本文へ移動

誘電分極(ゆうでんぶんきょく)

カンガルー先生不導体(ふどうたい)の中(なか)の電子(でんし)は自由(じゆう)に動(うご)けないけれど、分子(ぶんし)1つ1つの中(なか)では少(すこ)しだけかたよれる。そのかたよりが面(めん)全体(ぜんたい)で合(あ)わさって表(おもて)に出(で)てくるよ。

30秒でつかむ

  1. 不導体(ふどうたい)(誘電体(ゆうでんたい))は自由(じゆう)電子(でんし)(新しいタブで開きます)をもたないが、電場(でんば)をかけると分子(ぶんし)ごとの電荷(でんか)のかたよりがそろい、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)が起(お)こる。
  2. 誘電分極(ゆうでんぶんきょく)では、外部(がいぶ)電荷(でんか)に近(ちか)い面(めん)に異符号(いふごう)、遠(とお)い面(めん)に同符号(どうふごう)の分極(ぶんきょく)電荷(でんか)が現(あらわ)れるが、電荷(でんか)そのものは移動(いどう)しない。
  3. 箔検電器(はくけんでんき)に帯電体(たいでんたい)を近(ちか)づけると、金属(きんぞく)のはく(導体(どうたい))に静電誘導(せいでんゆうどう)(新しいタブで開きます)で同符号(どうふごう)の電荷(でんか)が集(あつ)まり、退(しりぞ)け合(あ)って開(ひら)く。

ChatGPT に解説してもらう(新しいタブで開きます)

詳しく

誘電分極(ゆうでんぶんきょく)

ガラスやゴムのような不導体(ふどうたい)(絶縁体(ぜつえんたい))には、導体(どうたい)の自由(じゆう)電子(でんし)のように物質(ぶっしつ)の中(なか)を自由(じゆう)に動(うご)き回(まわ)れる電子(でんし)がない。しかし、1つ1つの分子(ぶんし)の中(なか)では、正(せい)の原子核(げんしかく)と負(ふ)の電子(でんし)雲(くも)の位置(いち)関係(かんけい)がわずかに変(か)えられる。外部(がいぶ)から電場(でんば)をかけると、分子内(ぶんしない)の正負(せいふ)の電荷(でんか)が少(すこ)しだけ反対(はんたい)向(む)きにずれ、小(ちい)さな電気(でんき)双極子(そうきょくし)ができる。

不導体(ふどうたい)の中(なか)のすべての分子(ぶんし)でこのかたよりの向(む)きがそろうと、分子(ぶんし)どうしが接(せっ)する内部(ないぶ)では隣(とな)り合(あ)う正負(せいふ)の電荷(でんか)が打(う)ち消(け)し合(あ)うが、物質(ぶっしつ)の両端(りょうたん)の面(めん)だけは打(う)ち消(け)す相手(あいて)がいないため、正味(しょうみ)の電荷(でんか)が現(あらわ)れる。外部(がいぶ)電荷(でんか)に近(ちか)い面(めん)には外部(がいぶ)電荷(でんか)と異符号(いふごう)の電荷(でんか)、遠(とお)い面(めん)には同符号(どうふごう)の電荷(でんか)が現(あらわ)れ、この現象(げんしょう)を誘電分極(ゆうでんぶんきょく)という。

誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こす不導体(ふどうたい)を誘電体(ゆうでんたい)と呼(よ)ぶ。静電誘導(せいでんゆうどう)と誘電分極(ゆうでんぶんきょく)はどちらも帯電体(たいでんたい)に近(ちか)い面(めん)に異符号(いふごう)、遠(とお)い面(めん)に同符号(どうふごう)の電荷(でんか)が現(あらわ)れる点(てん)で似(に)ているが、静電誘導(せいでんゆうどう)では自由(じゆう)電子(でんし)そのものが面(めん)まで移動(いどう)するのに対(たい)し、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)では電荷(でんか)は分子(ぶんし)の中(なか)でわずかにずれるだけで、物質(ぶっしつ)の中(なか)を移動(いどう)するわけではない。

誘電分極(ゆうでんぶんきょく)が起(お)きた誘電体(ゆうでんたい)は、近(ちか)い面(めん)の異符号(いふごう)の電荷(でんか)による引力(いんりょく)のほうが、遠(とお)い面(めん)の同符号(どうふごう)の電荷(でんか)による斥力(せきりょく)より強(つよ)くなるため、帯電体(たいでんたい)に引(ひ)き寄(よ)せられる。下敷(したじ)きをこすって髪(かみ)の毛(け)を近(ちか)づけたときに髪(かみ)が逆立(さかだ)つように見(み)えたり、帯電(たいでん)した棒(ぼう)に小(ちい)さな紙片(しへん)が吸(す)い寄(よ)せられたりするのは、この誘電分極(ゆうでんぶんきょく)による引力(いんりょく)が原因(げんいん)だ。

外部電場による誘電分極(近い面に-、遠い面に+)Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例題(れいだい):箔検電器(はくけんでんき)で静電誘導(せいでんゆうどう)を確(たし)かめる

箔検電器(はくけんでんき)は、金属(きんぞく)の板(いた)と、そこにつながった金属(きんぞく)のはく(薄(うす)い金属(きんぞく)の箔(はく))でできた道具(どうぐ)で、物体(ぶったい)が帯電(たいでん)しているかどうかを確(たし)かめるのに使(つか)う。正(せい)に帯電(たいでん)した棒(ぼう)を、板(いた)に触(ふ)れさせずに近(ちか)づけると、金属(きんぞく)(導体(どうたい))でできた板(いた)とはくの中(なか)で自由(じゆう)電子(でんし)が移動(いどう)し、板(いた)には負(ふ)の電荷(でんか)、はくには正(せい)の電荷(でんか)が現(あらわ)れる。

はくに現(あらわ)れた正(せい)の電荷(でんか)どうしは同符号(どうふごう)なので退(しりぞ)け合(あ)い、2枚(まい)のはくが開(ひら)く。これは箔検電器(はくけんでんき)自身(じしん)が導体(どうたい)であるために起(お)こる静電誘導(せいでんゆうどう)で、帯電体(たいでんたい)を遠(とお)ざけるとはくに集(あつ)まっていた電荷(でんか)は元(もと)に戻(もど)り、はくは再(ふたた)び閉(と)じる。はくの開(ひら)き方(かた)を見(み)ることで、近(ちか)づけた物体(ぶったい)が帯電(たいでん)しているかどうかを確(たし)かめられる。

同(おな)じ実験(じっけん)を、ガラス棒(ぼう)のような不導体(ふどうたい)の帯電体(たいでんたい)で行(おこな)っても、はくは同(おな)じように開(ひら)く。これは不導体(ふどうたい)の帯電体(たいでんたい)自身(じしん)も、表面(ひょうめん)にたまった電気(でんき)量(りょう)を保(たも)ったまま箔検電器(はくけんでんき)の金属(きんぞく)部分(ぶぶん)に静電誘導(せいでんゆうどう)を起(お)こせるからだ。一方(いっぽう)、帯電(たいでん)していない中性(ちゅうせい)の不導体(ふどうたい)(誘電体(ゆうでんたい))を近(ちか)づけたときにはくが開(ひら)かないのは、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)では物質(ぶっしつ)の中(なか)の電荷(でんか)が移動(いどう)せず、箔検電器(はくけんでんき)に自由(じゆう)電子(でんし)を動(うご)かす力(ちから)がはたらかないためである。

箔検電器のはくが静電誘導で開く仕組みAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

なぜ誘電体(ゆうでんたい)は引(ひ)き寄(よ)せられるのか

誘電分極(ゆうでんぶんきょく)で現(あらわ)れる近(ちか)い面(めん)の電荷(でんか)と遠(とお)い面(めん)の電荷(でんか)は、大(おお)きさが等(ひと)しく符号(ふごう)が逆(ぎゃく)なので、誘電体(ゆうでんたい)全体(ぜんたい)として見(み)た電気(でんき)量(りょう)の合計(ごうけい)は帯電(たいでん)の前後(ぜんご)で0のまま変(か)わらない。これは電気(でんき)量(りょう)の保存(ほぞん)(新しいタブで開きます)と同(おな)じ考(かんが)え方(かた)で、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)は電気(でんき)量(りょう)を新(あたら)しく作(つく)り出(だ)す現象(げんしょう)ではなく、もともと物質(ぶっしつ)の中(なか)にある正負(せいふ)の電荷(でんか)の位置(いち)をわずかにずらすだけの現象(げんしょう)だ。

それでも誘電体(ゆうでんたい)が帯電体(たいでんたい)に引(ひ)き寄(よ)せられるのは、クーロンの法則(ほうそく)の力(ちから)が距離(きょり)の2乗(じょう)に反比例(はんぴれい)するためだ。帯電体(たいでんたい)に近(ちか)い面(めん)の異符号(いふごう)の電荷(でんか)がおよぼす引力(いんりょく)は、遠(とお)い面(めん)の同符号(どうふごう)の電荷(でんか)がおよぼす斥力(せきりょく)よりも、距離(きょり)が近(ちか)い分(ぶん)だけ強(つよ)くなる。2つの面(めん)の電荷(でんか)の大(おお)きさは等(ひと)しくても、距離(きょり)の違(ちが)いによって引力(いんりょく)が勝(か)ち、誘電体(ゆうでんたい)全体(ぜんたい)としては帯電体(たいでんたい)のほうへ引(ひ)き寄(よ)せられる。

静電誘導(せいでんゆうどう)では自由(じゆう)電子(でんし)が実際(じっさい)に面(めん)まで移動(いどう)して集(あつ)まるのに対(たい)し、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)では分子(ぶんし)1つ1つのわずかなかたよりが積(つ)み重(かさ)なって面(めん)に現(あらわ)れるだけなので、同(おな)じ強(つよ)さの電場(でんば)に対(たい)しては、誘電分極(ゆうでんぶんきょく)のほうが現(あらわ)れる電荷(でんか)が小(ちい)さくなることが多(おお)い。それでも向(む)き(近(ちか)い面(めん)に異符号(いふごう)、遠(とお)い面(めん)に同符号(どうふごう))がそろっているため、帯電体(たいでんたい)に引(ひ)き寄(よ)せられる向(む)きは静電誘導(せいでんゆうどう)の場合(ばあい)と変(か)わらない。

確認問題

問題 1 / 4正(せい)に帯電(たいでん)した棒(ぼう)を不導体(ふどうたい)(誘電体(ゆうでんたい))に近(ちか)づけたとき、棒(ぼう)に近(ちか)い面(めん)に現(あらわ)れる分極(ぶんきょく)電荷(でんか)の符号(ふごう)はどれか。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/dielectric-polarization/?from=print#quiz

  1. 正(せい)に帯電(たいでん)した棒(ぼう)を不導体(ふどうたい)(誘電体(ゆうでんたい))に近(ちか)づけたとき、棒(ぼう)に近(ちか)い面(めん)に現(あらわ)れる分極(ぶんきょく)電荷(でんか)の符号(ふごう)はどれか。

    • ◯ 正(せい)(棒(ぼう)と同符号(どうふごう))
    • ◯ 電荷(でんか)は現(あらわ)れない
    • ◯ 近(ちか)い面(めん)と遠(とお)い面(めん)の両方(りょうほう)に正(せい)の電荷(でんか)
    • ◯ 負(ふ)(棒(ぼう)と異符号(いふごう))

    正解:負(棒と異符号)
    分子内(ぶんしない)の負(ふ)の電荷(でんか)(新しいタブで開きます)が外部(がいぶ)の正電荷(せいでんか)に引(ひ)かれて近(ちか)い面(めん)側(がわ)にかたよるので、近(ちか)い面(めん)には負(ふ)(棒(ぼう)と異符号(いふごう))、遠(とお)い面(めん)には正(せい)(棒(ぼう)と同符号(どうふごう))の分極(ぶんきょく)電荷(でんか)が現(あらわ)れる。

  2. 箔検電器(はくけんでんき)の板(いた)に帯電体(たいでんたい)を近(ちか)づけると、2枚(まい)のはくが開(ひら)く。この理由(りゆう)として正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ はくの中(なか)の電気(でんき)量(りょう)が0になったため
    • ◯ 静電誘導(せいでんゆうどう)で、はくに帯電体(たいでんたい)と同符号(どうふごう)の電荷(でんか)が集(あつ)まり退(しりぞ)け合(あ)うため
    • ◯ はくが帯電体(たいでんたい)に直接(ちょくせつ)触(ふ)れて電荷(でんか)を受(う)け取(と)ったため
    • ◯ はくが誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こし、異符号(いふごう)の電荷(でんか)どうしが引(ひ)き合(あ)うため

    正解:静電誘導で、はくに帯電体と同符号の電荷が集まり退け合うため
    はくは金属(きんぞく)(導体(どうたい))なので、帯電体(たいでんたい)を近(ちか)づけると自由(じゆう)電子(でんし)が移動(いどう)する静電誘導(せいでんゆうどう)(新しいタブで開きます)が起(お)こる。板(いた)には帯電体(たいでんたい)と異符号(いふごう)、はくには帯電体(たいでんたい)と同符号(どうふごう)の電荷(でんか)が集(あつ)まり、はく同士(どうし)は同符号(どうふごう)で退(しりぞ)け合(あ)って開(ひら)く。

  3. 電気(でんき)量(りょう)0の中性(ちゅうせい)な誘電体(ゆうでんたい)に外部(がいぶ)電場(でんば)をかけて誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こした。誘電体(ゆうでんたい)全体(ぜんたい)の電気(でんき)量(りょう)の合計(ごうけい)は何(なん)Cか。

    答え:____________

    正解:0
    誘電分極(ゆうでんぶんきょく)は分子(ぶんし)ごとの電荷(でんか)がわずかにずれるだけで、電荷(でんか)が新(あたら)しく生(う)まれたり物質(ぶっしつ)の外(そと)へ出(で)ていったりしないので、誘電体(ゆうでんたい)全体(ぜんたい)の電気(でんき)量(りょう)の合計(ごうけい)は分極(ぶんきょく)の前後(ぜんご)で0Cのまま変(か)わらない。

  4. 誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こした誘電体(ゆうでんたい)が、帯電体(たいでんたい)に近(ちか)い面(めん)と遠(とお)い面(めん)に大(おお)きさの等(ひと)しい異符号(いふごう)の電荷(でんか)をもつのに、全体(ぜんたい)として帯電体(たいでんたい)に引(ひ)き寄(よ)せられるのはなぜか。

    • ◯ 誘電体(ゆうでんたい)自身(じしん)が帯電体(たいでんたい)と同符号(どうふごう)に帯電(たいでん)するため
    • ◯ 近(ちか)い面(めん)の電荷(でんか)の方(ほう)が遠(とお)い面(めん)より大(おお)きいため
    • ◯ 遠(とお)い面(めん)の電荷(でんか)が途中(とちゅう)で消(き)えてしまうため
    • ◯ クーロンの力(ちから)が距離(きょり)の2乗(じょう)に反比例(はんぴれい)し、近(ちか)い面(めん)の引力(いんりょく)が遠(とお)い面(めん)の斥力(せきりょく)より強(つよ)いため

    正解:クーロンの力が距離の2乗に反比例し、近い面の引力が遠い面の斥力より強いため
    近(ちか)い面(めん)と遠(とお)い面(めん)の電荷(でんか)の大(おお)きさは等(ひと)しいが、クーロンの力(ちから)は距離(きょり)の2乗(じょう)に反比例(はんぴれい)するので、距離(きょり)が近(ちか)い面(めん)からの引力(いんりょく)の方(ほう)が遠(とお)い面(めん)からの斥力(せきりょく)より強(つよ)くなり、誘電体(ゆうでんたい)全体(ぜんたい)としては引(ひ)き寄(よ)せられる。

単元のポイント

  • 誘電分極(ゆうでんぶんきょく) 不導体(ふどうたい)の分子(ぶんし)ごとの電荷(でんか)がわずかにかたよる現象(げんしょう)
  • 誘電体(ゆうでんたい) 誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こす不導体(ふどうたい)
  • 箔検電器(はくけんでんき) 帯電(たいでん)の有無(うむ)を、はくの開閉(かいへい)で確(たし)かめる道具(どうぐ)
問題を解く
単元のポイント
  • 誘電分極(ゆうでんぶんきょく) 不導体(ふどうたい)の分子(ぶんし)ごとの電荷(でんか)がわずかにかたよる現象(げんしょう)
  • 誘電体(ゆうでんたい) 誘電分極(ゆうでんぶんきょく)を起(お)こす不導体(ふどうたい)
  • 箔検電器(はくけんでんき) 帯電(たいでん)の有無(うむ)を、はくの開閉(かいへい)で確(たし)かめる道具(どうぐ)