本文へ移動

電子(でんし)の比(ひ)電荷(でんか)

カンガルー先生まず電場(でんば)と磁場(じば)の力(ちから)をつり合(あ)わせて速(はや)さv=E/Bを求(もと)め、次(つぎ)に磁場(じば)を切(き)って電場(でんば)だけで曲(ま)げる。曲(ま)がった量(りょう)yから比(ひ)電荷(でんか)e/mが求(もと)まるよ。

30秒でつかむ

  1. 電子(でんし)1個(こ)の電気(でんき)量(りょう)(新しいタブで開きます)e(大(おお)きさ)と質量(しつりょう)mの比(ひ)e/mを比(ひ)電荷(でんか)という。トムソンは電場(でんば)と磁場(じば)を組(く)み合(あ)わせた装置(そうち)でこれを測定(そくてい)した。
  2. 平行板(へいこうばん)による電場(でんば)Eと垂直(すいちょく)な磁場(じば)Bを同時(どうじ)にかけ、力(ちから)がつり合(あ)って直進(ちょくしん)する条件(じょうけん)はeE=evBで、速(はや)さはv=E/Bと求(もと)まる(eが消(き)えるので比(ひ)電荷(でんか)が未知(みち)でも速(はや)さが決(き)まる)。
  3. 磁場(じば)を切(き)って電場(でんば)だけにすると、電子(でんし)は等(とう)加速度(かそくど)(新しいタブで開きます)で偏向板(へんこうばん)側(がわ)へ曲(ま)がる。長(なが)さLを通(とお)る間(あいだ)の偏向(へんこう)yを測(はか)ると、e/m=2yv²/(EL²)から比(ひ)電荷(でんか)が求(もと)まる。

ChatGPT に解説してもらう(新しいタブで開きます)

詳しく

電場(でんば)と磁場(じば)で速(はや)さをそろえる

トムソンの装置(そうち)では、真空(しんくう)放電(ほうでん)管(かん)(新しいタブで開きます)の中(なか)を速(はや)さvvで進(すす)む電子(でんし)の流(なが)れに、上下(じょうげ)の平行板(へいこうばん)による電場(でんば)EE(上(うえ)の板(いた)を+極(きょく)にして下向(したむ)きにかける)と、それに垂直(すいちょく)な磁場(じば)BB(紙面(しめん)に垂直(すいちょく)・表(おもて)から裏(うら)へ)を同時(どうじ)にかける。

電場(でんば)による力(ちから)は、負(ふ)の電気(でんき)を持(も)つ電子(でんし)を上(うえ)の+極板(きょくばん)へ引(ひ)く向(む)き(上向(うわむ)き)に大(おお)きさeEeE(eeは電子(でんし)の電気(でんき)量(りょう)の大(おお)きさ)で働(はたら)く。磁場(じば)による力(ちから)は、電子(でんし)の進(すす)む向(む)きと磁場(じば)の両方(りょうほう)に垂直(すいちょく)な向(む)き(下向(したむ)き)に大(おお)きさevBevBで働(はたら)く。

電場(でんば)の強(つよ)さEEと磁場(じば)の強(つよ)さBBを調節(ちょうせつ)し、ビームが曲(ま)がらずに直進(ちょくしん)するようにすると、上向(うわむ)きの力(ちから)と下向(したむ)きの力(ちから)がつり合(あ)っている。eE=evBeE=evBより、v=EBv=\dfrac{E}{B}。この式(しき)には電子(でんし)の電気(でんき)量(りょう)eeが出(で)てこないので、比(ひ)電荷(でんか)を知(し)らなくても電子(でんし)の速(はや)さが決(き)まる。

電場と磁場の力をつり合わせて速さv=E/Bを求めるAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例題(れいだい):比(ひ)電荷(でんか)e/mを求(もと)める

例題(れいだい):電場(でんば)E=3.0×10⁴V/m、磁場(じば)B=1.0×10⁻³Tで電子(でんし)ビームが直進(ちょくしん)した。まず電子(でんし)の速(はや)さはいくらか。v=EB=3.0×1041.0×10−3=v=\dfrac{E}{B}=\dfrac{3.0\times10^4}{1.0\times10^{-3}}=3.0×10⁷m/s。

次(つぎ)に磁場(じば)を切(き)り、同(おな)じ電場(でんば)E=3.0×10⁴V/mだけをかけたところ、長(なが)さL=5.0×10⁻²mの偏向板(へんこうばん)を通(とお)る間(あいだ)にy=5.0×10⁻³m曲(ま)がった。比(ひ)電荷(でんか)e/mはいくらか。板(いた)を通(とお)る時間(じかん)はt=Lvt=\dfrac{L}{v}で、その間(あいだ)y=12⋅eEmt2y=\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{eE}{m}t^2だけ加速度(かそくど)eEm\dfrac{eE}{m}で曲(ま)がる。tを消去(しょうきょ)して整理(せいり)するとem=2yv2EL2\dfrac{e}{m}=\dfrac{2yv^2}{EL^2}。

数値(すうち)を入(い)れると、em=2×5.0×10−3×(3.0×107)23.0×104×(5.0×10−2)2=9.0×101275=\dfrac{e}{m}=\dfrac{2\times5.0\times10^{-3}\times(3.0\times10^7)^2}{3.0\times10^4\times(5.0\times10^{-2})^2}=\dfrac{9.0\times10^{12}}{75}=1.2×10¹¹C/kg。実際(じっさい)に測定(そくてい)される電子(でんし)の比(ひ)電荷(でんか)は約(やく)1.8×10¹¹C/kgで、この例題(れいだい)は装置(そうち)の仕組(しく)みを確(たし)かめるための値(あたい)である。

電場だけで偏向させてe/mを求める(E=3.0×10⁴V/m・B=1.0×10⁻³T)Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

なぜ比(ひ)電荷(でんか)から「電子(でんし)はすべての物質(ぶっしつ)に共通(きょうつう)」と分(わ)かるのか

トムソンがこの実験(じっけん)で重要(じゅうよう)だと考(かんが)えたのは、e/mの値(あたい)そのものよりも、陰極(いんきょく)の金属(きんぞく)や管(かん)の中(なか)の気体(きたい)をどれに変(か)えても、求(もと)まるe/mの値(あたい)がいつも同(おな)じだったという事実(じじつ)である。

もし陰極線(いんきょくせん)(新しいタブで開きます)の正体(しょうたい)が物質(ぶっしつ)ごとに違(ちが)う粒子(りゅうし)なら、e/mも物質(ぶっしつ)ごとに違(ちが)う値(あたい)になるはずである。実際(じっさい)にはいつも同(おな)じ値(あたい)になったので、陰極線(いんきょくせん)をつくる粒子(りゅうし)(電子(でんし))は、どんな原子(げんし)にも共通(きょうつう)して含(ふく)まれていると結論(けつろん)できる。

のちに電気(でんき)素(そ)量(りょう)e自体(じたい)の値(あたい)がミリカンの実験(じっけん)(次(つぎ)のページ「電気(でんき)素(そ)量(りょう)の測定(そくてい)(新しいタブで開きます)」)で単独(たんどく)に測定(そくてい)され、比(ひ)電荷(でんか)e/mと組(く)み合(あ)わせることで、電子(でんし)の質量(しつりょう)mも求(もと)められるようになった(m=e÷(e/m))。

確認問題

問題 1 / 4電場(でんば)E=4.0×10⁴V/m、磁場(じば)B=2.0×10⁻³Tを同時(どうじ)にかけたとき、電子(でんし)ビームが直進(ちょくしん)した。このときの電子(でんし)の速(はや)さvはいくらか。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/specific-charge-of-electron/?from=print#quiz

  1. 電場(でんば)E=4.0×10⁴V/m、磁場(じば)B=2.0×10⁻³Tを同時(どうじ)にかけたとき、電子(でんし)ビームが直進(ちょくしん)した。このときの電子(でんし)の速(はや)さvはいくらか。

    答え:____________

    正解:2.0×10⁷m/s
    力(ちから)のつり合(あ)い(新しいタブで開きます)eE=evBより、v=E/B=4.0×10⁴÷2.0×10⁻³=2.0×10⁷m/s。

  2. 速(はや)さ2.0×10⁷m/sの電子(でんし)ビームに、磁場(じば)を切(き)って電場(でんば)E=4.0×10⁴V/mだけをかけたところ、長(なが)さL=4.0×10⁻²mの偏向板(へんこうばん)を通(とお)る間(あいだ)にy=4.0×10⁻³m曲(ま)がった。このときの比(ひ)電荷(でんか)e/mはいくらか。

    答え:____________

    正解:5.0×10¹⁰C/kg
    e/m=2yv²/(EL²)=(2×4.0×10⁻³×(2.0×10⁷)²)÷(4.0×10⁴×(4.0×10⁻²)²)=5.0×10¹⁰C/kg。

  3. トムソンの実験(じっけん)で、陰極(いんきょく)の金属(きんぞく)や管内(かんない)の気体(きたい)を変(か)えても比(ひ)電荷(でんか)e/mの値(あたい)が変(か)わらなかったことは何(なに)を示(しめ)すか。

    • ◯ 比(ひ)電荷(でんか)は金属(きんぞく)の種類(しゅるい)によって大(おお)きく異(こと)なること
    • ◯ 陰極線(いんきょくせん)は電気(でんき)を持(も)たないこと
    • ◯ 磁場(じば)の強(つよ)さによって電子(でんし)の質量(しつりょう)が変(か)わること
    • ◯ 電子(でんし)はどの原子(げんし)にも共通(きょうつう)する同(おな)じ粒子(りゅうし)であること

    正解:電子はどの原子にも共通する同じ粒子であること
    e/mが物質(ぶっしつ)によらず一定(いってい)だったことから、陰極線(いんきょくせん)(新しいタブで開きます)をつくる粒子(りゅうし)(電子(でんし))はすべての物質(ぶっしつ)に共通(きょうつう)すると分(わ)かる。

  4. 電子(でんし)の比(ひ)電荷(でんか)をe/m=1.8×10¹¹C/kg、電気(でんき)素(そ)量(りょう)をe=1.6×10⁻¹⁹Cとして、電子(でんし)の質量(しつりょう)mを求(もと)めよ。

    答え:____________

    正解:8.9×10⁻³¹kg
    m=e÷(e/m)=1.6×10⁻¹⁹÷1.8×10¹¹=8.9×10⁻³¹kg。

単元のポイント

  • 比(ひ)電荷(でんか) e/m(電気(でんき)量(りょう)÷質量(しつりょう))。電子(でんし)では約(やく)1.8×10¹¹C/kg
  • 速(はや)さを求(もと)める条件(じょうけん) 電場(でんば)と磁場(じば)の力(ちから)がつり合(あ)う(直進(ちょくしん)):eE=evB → v=E/B
  • 比(ひ)電荷(でんか)を求(もと)める式(しき) 磁場(じば)を切(き)り、電場(でんば)だけで偏向(へんこう)y:e/m=2yv²/(EL²)
  • 分(わ)かること e/mはどの気体(きたい)・金属(きんぞく)を使(つか)っても同(おな)じ値(あたい)になる→電子(でんし)はすべての物質(ぶっしつ)に共通(きょうつう)する粒子(りゅうし)
問題を解く
単元のポイント
  • 比(ひ)電荷(でんか) e/m(電気(でんき)量(りょう)÷質量(しつりょう))。電子(でんし)では約(やく)1.8×10¹¹C/kg
  • 速(はや)さを求(もと)める条件(じょうけん) 電場(でんば)と磁場(じば)の力(ちから)がつり合(あ)う(直進(ちょくしん)):eE=evB → v=E/B
  • 比(ひ)電荷(でんか)を求(もと)める式(しき) 磁場(じば)を切(き)り、電場(でんば)だけで偏向(へんこう)y:e/m=2yv²/(EL²)
  • 分(わ)かること e/mはどの気体(きたい)・金属(きんぞく)を使(つか)っても同(おな)じ値(あたい)になる→電子(でんし)はすべての物質(ぶっしつ)に共通(きょうつう)する粒子(りゅうし)