免疫と疾患
カワウソ先生どの病気も「免疫のどこがどう働きすぎた・働かなくなったか」で整理すると見分けやすいよ。
30秒でつかむ
- アレルギーは、花粉などの特定の異物に免疫が過敏に反応して起こる。花粉症はその一例である。
- 自己免疫疾患は、免疫寛容が乱れ、免疫が自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう病気である。
- エイズは、HIVがヘルパーT細胞(新しいタブで開きます)に感染して破壊し、免疫のはたらきが大きく低下して起こる。
詳しく
アレルギーと花粉症・アナフィラキシー
免疫が、花粉やほこりなど本来は害の少ない異物(アレルゲン)に対して過敏に反応し、くしゃみや発疹などの症状を引き起こすことをアレルギーと呼ぶ。アレルゲンが花粉であるアレルギーを花粉症という。
アレルゲンに対する抗体が体内にできていると、再び同じアレルゲンに触れたとき、体の中の細胞からヒスタミンなどの物質が多量に放出される。その結果として起こるのが、血管が広がったり気道が狭くなったりする変化だ。この反応が、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状として現れる。
全身に急激に強く現れたアレルギー反応をアナフィラキシーと呼び、血圧の低下や呼吸の苦しさを伴うことがある。身近な疾患の例として扱われる反応の1つだ。
自己免疫疾患
免疫は、ふだん自分自身の細胞や組織には反応しないしくみ(免疫寛容)を持っている。何らかの原因でこのしくみが乱れ、免疫が自分自身の細胞や組織を異物と誤って攻撃してしまう病気を自己免疫疾患と呼ぶ。
自己免疫疾患では、攻撃される組織によって現れる症状が違う。関節の組織が攻撃される場合もあれば、皮膚や腸などの組織が標的になる場合もある。
アレルギーは体の外から来た異物に対する過敏な反応であるのに対し、自己免疫疾患は自分自身の成分を異物と誤って認識する点が異なる。どちらも、免疫が働く対象を誤ったために起こる。
エイズ(HIVとヘルパーT細胞)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、獲得免疫の中心であるヘルパーT細胞に感染し、その細胞を壊すウイルスである。ヘルパーT細胞はB細胞やキラーT細胞のはたらきを促す役割を持つ。
ヘルパーT細胞が壊されて数が減ると、B細胞による体液性免疫やキラーT細胞による細胞性免疫を促すはたらきが弱まる。すると、獲得免疫全体が十分に働かなくなる。
HIVの感染が進み、免疫のはたらきが大きく低下した状態を後天性免疫不全症候群(エイズ)と呼ぶ。免疫が弱まると、ふだんなら発症しない感染症にもかかりやすくなる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/immune-system-disorders/?from=print#quiz
花粉などの特定の異物に免疫が過敏に反応し、くしゃみや発疹などの症状が起こることを何というか。
- ◯ 免疫寛容
- ◯ 免疫記憶
- ◯ アレルギー
- ◯ 自己免疫疾患
正解:アレルギー
免疫が特定の異物(アレルゲン)に過敏に反応して症状が起こることをアレルギーと呼び、アレルゲンが花粉であるものを花粉症という。自己免疫疾患は自分自身を攻撃する病気で、アレルギーとは異なる。アレルギー反応が全身に急激に強く現れた状態を何というか。
- ◯ 自己免疫疾患
- ◯ アナフィラキシー
- ◯ 花粉症
- ◯ 免疫寛容
正解:アナフィラキシー
アレルギー反応が全身に急激に強く現れ、血圧の低下や呼吸の苦しさを伴うことがある状態をアナフィラキシーと呼ぶ。花粉症はアレルゲンが花粉であるアレルギーの例であり、全身反応を指す語ではない。免疫が自分自身の細胞や組織を異物と誤って攻撃してしまう病気を何というか。
- ◯ アレルギー
- ◯ エイズ
- ◯ 自己免疫疾患
- ◯ 免疫記憶
正解:自己免疫疾患
免疫寛容が乱れ、免疫が自分自身の細胞や組織を異物と誤って攻撃してしまう病気を自己免疫疾患と呼ぶ。アレルギーは体の外から来た異物への過敏な反応で、攻撃の対象が異なる。HIVが感染し、破壊していくのはどの細胞か。
- ◯ ヘルパーT細胞
- ◯ 好中球
- ◯ 皮膚の細胞
- ◯ 赤血球
正解:ヘルパーT細胞
HIVは獲得免疫(新しいタブで開きます)の中心であるヘルパーT細胞に感染し、その細胞を壊す。ヘルパーT細胞が減ると獲得免疫全体が働きにくくなり、エイズと呼ばれる状態に進む。
単元のポイント
- アレルギー 花粉などの特定の異物(アレルゲン)に免疫が過敏に反応して起こる症状
- アナフィラキシー 全身に急激に強く現れたアレルギー反応
- 自己免疫疾患 免疫が自分自身の細胞や組織を異物と誤って攻撃してしまう病気
- エイズ HIVがヘルパーT細胞に感染して破壊し、免疫のはたらきが大きく低下した状態