
電気素量の測定
カンガルー先生油滴に働く重力mgと電場からの力qEをつり合わせてq=mg/Eを求める。多くの油滴で測ると、qはいつも同じ値eの整数倍になるよ。
30秒でつかむ
- ミリカンは、小さな油滴に電気を帯びさせ、平行板の間に落として、重力と電場からの力がつり合って油滴が空中に静止する条件を利用した。
- 油滴の質量をm、電気量(新しいタブで開きます)の大きさをq、電場をEとすると、静止する条件はqE=mgなのでq=mg/E。電場は電圧Vと間隔dからE=V/dで求まる。
- 多数の油滴で電気量qを測ると、必ずある最小値e(電気素量)の整数倍になった。電気は電子1個分を単位とするとびとびの値しか取らない(電荷の量子性)。
詳しく
油滴を静止させてqを求める
ミリカンは、霧吹きで作った小さな油滴を、間隔dの水平な平行板の間に落とし込んだ。油滴はX線などを当てることで電気を帯びさせ、板の間にかける電圧Vを調節して、油滴が重力に引かれて落ちも浮き上がりもせず、空中で静止する条件を探した。
油滴の質量をm、帯びた電気量の大きさをq、極板間の電場をとすると、油滴に働く重力(下向き)と電場からの力(上向き、油滴が負に帯電している場合は上の極板を正にする)がつり合って静止する条件はである。
この式を変形するととなり、油滴の質量mと、静止させるのに必要な電圧Vを測れば、電気量qが求まる。質量mは、電場を切って油滴が空気中を落下する速さ(空気の抵抗とつり合う一定の速さ)から別に求める。
例題:油滴の電気量と電気素量
例題:質量m=4.9×10⁻¹⁵kgの油滴を、間隔d=5.0×10⁻³mの平行板の間でV=5.0×10²Vの電圧をかけて静止させた。この油滴の電気量qはいくらか(重力加速度(新しいタブで開きます)g=9.8m/s²とする)。
電場はV/m。重力はN。つり合いの式より、4.8×10⁻¹⁹C。
電気素量e=1.6×10⁻¹⁹Cで割ると、。この油滴はちょうど3個分の電子の電気量を帯びていたことになる。別の油滴で測っても、qは必ずeの整数倍になる。
なぜ「整数倍になる」ことが重要なのか
ミリカンが多数の油滴で電気量qを測ったとき、qの値は油滴ごとにさまざまだったが、どの値も1.6×10⁻¹⁹Cの整数倍(1倍、2倍、3倍…)からわずかにもずれなかった。
もし電気が水のように連続的な量として存在するなら、qはどんな値でもとり得るはずである。実際には必ず整数倍にしかならなかったことから、電気はこれ以上分けられない最小単位e(電気素量)を持つ粒子(電子)を単位にして存在することが確かめられた。
この電気素量eは、単元「電気」の「電荷と電流」で電流や電気量の計算に使う定数として既に扱っている。ここでは、その値がどのように測定され、電気が粒であることがどう確かめられたかに焦点を当てる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/measuring-the-elementary-charge/?from=print#quiz
間隔d=4.0×10⁻³mの平行板にV=6.0×10²Vの電圧をかけた。極板間の電場Eの強さはいくらか。
答え:____________
正解:1.5×10⁵V/m
E=V/d=6.0×10²÷4.0×10⁻³=1.5×10⁵V/m。質量m=7.5×10⁻¹⁵kgの油滴が、電場E=1.5×10⁵V/mの中で静止した(重力加速度g=9.8m/s²とする)。この油滴の電気量qはいくらか。
答え:____________
正解:4.9×10⁻¹⁹C
qE=mgより、q=mg/E=(7.5×10⁻¹⁵×9.8)÷1.5×10⁵=4.9×10⁻¹⁹C。ある油滴の電気量がq=9.6×10⁻¹⁹Cと測定された。電気素量をe=1.6×10⁻¹⁹Cとすると、この油滴は電子何個分の電気量を帯びていたか。数字だけで答えよ。
答え:____________
正解:6
n=q/e=9.6×10⁻¹⁹÷1.6×10⁻¹⁹=6。この油滴は電子6個分の電気量(新しいタブで開きます)を帯びていた。ミリカンが多数の油滴で電気量を測定したところ、得られた値はすべてある最小値eの整数倍だった。これは何を示すか。
- ◯ 電場の強さはどの実験でも同じであること
- ◯ 電気は水のように連続的な量であること
- ◯ 油滴の質量はすべて同じであること
- ◯ 電気は電子1個分を単位とする、とびとびの値しか取らないこと(電荷の量子性)
正解:電気は電子1個分を単位とする、とびとびの値しか取らないこと(電荷の量子性)
測定された電気量が必ず最小値eの整数倍になったことから、電気は電子を単位とするとびとびの値しか取らないと分かる。
単元のポイント
- 電気素量e 電気量の最小単位。e=1.6×10⁻¹⁹C(電子1個が持つ電気量の大きさ)
- 油滴が静止する条件 qE=mg(電場からの力=重力)→ q=mg/E=mgd/V
- 電荷の量子性 どの油滴の電気量qも、必ずeの整数倍(q=ne、nは整数)になる
- 分かること 電気はこれ以上分けられない最小単位eを持つ粒(電子)を単位にして存在する