
ニューディール
フクロウ先生国が経済と暮らしを支える役割を、それまでより大きく広げた政策として覚えよう。
30秒でつかむ
- 1933年3月に大統領となったフランクリン・ローズヴェルト(新しいタブで開きます)は、世界恐慌(新しいタブで開きます)から立ち直るためにニューディールを始めた。就任から約100日の間に、多くの法律が定められた。
- 国が農業や工業の生産を調整し、国がお金を出すダム建設などの工事で失業者を雇った。国が経済に関わる役割を、それまでより大きく広げたやり方である。
- 1935年には、労働組合をつくる権利を守るワグナー法と、失業保険や年金を定めた社会保障法ができた。ただし恐慌を十分には乗りこえられず、景気が本格的に戻るのは第二次世界大戦の時期である。
- いつ
- 1933年〜1930年代の終わり
- どこ
- アメリカ
- 誰
- フランクリン・ローズヴェルト(アメリカ大統領)
- 何
- 世界恐慌から立ち直るため、国が経済に深く関わる政策を次々に進めた
詳しく
背景
1929年に始まった世界恐慌で、アメリカでは会社や銀行が次々に倒れ、仕事を失う人があふれた。当時の大統領フーヴァーの対策では景気が戻らず、人々は不満を強めていく。1932年の大統領選挙では、民主党のフランクリン・ローズヴェルトがフーヴァーを大差で破った。ローズヴェルトは民主党の候補に選ばれたとき、「アメリカ国民のための新しいやり方(ニューディール)」を約束していた。国が経済の立て直しに乗り出す、という約束である。就任を前にした1933年の初めには、銀行の倒産がさらに増えた。3月に就任したころには、多くの州で銀行が店を閉めたり、預金の引き出しを制限したりしていた。
流れ
ローズヴェルトは就任するとすぐ、全国の銀行をいったん休ませた。そのうえで、立て直せる銀行から営業を再開させる緊急銀行法を定めた。4月には、紙幣を金と交換するしくみ(金本位制)もやめている。就任からの約100日の間に、議会は重要な法律を次々に成立させていった。
農業調整法は、作物の作りすぎで値段が下がるのを防ぐため、生産を減らした農家に国がお金を払う法律である。全国産業復興法は、企業どうしに生産量や価格を取り決めさせ、労働者が組合をつくって団結する権利も認めた。国がつくったテネシー川流域開発公社は、ダムを造って発電や洪水の防止を進め、多くの人に働く場をつくった。また、仕事のない若者を雇って自然を守る仕事をさせる、市民保全部隊(CCC)もつくられた。
結果
1935年、最高裁判所は、全国産業復興法の中心だった、産業ごとに生産や価格を取り決めるしくみを憲法違反とした。ローズヴェルトは同じ年、労働者が労働組合をつくり、会社と交渉する権利を守るワグナー法を成立させた。仕事を失った人を支える失業保険や、お年寄りへの年金を定めた社会保障法もできた。こうして、国が経済に関わり、暮らしを支える考え方が広まっていく。ただし1930年代のうちに、恐慌を十分に乗りこえることはできなかった。景気が本格的に戻ったのは、第二次世界大戦で兵器などの生産がふえてからである。
主な出来事
- フランクリン・ローズヴェルトが大統領選挙で勝つ
- ローズヴェルトが大統領に就任する
- 全国の銀行を休ませ、緊急銀行法を定める
- 金本位制を停止する
- 農業調整法とテネシー川流域開発公社法が成立する
- 全国産業復興法が成立する
- 最高裁判所が全国産業復興法の中心のしくみを憲法違反とする
- ワグナー法が成立する
- 社会保障法が成立する
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/history/new-deal/?from=print#quiz
ニューディールで1933年に設けられ、テネシー川にダムを造って発電や洪水の防止を進めた国の機関を何というか。
- ◯ 社会保障法
- ◯ 国際連盟
- ◯ テネシー川流域開発公社(TVA)
- ◯ 市民保全部隊(CCC)
正解:テネシー川流域開発公社(TVA)
テネシー川流域開発公社(TVA)は、ダムを造って発電や洪水の防止を進め、多くの人に働く場をつくった。農業調整法のねらいとして、正しいものはどれか。
- ◯ 作物をできるだけ多く作らせること
- ◯ 外国の農産物をたくさん輸入すること
- ◯ 農地をすべて国のものにすること
- ◯ 作物の生産を減らして値段を上げること
正解:作物の生産を減らして値段を上げること
作物を作りすぎると値段が下がる。農業調整法は、生産を減らした農家に国がお金を払い、農産物の値段を上げようとした。1935年に最高裁判所が、その中心のしくみを憲法違反としたニューディールの法律はどれか。
- ◯ 緊急銀行法
- ◯ 全国産業復興法
- ◯ 社会保障法
- ◯ ワグナー法
正解:全国産業復興法
1935年5月、最高裁判所は、全国産業復興法の中心だった、産業ごとに生産や価格を取り決めるしくみを憲法違反とした。ローズヴェルトは同じ年、労働者の権利を守るワグナー法を成立させた。1935年に成立した社会保障法が定めたしくみとして、正しいものはどれか。
- ◯ テネシー川のダム建設と発電
- ◯ 銀行の休業と営業の再開
- ◯ お年寄りへの年金と失業保険
- ◯ 企業どうしの生産量と価格の取り決め
正解:お年寄りへの年金と失業保険
社会保障法は、お年寄りへの年金と、仕事を失った人への失業保険のしくみを定めた。
単元のポイント
- 緊急銀行法 1933年3月、休ませた銀行を調べ、立て直せる銀行から営業を再開させるために定めた法律
- 金本位制 紙幣を決まった量の金と交換できるようにして、通貨の価値を金で支えるしくみ
- 農業調整法 作物の作りすぎで値段が下がるのを防ぐため、生産を減らした農家に国がお金を払った法律(1933年)
- 全国産業復興法 企業どうしに生産量や価格を取り決めさせ、労働者が団結する権利も認めた法律(1933年)
- テネシー川流域開発公社 テネシー川にダムを造り、洪水を防ぐ工事や発電を進めた国の機関(1933年)
- ワグナー法 労働者が労働組合をつくる権利と、組合を通じて賃金や働く条件を会社と交渉する権利を守った法律(1935年)
- 社会保障法 失業保険や、お年寄りへの年金のしくみを定めた法律(1935年)