特許を取る
- アークライトの水力紡績機
- クロンプトンのミュール紡績機
- カートライトの力織機
- ストックトン・ダーリントン鉄道が開通
- リヴァプール・マンチェスター間の鉄道が開通
- 工場法
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/history/industrial-revolution/?from=print#quiz
産業革命がイギリスで最初に始まった背景として、一般に挙げられるものは?
- ◯ 植民地をまったく持っていなかった
- ◯ 資本の蓄積や、囲い込みなどによる労働力、豊富な石炭と鉄があった
- ◯ 人口が大きく減っていた
- ◯ 国王が機械の使用を命じた
正解:資本の蓄積や、囲い込みなどによる労働力、豊富な石炭と鉄があった
貿易で得た資本、働き手、燃料と材料になる資源、綿製品の需要。いくつもの条件がそろっていた。次の発明を古い順に並べよう。
- ( )飛び杼
- ( )力織機
- ( )ミュール紡績機
- ( )ジェニー紡績機
正解:飛び杼 → ジェニー紡績機 → ミュール紡績機 → 力織機
飛び杼(1733年)→ジェニー紡績機(1764年ごろ)→ミュール紡績機(1779年)→力織機(1785年)。飛び杼で織る速さが上がったことも背景に、紡ぐ機械の改良が進んだ。糸の生産が増えると、織る工程も機械化された。蒸気機関を改良し、工場の動力として広めた人物は?
- ◯ カートライト
- ◯ スティーヴンソン
- ◯ ワット
- ◯ アークライト
正解:ワット
ワットの蒸気機関が広まると、工場は川の近くでなくても建てられるようになった。スティーヴンソンは蒸気機関車を実用化した人物。賃金の低下や失業に苦しむ職人たちが、機械を打ちこわした運動を何という?
答え:____________
正解:ラダイト運動
1810年代にイギリス中部・北部で起きた。
単元のポイント
- 第2次囲い込み 18世紀、議会の承認のもとで進んだ土地の囲い込み。土地を失った農民の中から、都市へ移って工場で働く者も出た
- 飛び杼 1733年、ジョン=ケイが発明。織る速さが上がった
- 蒸気機関 ワットが改良し、工場の動力になった
- 世界の工場 19世紀のイギリスの呼び名
- ラダイト運動 1810年代、賃金の低下や失業に抗議して機械を打ちこわした職人たちの運動