
触媒の利用例と反応速度
カメレオン先生触媒は反応式に書かず、反応熱も変えない。過酸化水素の分解の例で、活性化エネルギーがどこまで下がるか数値で見てみよう。
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- 触媒は反応の前後で自分自身は変化せず、反応物(新しいタブで開きます)でも生成物でもないので化学反応式には書かない。触媒を使っても反応熱(反応前後のエネルギー差)は変わらない。
- 過酸化水素の分解は、触媒なしだと活性化エネルギー(新しいタブで開きます)が約75kJ/molだが、白金やMnO₂で約49kJ/mol、酵素(新しいタブで開きます)カタラーゼで約8kJ/molまで下がる。
- 自動車の排ガス触媒(白金・パラジウムなど)や、硫酸の製造(接触法)に使う酸化バナジウム(Ⅴ)V₂O₅のように、工業や身のまわりで触媒は広く利用されている。
詳しく
触媒の役割をもう一度確認する
前のページで見たとおり、触媒は反応物から生成物に至るエネルギーの山(活性化エネルギー)を低くすることで反応速度を大きくする物質である。触媒は反応の前後で自分自身は変化せず、反応物でも生成物でもないので、化学反応式には書かない(反応式の上や下に添えて示すことがある)。
触媒を使っても、反応によって得られる生成物の量や、反応の前後のエネルギーの差(反応熱)は変わらない。変わるのは、そこに至る反応の速さだけである。
例:過酸化水素の分解を速くする触媒
過酸化水素の分解2H₂O₂→2H₂O+O₂は、触媒がなくてもゆっくり進むが、活性化エネルギーがおよそ75kJ/molと比較的大きいため、常温では反応は非常に遅い。
酸化マンガン(Ⅳ)MnO₂や白金のような触媒を加えると、別の反応経路を通ることで活性化エネルギーがおよそ49kJ/molまで下がり、反応は目に見えて速くなる(気体の泡が勢いよく発生する)。
さらに、生体内で過酸化水素を分解する酵素カタラーゼを使うと、活性化エネルギーはおよそ8kJ/molまで下がる。酵素は生体内で働く触媒で、少量でも非常に大きく反応速度を上げられる(酵素については生物基礎の単元でも学ぶ)。
触媒の利用例(工業と身のまわり)
自動車の排ガス処理に使われる排ガス触媒(三元触媒)は、白金やパラジウムなどの金属を使い、排気ガス中の有害な一酸化炭素・未燃焼(新しいタブで開きます)の炭化水素(HC)・窒素酸化物という3種の物質を、より無害な二酸化炭素(新しいタブで開きます)・水・窒素に変える反応の活性化エネルギーを下げている(「三元」の名はこの3種に由来する)。
工業では、硫酸の製造(接触法)で酸化バナジウム(Ⅴ)V₂O₅を触媒として使い、二酸化硫黄SO₂を酸化して三酸化硫黄SO₃を作る反応を速くしている。工業的に大量生産を行う反応では、触媒によって反応時間を短くし生産性を上げることが重要だ。
触媒には、反応物と同じ状態(気体どうしなど)で働く均一触媒と、反応物とは異なる状態(固体の表面に気体や液体の反応物が吸着するなど)で働く不均一触媒があり、排ガス触媒やV₂O₅は不均一触媒の例である。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/catalysts-and-their-uses/?from=print#quiz
触媒が化学反応式の左右どちらにも書かれない理由として正しいものはどれか。
- ◯ 触媒は反応の前後で自分自身は変化しないため
- ◯ 触媒は必ず水に溶けているため
- ◯ 触媒は気体だから書く必要がないため
- ◯ 触媒は質量がとても小さいため
正解:触媒は反応の前後で自分自身は変化しないため
触媒は反応の前後で自分自身は変化せず、反応物(新しいタブで開きます)でも生成物でもないため、化学反応式には書かない(式の上や下に添えて示すことがある)。触媒を使うと、反応熱(反応の前後のエネルギーの差)はどうなるか。
- ◯ 大きくなる
- ◯ 小さくなる
- ◯ 変わらない
- ◯ 反応によって触媒があると0になる
正解:変わらない
触媒は活性化エネルギー(新しいタブで開きます)の山の高さだけを変え、反応物と生成物のエネルギーの差(反応熱)は変えない。過酸化水素の分解で、活性化エネルギーが最も低くなるのはどの場合か。
- ◯ 酵素カタラーゼを使う場合(約8kJ/mol)
- ◯ 触媒を使わない場合(約75kJ/mol)
- ◯ 白金やMnO₂を使う場合(約49kJ/mol)
- ◯ どの場合も活性化エネルギーは同じ
正解:酵素カタラーゼを使う場合(約8kJ/mol)
過酸化水素の分解の活性化エネルギーは、触媒なしでは約75kJ/mol、白金やMnO₂では約49kJ/mol、酵素(新しいタブで開きます)カタラーゼでは約8kJ/molまで下がる。酵素は少量でも非常に大きく活性化エネルギーを下げられる。自動車の排ガス触媒(三元触媒)に主に使われる金属はどれか。
- ◯ ナトリウムやカリウム
- ◯ 白金やパラジウム
- ◯ 銅や銀
- ◯ 鉄やアルミニウム
正解:白金やパラジウム
自動車の排ガス触媒には白金やパラジウムなどの金属が使われ、排気ガス中の有害な一酸化炭素・未燃焼(新しいタブで開きます)の炭化水素(HC)・窒素酸化物を無害な物質に変える反応の活性化エネルギーを下げている。
単元のポイント
- 触媒 反応の前後で自身は変化せず、活性化エネルギーを下げて反応速度を大きくする物質。反応式には書かない
- 不均一触媒 反応物とは異なる状態(固体の表面に気体や液体が吸着するなど)で働く触媒。排ガス触媒やV₂O₅など
- 均一触媒 反応物と同じ状態(溶液中や気体どうしなど)で働く触媒