獲得免疫
カワウソ先生獲得免疫は、出会った異物の特徴を覚えて狙い撃ちする、あとから育つ防御のしくみだよ。
30秒でつかむ
- 樹状細胞が取り込んだ異物の情報(抗原)を自分の表面に出し、ヘルパーT細胞に伝える。
- ヘルパーT細胞に促されたB細胞が抗体をつくり、抗原に結びつけて排除する体液性免疫が働く。
- キラーT細胞は感染した細胞を直接攻撃して壊す。これを細胞性免疫と呼ぶ。
詳しく
樹状細胞の抗原提示とヘルパーT細胞
自然免疫(新しいタブで開きます)の食作用で異物を取り込んだ樹状細胞は、分解した異物の一部(抗原)を自分の表面に出す。これを抗原提示と呼ぶ。抗原提示は、取り込んだだけでは終わらない、獲得免疫への橋渡しのはたらきだ。
リンパ球の一種であるヘルパーT細胞は、抗原提示を受けると、その抗原に合った形の受容体(新しいタブで開きます)を持つ細胞だけが活性化する。活性化したヘルパーT細胞は、ほかのリンパ球のはたらきを促す中心的な役割を担う。
ヘルパーT細胞に促されたリンパ球は、抗原ごとに異なる2つの道筋で異物を排除する。1つは次に見るB細胞と抗体による道筋、もう1つはそのあとに見るキラーT細胞による道筋だ。
B細胞と抗体による体液性免疫
ヘルパーT細胞に促されたB細胞は、増殖して抗体産生細胞に変わり、抗原に合った形の抗体をつくって体液(新しいタブで開きます)中に放出する。抗体はY字形のタンパク質で、特定の抗原だけに結びつく。
抗体が抗原に結びつくと、異物の働きを抑えたり、好中球やマクロファージが取り込みやすい状態にしたりする。こうして体液中の抗体を使って異物を排除するしくみを体液性免疫と呼ぶ。
体液性免疫は、細胞の外にいる細菌や、細胞の外に出た毒素に対して効果を発揮する。細胞の中に入り込んだウイルスには、次に見る別のしくみが必要になる。
キラーT細胞による細胞性免疫
抗体は体液中の異物には結びつけるが、細胞の中に入り込んだウイルスには届かない。感染した細胞を見分けて直接処理するしくみが別に必要になる。
そこで働くのがキラーT細胞だ。ヘルパーT細胞に促されたキラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞の表面の変化を見分け、その細胞を直接攻撃して壊す。
このように、リンパ球が直接感染細胞を攻撃して排除するしくみを細胞性免疫と呼ぶ。体液性免疫と細胞性免疫を組み合わせることで、獲得免疫は細胞の外と中、両方の異物に対応している。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/adaptive-immunity/?from=print#quiz
樹状細胞が、取り込んだ異物の一部を自分の表面に出し、ヘルパーT細胞に伝えるはたらきを何というか。
- ◯ 食作用
- ◯ 抗原提示
- ◯ 免疫記憶
- ◯ 体液性免疫
正解:抗原提示
樹状細胞が異物の一部(抗原)を自分の表面に出してT細胞に伝えるはたらきを抗原提示という。食作用(新しいタブで開きます)は異物を取り込んで分解するはたらきで、抗原提示より前の段階にあたる。B細胞がつくる抗体が抗原に結びつき、異物を排除するしくみを何というか。
- ◯ 免疫記憶
- ◯ 細胞性免疫
- ◯ 体液性免疫
- ◯ 自然免疫
正解:体液性免疫
B細胞がつくる抗体を体液(新しいタブで開きます)中に放出して抗原に結びつけ、異物を排除するしくみを体液性免疫という。細胞性免疫はキラーT細胞が感染細胞を直接攻撃するしくみ。キラーT細胞が直接攻撃して壊すのはどれか。
- ◯ ウイルスに感染した細胞
- ◯ 皮膚の表面の細胞
- ◯ 骨髄でつくられる血球
- ◯ 体液中を流れる抗体
正解:ウイルスに感染した細胞
キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞の表面の変化を見分け、その細胞を直接攻撃して壊す。抗体をつくるのはB細胞で、キラーT細胞自身は抗体をつくらない。体液性免疫では排除しにくく、細胞性免疫が必要になる理由として適切なものはどれか。
- ◯ B細胞は抗原の情報を受け取れないから
- ◯ 抗体は細胞の中に入り込んだウイルスには届かないから
- ◯ キラーT細胞は抗原提示を受けなくても働けるから
- ◯ 抗体は皮膚の表面にしか結びつかないから
正解:抗体は細胞の中に入り込んだウイルスには届かないから
抗体は体液中の異物には結びつくが、すでに細胞の中に入り込んだウイルスには届かない。そのため、感染した細胞を直接攻撃するキラーT細胞による細胞性免疫が必要になる。
単元のポイント
- 抗原提示 樹状細胞が取り込んだ異物(抗原)の情報を自分の表面に出し、T細胞に伝えるはたらき
- ヘルパーT細胞 抗原提示を受けて、B細胞やキラーT細胞のはたらきを促すリンパ球
- 体液性免疫 B細胞がつくる抗体が抗原に結びつき、異物を排除するしくみ
- 細胞性免疫 キラーT細胞が感染した細胞を直接攻撃して壊すしくみ