
体心立方格子と面心立方格子
カメレオン先生頂点や面の原子を分数で数えると、単位格子にちゃんと何個分の原子が入っているかが分かるよ。
30秒でつかむ
- 体心立方格子は、立方体の頂点8個と中心1個に原子が配置された構造で、配位数は8、単位格子(新しいタブで開きます)に含まれる原子は2個。
- 面心立方格子は、立方体の頂点8個と各面の中心6個に原子が配置された構造で、配位数は12、単位格子に含まれる原子は4個。
- 単位格子の一辺の長さと原子半径・原子量の関係から、金属の密度(新しいタブで開きます)や原子半径を計算できる。
詳しく
体心立方格子と面心立方格子のつくり
金属結合(新しいタブで開きます)でできた金属結晶の多くは、原子が立方体の単位格子をつくるように並んでいる。立方体の8個の頂点と、その中心にもう1個の原子が入った構造を体心立方格子という。頂点の原子は8個の単位格子に共有されるので1/8個分、中心の原子は1個分として数えると、単位格子に含まれる原子の数は8×1/8+1=2個になる。
立方体の8個の頂点と、6枚の面それぞれの中心に原子が入った構造を面心立方格子という。面の中心の原子は2個の単位格子に共有されるので1/2個分であり、単位格子に含まれる原子の数は8×1/8+6×1/2=4個になる。
1個の原子に最も近い距離にある原子の数(配位数)は、体心立方格子では中心の原子のまわりの8個の頂点の原子で8、面心立方格子では1個の原子のまわりに12個の原子が接するので12になる。
例:密度と原子半径を求める
体心立方格子をとるある金属の結晶で、単位格子の一辺が3.0×10⁻⁸cm、原子量が64.8、アボガドロ定数(新しいタブで開きます)を6.0×10²³/molとしよう。単位格子の質量は原子1個の質量(64.8÷6.0×10²³)の2個分、単位格子の体積は(3.0×10⁻⁸)³cm³なので、密度=2×64.8÷(6.0×10²³×(3.0×10⁻⁸)³)=8.0g/cm³になる。
体心立方格子では、立方体の対角線(体対角線)の上で頂点の原子と中心の原子が接している状態と考えよう。体対角線の長さは一辺aの√3倍なので、原子半径rとの関係は4r=√3a、つまりr=√3a/4になる。面心立方格子では、立方体の面の対角線の上で原子が接しているとみなし、面対角線の長さはaの√2倍なので、4r=√2a、r=√2a/4という関係だ。
この関係を使うと、実際のα鉄(体心立方格子)やアルミニウム(面心立方格子)のような金属の、単位格子の一辺の長さから原子半径をおおよそ求めることができる。
なぜ面心立方格子のほうが充填率が高いのか
単位格子の体積のうち、原子が実際に占めている体積の割合を充填率という。体心立方格子の充填率は約68%、面心立方格子の充填率は約74%で、面心立方格子のほうが原子をすき間なく詰め込める構造である。
これは、面心立方格子のほうが1つの原子に接する原子の数(配位数12)が体心立方格子(配位数8)より多く、原子どうしがより密に接触して並んでいるためである。
金属の種類によって、原子どうしの結びつき方の違いから、体心立方格子をとるもの(α鉄やアルカリ金属など)と面心立方格子をとるもの(アルミニウム・銅・銀など)に分かれる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/metallic-crystal-cubic-lattices/?from=print#quiz
体心立方格子の単位格子に含まれる原子の総数は何個か(頂点の原子は1/8個分として数える)。
- ◯ 1個
- ◯ 2個
- ◯ 4個
- ◯ 8個
正解:2個
頂点の原子8個はそれぞれ1/8個分なので8×1/8=1個、中心の原子は1個分なので、合計1+1=2個になる。面心立方格子で、1個の原子に最も近い距離にある原子の数(配位数)はいくつか。
- ◯ 4
- ◯ 6
- ◯ 8
- ◯ 12
正解:12
面心立方格子では、1個の原子のまわりに12個の原子が最も近い距離で接している。体心立方格子の配位数8より多く、より密に詰まった構造である。体心立方格子をとる別のある金属の結晶で、単位格子の一辺が4.0×10⁻⁸cm、原子量が48、アボガドロ定数を6.0×10²³/molとすると、この金属の密度は何g/cm³か。
答え:____________
正解:2.5g/cm³
単位格子(新しいタブで開きます)に含まれる原子は2個なので、単位格子の質量は48÷(6.0×10²³)×2[g]。単位格子の体積は(4.0×10⁻⁸)³[cm³]。密度(新しいタブで開きます)=質量÷体積=2×48÷(6.0×10²³×(4.0×10⁻⁸)³)=2.5g/cm³。面心立方格子をとるある金属の結晶で、単位格子の一辺が5.0×10⁻⁸cm、原子量が75、アボガドロ定数を6.0×10²³/molとすると、この金属の密度は何g/cm³か。
答え:____________
正解:4.0g/cm³
単位格子に含まれる原子は4個なので、単位格子の質量は75÷(6.0×10²³)×4[g]。単位格子の体積は(5.0×10⁻⁸)³[cm³]。密度=質量÷体積=4×75÷(6.0×10²³×(5.0×10⁻⁸)³)=4.0g/cm³。
単元のポイント
- 体心立方格子 立方体の頂点8個と中心1個に原子が配置された構造。配位数8、単位格子に原子2個
- 面心立方格子 立方体の頂点8個と各面の中心6個に原子が配置された構造。配位数12、単位格子に原子4個
- 配位数 1個の原子に最も近い距離にあるほかの原子の数
- 充填率 単位格子の体積のうち、原子が実際に占める体積の割合