
活性化エネルギーと遷移状態
カメレオン先生活性化エネルギーはエネルギー図の山の高さ、遷移状態はその頂点。温度が上がると山を越えられる分子の割合が増えるんだ。
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- 反応物(新しいタブで開きます)から生成物に至るには、いったんエネルギーの高い状態を経由する必要があり、反応物からみたこの山の高さを活性化エネルギー(Ea)という。
- 山の頂点にある、反応物でも生成物でもない最もエネルギーが高い通過点を遷移状態という。
- 分子(新しいタブで開きます)の運動エネルギー(新しいタブで開きます)には分布があり、温度が上がるとEaを超える分子の割合が大きく増えるため、反応速度が大きく増加する。
詳しく
反応のエネルギー図と活性化エネルギー
反応物が生成物になるには、分子の結合の組み換えが必要で、そのためにいったんエネルギーの高い不安定な状態を経由しなければならない。横軸に反応の進み方(反応の経路)、縦軸にエネルギーをとったグラフで表すと、反応物と生成物の間にエネルギーの山ができる。
この山の、反応物からの高さを活性化エネルギー(Ea)という。活性化エネルギーは、反応が起こるために分子が最低限もっていなければならない運動エネルギーの大きさに対応する。活性化エネルギーが大きい反応ほど、反応に必要なエネルギーの山が高く、反応は起こりにくい(遅い)。
山の頂点にある、反応物の結合が切れかけ生成物の結合ができかけている、きわめて不安定で一瞬しか存在しない状態を遷移状態(活性化状態)という。遷移状態は反応物でも生成物でもない、エネルギーが最も高い通過点である。
活性化エネルギーと温度の関係(分子の運動エネルギーの分布)
気体や溶液中の分子は、同じ温度でもそれぞれ異なる運動エネルギーをもっており、そのエネルギーの分布を調べると、低いエネルギーをもつ分子が多く、高いエネルギーをもつ分子は少ない、山型の分布になる。
温度を上げると分布全体が高エネルギー側に広がり、活性化エネルギーEaより大きい運動エネルギーをもつ分子の割合(分布の中でEaより右側の面積)が大きく増える。前のページで見た「温度が10K上がると反応速度がおよそ2〜4倍になる」という経験則は、この割合の増え方で説明できる。
活性化エネルギーが小さい反応ほど、ふつうの温度でもEaを超える分子の割合が大きいため、反応は速く進みやすい。
触媒は活性化エネルギーを下げる
触媒は、反応物とは別の経路(反応機構)を提供することで、反応物から生成物に至るまでのエネルギーの山を低くする物質である。山が低くなればEaを超える分子の割合が増えるので、反応速度が大きくなる。
重要なのは、触媒は反応の始まりと終わりのエネルギー(反応物と生成物のエネルギーの差)を変えないという点だ。触媒が変えるのは山の高さ(活性化エネルギー)だけで、反応によって放出・吸収されるエネルギーの量は触媒があってもなくても同じになる。
触媒自身は反応の前後で変化せず、何度も繰り返し使われる。具体的な触媒の利用例は次のページで見ていく。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/activation-energy-and-transition-state/?from=print#quiz
活性化エネルギーの説明として正しいものはどれか。
- ◯ 触媒の質量のこと
- ◯ 反応物から生成物に至るまでに超えなければならないエネルギーの山の、反応物からの高さ
- ◯ 反応物と生成物のエネルギーの差(反応熱)のこと
- ◯ 反応速度式の次数のこと
正解:反応物から生成物に至るまでに超えなければならないエネルギーの山の、反応物からの高さ
反応物(新しいタブで開きます)と生成物の間にできるエネルギーの山の、反応物からの高さを活性化エネルギー(Ea)という。反応熱(反応前後のエネルギー差)とは別の量である。遷移状態とはどのような状態か。
- ◯ エネルギーの山の頂点にある、反応物でも生成物でもない最も不安定な状態
- ◯ 反応が始まる前の反応物の状態
- ◯ 反応が終わった後の安定な状態
- ◯ 触媒だけが存在する状態
正解:エネルギーの山の頂点にある、反応物でも生成物でもない最も不安定な状態
遷移状態は、反応物の結合が切れかけ生成物の結合ができかけている、エネルギーの山の頂点にある極めて不安定な状態で、反応物でも生成物でもない。分子の運動エネルギーの分布において、温度を上げたときに起こる変化はどれか。
- ◯ 活性化エネルギーEa自体が小さくなる
- ◯ すべての分子が同じ運動エネルギーをもつようになる
- ◯ 分子の運動エネルギーの分布に変化は起こらない
- ◯ 活性化エネルギーEaより大きい運動エネルギーをもつ分子の割合が大きく増える
正解:活性化エネルギーEaより大きい運動エネルギーをもつ分子の割合が大きく増える
温度を上げると分子(新しいタブで開きます)の運動エネルギー(新しいタブで開きます)の分布全体が高エネルギー側に広がり、活性化エネルギーEaより大きい運動エネルギーをもつ分子の割合(分布のEaより右側の面積)が大きく増える。触媒を使ったときの反応のエネルギー図の変化として正しいものはどれか。
- ◯ 反応物と生成物のエネルギーの差(反応熱)が変わる
- ◯ 生成物のエネルギーだけが下がる
- ◯ 反応物のエネルギーだけが上がる
- ◯ 活性化エネルギーの山が低くなるが、反応物と生成物のエネルギーの差は変わらない
正解:活性化エネルギーの山が低くなるが、反応物と生成物のエネルギーの差は変わらない
触媒は別の反応経路を提供して活性化エネルギーの山を低くするが、反応の始まりと終わりのエネルギーの差(反応熱)は変えない。
単元のポイント
- 活性化エネルギー(Ea) 反応物から生成物に至るまでに超えなければならないエネルギーの山の、反応物からの高さ
- 遷移状態 エネルギーの山の頂点にある、反応物でも生成物でもない最も不安定でエネルギーが高い状態
- 分子の運動エネルギーの分布 同じ温度でも分子ごとに運動エネルギーは異なり分布をもつ。温度が上がるほどEaを超える分子の割合が増える