
化学エネルギーとエンタルピー変化
カメレオン先生発熱か吸熱かはΔHの符号で見る。新しい式と昔の熱化学方程式、両方読めるようになろう。
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- 化学反応では、反応の前後で物質がもつ化学エネルギーの差が、熱や光として出入りする。
- この差をエンタルピー変化ΔHで表し、発熱反応(新しいタブで開きます)はΔH<0、吸熱反応はΔH>0になる。
- 昔の熱化学方程式は反応式に発熱量を+Qの形で書き添える書き方で、ΔHの式とは熱の符号の向きが逆になる。
詳しく
化学エネルギーの差をΔHで表す
化学反応が起こると、反応物(新しいタブで開きます)と生成物では物質のもつ化学エネルギーの大きさが変わる。この化学エネルギーの差が、熱や光として周囲とやりとりされる。差の大きさは物質の種類と量で決まり、同じ反応なら同じ値になる。
この差をエンタルピー変化で表す。反応式のあとに=-890kJのように書き、発熱反応は、吸熱反応はとする。の単位はkJ(キロジュール)で、反応式の係数に対応する物質量あたりの値である。
たとえばメタンの完全燃焼(新しいタブで開きます)は「CH₄(気)+2O₂(気)→CO₂(気)+2H₂O(液) =-890kJ」と書く。物質の状態(気体・液体・固体)によってもエネルギーの差は変わるため、式の中では状態を(気)や(液)のように括弧で示す。
例:熱化学方程式からΔHの式へ
の式が広まる前は、反応式に発熱量を直接書き込む熱化学方程式が使われていた。たとえば同じ反応は「CH₄(気)+2O₂(気)=CO₂(気)+2H₂O(液)+890kJ」のように、矢印の代わりに等号を使い、発熱量+890kJを生成物の側に書き添える。
熱化学方程式では発熱量をそのまま+の数で書くのに対し、の式では発熱はと符号が逆になる。どちらも同じ反応の同じ890kJを表しているが、符号の向きが異なる点に注意する。
吸熱反応の場合、熱化学方程式では熱量を-Qの形で書くのに対し、の式では単にと書くだけでよい。現在の教科書ではの式が基本の書き方で、熱化学方程式は昔の資料を読むときのために読めるようにしておく。
なぜ発熱と吸熱で符号が決まるのか
発熱反応では、反応後の生成物がもつ化学エネルギーのほうが反応前の反応物より低い。失われた分のエネルギーが外へ熱として放出されるため、周囲の温度が上がる。
吸熱反応では逆に、生成物のほうが反応物より高い化学エネルギーをもつ。このエネルギーの上乗せ分を周囲の熱から取り込む必要があるため、反応が進むと周囲の温度は下がる。
は「生成物の化学エネルギーの合計-反応物の化学エネルギーの合計」にあたる量なので、生成物が低ければは負(発熱)、生成物が高ければは正(吸熱)になる。この関係は、このあとの反応熱の種類(新しいタブで開きます)やヘスの法則にもそのままつながる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/chemical-energy-and-enthalpy-change/?from=print#quiz
発熱反応のΔHの符号として正しいものはどれか。
- ◯ ΔH=0
- ◯ ΔH>0
- ◯ ΔH<0
- ◯ 反応によって変わるので決まっていない
正解:ΔH<0
発熱反応(新しいタブで開きます)は生成物(新しいタブで開きます)の化学エネルギーが反応物より低いので、ΔHは負(ΔH<0)になる。熱化学方程式で発熱量を書くときの符号は、ΔHの式と比べてどうなっているか。
- ◯ 同じ向き(発熱はどちらも負の数)
- ◯ 熱化学方程式には符号という考え方がない
- ◯ 逆向き(熱化学方程式では発熱を+の数で書く)
- ◯ ΔHの式には符号という考え方がない
正解:逆向き(熱化学方程式では発熱を+の数で書く)
熱化学方程式では発熱量を+の数で反応式に書き添えるが、ΔHの式では発熱はΔH<0と符号が逆になる。エタノールの完全燃焼ΔH=-1368kJ/molの反応を0.50mol分進めたとき、放出される熱量は何kJか。数字で答えよ。
答え:____________
正解:684
1molあたり1368kJなので、0.50molでは1368×0.50=684kJ。吸熱反応が進むと、反応が起きている場所の温度はどうなるか。
- ◯ 反応によって変わるので決まっていない
- ◯ 変わらない
- ◯ 下がる
- ◯ 上がる
正解:下がる
吸熱反応は周囲から熱を取り込むため、反応が進むと周囲の温度は下がる。
単元のポイント
- エンタルピー変化ΔH 反応の前後で物質がもつ化学エネルギーの差。発熱反応はΔH<0、吸熱反応はΔH>0
- 発熱反応(新しいタブで開きます) 反応によって周囲へ熱が放出される反応。生成物の化学エネルギーが反応物より低い
- 吸熱反応(新しいタブで開きます) 反応にあたって周囲から熱を吸収する反応。生成物の化学エネルギーが反応物より高い
- 熱化学方程式 反応式に発熱量を+Qの形で書き添える昔の表し方。ΔHの式とは熱の正負の向きが逆になる