
可逆反応と化学平衡
カメレオン先生化学平衡は反応が止まっているわけじゃない。正反応と逆反応が同じ速さで進み続けて、見かけ上だけ変化が止まって見える状態だよ。
30秒でつかむ
- 正反応と逆反応がどちらも進む反応を可逆反応という。
- 可逆反応で正反応の速さと逆反応の速さが等しくなった状態を化学平衡という。
- 化学平衡では反応が止まったわけではなく、正反応と逆反応がつり合って見かけ上の変化が止まる(動的平衡)。
詳しく
可逆反応と化学平衡の関係
可逆反応とは、反応物(新しいタブで開きます)から生成物ができる正反応と、生成物から反応物に戻る逆反応の両方が進む反応のことだ。可逆反応は、両方向の反応を1本の式で⇄(可逆反応の記号)を使って表す。たとえば水素とヨウ素からヨウ化水素ができる反応は、H₂+I₂⇄2HIと書く。
密閉した容器にH₂とI₂を入れると、はじめは正反応(H₂+I₂→2HI)だけが進み、HIがどんどん増える。しかしHIが増えるにつれて逆反応(2HI→H₂+I₂)も進むようになり、正反応の速さはH₂・I₂が減るにつれて小さくなる一方、逆反応の速さはHIが増えるにつれて大きくなる。
やがて正反応の速さと逆反応の速さが等しくなると、H₂・I₂・HIそれぞれの物質量はそれ以上変化しなくなる。この状態を化学平衡(平衡状態)という。
例:濃度の時間変化のグラフで見る
密閉容器にH₂とI₂を同じ物質量だけ入れて反応させると、反応開始直後は[H₂]と[I₂]が同じ速さで減り、[HI]が増えていく。時間が経つにつれてこれらの変化は徐々にゆるやかになり、ある時点から[H₂]・[I₂]・[HI]はどれも一定の値のまま変わらなくなる。
この「どれも一定の値になった後」の状態が化学平衡であり、グラフでは3本の曲線がどれも横ばいになる区間として表れる。平衡に達するまでの時間は反応によって異なるが、平衡に達した後の各物質の物質量(濃度)の比はその温度で決まった値になる。
大事なのは、横ばいになったあとも反応そのものは止まっていない点だ。見かけ上の変化が止まっているだけで、分子(新しいタブで開きます)のレベルでは正反応と逆反応がどちらも同じ速さで進み続けている。
なぜ平衡状態では量が変化しないのか
正反応の速さは反応物(H₂・I₂)の濃度に、逆反応の速さは生成物(HI)の濃度に関係する。反応が進むほどH₂・I₂の濃度は下がって正反応は遅くなり、HIの濃度は上がって逆反応は速くなる。
この2つの速さが時間とともに近づいていき、ついに等しくなると、正反応によって減る量と逆反応によって増える量がつり合う。H₂・I₂は正反応で減る分だけ逆反応で増え、HIは逆反応で減る分だけ正反応で増えるので、全体の物質量は変化しなくなる。
このように、反応が止まったのではなく、両方向の反応の速さがつり合って見かけ上変化が止まった状態を化学平衡とよぶ。この「動的」な釣り合いの考え方が、この先の平衡定数(新しいタブで開きます)やルシャトリエの原理(新しいタブで開きます)の土台になる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/reversible-reactions-and-chemical-equilibrium/?from=print#quiz
可逆反応とはどのような反応か。
- ◯ 正反応と逆反応の両方が進む反応
- ◯ 正反応だけが進む反応
- ◯ 触媒がないと進まない反応
- ◯ 必ず発熱する反応
正解:正反応と逆反応の両方が進む反応
可逆反応は、反応物(新しいタブで開きます)から生成物ができる正反応と、生成物から反応物に戻る逆反応の両方が進む反応である。H₂+I₂⇄2HIのように反応式に⇄を使うのはなぜか。
- ◯ 触媒を使うことを示すため
- ◯ 気体の反応であることを示すため
- ◯ 反応が瞬間的に終わることを示すため
- ◯ 反応が可逆反応であり正反応と逆反応の両方が進むことを示すため
正解:反応が可逆反応であり正反応と逆反応の両方が進むことを示すため
⇄は正反応と逆反応の両方が進む可逆反応であることを表す記号である。化学平衡(平衡状態)とはどのような状態か。
- ◯ 逆反応だけが止まった状態
- ◯ 正反応の速さと逆反応の速さが等しくなり、見かけ上の変化が止まった状態
- ◯ 正反応だけが止まった状態
- ◯ 正反応と逆反応の両方が完全に止まった状態
正解:正反応の速さと逆反応の速さが等しくなり、見かけ上の変化が止まった状態
化学平衡は、正反応と逆反応の速さが等しくなり、各物質の物質量が見かけ上変化しなくなった状態である。反応そのものは止まっていない。化学平衡に達したあと、H₂・I₂・HIの物質量が変化しなくなるのはなぜか。
- ◯ 触媒が反応を完全に止めるから
- ◯ 反応物と生成物がすべて消費されたから
- ◯ 容器の体積が変化しなくなるから
- ◯ 正反応の速さと逆反応の速さがつり合い、減る量と増える量が等しくなるから
正解:正反応の速さと逆反応の速さがつり合い、減る量と増える量が等しくなるから
正反応による減少量と逆反応による増加量がつり合うことで、全体の物質量が見かけ上変化しなくなる。
単元のポイント
- 可逆反応 正反応と逆反応の両方が進む反応。反応式を⇄で表す
- 化学平衡(平衡状態) 正反応の速さと逆反応の速さが等しくなり、見かけ上の変化が止まった状態
- 動的平衡 分子のレベルでは反応が進み続けているが、生成と消費がつり合って全体の量が変化しない状態