
ブロック経済
フクロウ先生仲間うちの売り買いを優先し、外の国からの輸入をおさえた結果、外の国との対立が強まった点に注目しよう。
30秒でつかむ
- 1929年に世界恐慌(新しいタブで開きます)が始まると、各国は自分の国の産業を守るため、輸入品にかける関税を引き上げた。世界の貿易は大きく減った。
- 1932年のオタワ会議で、イギリスは植民地などとの間の関税を低くし、外の国の品物には高い関税をかけた。これがブロック経済の始まりとされる。
- フランスやアメリカ、ドイツ、日本も、自分の国を中心とする経済のまとまりをつくった。国どうしの対立は深まり、第二次世界大戦の原因の一つとなった。
- いつ
- 1930年代〜第二次世界大戦のころ(1932年のオタワ会議から)
- どこ
- イギリスとその自治領・植民地、フランス、アメリカ、ドイツ、日本など
- 誰
- イギリスをはじめとする大国の政府
- 何
- 世界恐慌のなかで、大国が植民地や関係の深い国々と経済圏をつくり、高い関税などで外の国との取引を制限した
詳しく
背景
1929年、アメリカから世界中に深刻な不景気が広がった。これを世界恐慌という。各国で生産が落ちこみ、失業者がふえていく。そこで各国は、外国から入る品物にかける税を引き上げた。この税を関税といい、高くすると輸入品は値段が上がって売れにくくなる。輸入をおさえて自分の国の産業を守るやり方を、保護貿易とよぶ。アメリカは1930年に関税を大きく引き上げ、ほかの国々も輸入を制限していった。こうして、世界の貿易は大きく減ったのである。多くの国は、紙幣を金と交換するしくみである金本位制からも離れた。
流れ
イギリスは、それまで自由な貿易を大切にしてきた国である。しかし1932年、輸入品に広く保護関税をかける方針に切りかえた。同じ年の夏、カナダのオタワでイギリス帝国経済会議(オタワ会議)が開かれる。イギリス帝国とは、本国と世界各地の植民地などを合わせたまとまりである。会議には、イギリス本国と、カナダやオーストラリアなどの自治領、インドなどの代表が集まった。自治領は、もとは広い自治を認められた植民地で、このころには本国と対等の地位にあった。
会議では、帝国の中の品物には低い関税、帝国の外の品物には高い関税をかける帝国特恵関税が決まる。前の年からは、イギリスの通貨ポンドと結びつく国々のまとまりもできていた。これをスターリング・ブロック(ポンド・ブロック)とよぶ。貿易やお金の支払いで結びついた地域のまとまりを、経済圏という。大国が植民地や関係の深い国々と経済圏をつくり、高い関税などで外の国との取引を制限するやり方をブロック経済という。
ほかの大国も、それぞれの経済圏をつくった。フランスは、金本位制を続けたベルギーやスイスなどと金ブロックを組む。アメリカは南北アメリカの国々と、ゆるやかなドル・ブロックをつくった。ドイツは東南ヨーロッパに、日本は満州(中国東北部)などに経済圏を広げていった。
結果
オタワ会議のあと、イギリス帝国の中の貿易はふえ、帝国の経済は一時持ち直した。しかし経済圏の外の国は、品物を売る先が狭まる。こうして、ブロックどうしの間では政治や経済の争いが激しくなっていった。とくにドイツと日本は自分たちの経済圏をさらに広げようとし、イギリスやフランス、アメリカと対立を深める。こうしてブロック経済は、第二次世界大戦の原因の一つとなった。この反省から、大戦のあとは関税を下げ、自由な貿易を広げるしくみがつくられていく。
主な出来事
- ニューヨークの株価が大きく下がり、世界恐慌が始まる
- アメリカが関税を大きく引き上げる法律(スムート・ホーリー関税法)を定める
- イギリスの通貨ポンドの価値が切り下げられる
- イギリスが輸入品に広く保護関税をかける方針に切りかえる
- カナダのオタワでオタワ会議が始まる
- オタワ会議が終わり、帝国特恵関税の取り決めが結ばれる
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/history/bloc-economy/?from=print#quiz
1932年、イギリスが本国や植民地などの代表を集め、イギリス帝国の中で関税を低くし合う取り決めを結んだ会議を何というか。
- ◯ ワシントン会議
- ◯ パリ講和会議
- ◯ オタワ会議
- ◯ ウィーン会議
正解:オタワ会議
1932年、カナダのオタワでイギリス帝国経済会議(オタワ会議)が開かれた。帝国の中の関税は低くし、外の国には高い関税をかける取り決めが結ばれた。世界恐慌のあと、各国が輸入品にかける関税を引き上げたねらいとして、正しいものはどれか。
- ◯ 植民地を独立させるため
- ◯ 自分の国の産業を守るため
- ◯ 世界の貿易をさかんにするため
- ◯ 外国の品物を安く買うため
正解:自分の国の産業を守るため
関税を高くすると、輸入品は値段が上がって売れにくくなる。こうして自分の国の産業を守るやり方を保護貿易という。イギリスの通貨ポンドと結びつき、ポンドで貿易の支払いを行う国々のまとまりを何というか。
- ◯ ドル・ブロック
- ◯ スターリング・ブロック
- ◯ 金ブロック
- ◯ 円ブロック
正解:スターリング・ブロック
イギリスの通貨ポンドと結びつく国々のまとまりをスターリング・ブロック(ポンド・ブロック)という。金ブロックはフランスを中心に、金本位制を続けた国々のまとまりである。ブロック経済によって起きたこととして、正しいものはどれか。
- ◯ 国々の間で関税がなくなり、自由な貿易がさかんになった
- ◯ 経済圏どうしの対立が強まり、第二次世界大戦の一因となった
- ◯ イギリス帝国の中で、国や地域の間の貿易がなくなった
- ◯ アメリカとドイツが手を結び、一つの経済圏にまとまった
正解:経済圏どうしの対立が強まり、第二次世界大戦の一因となった
大国がそれぞれの経済圏を囲いこんだため、経済圏(ブロック)どうしの対立が強まった。ブロック経済は第二次世界大戦の原因の一つとなった。
単元のポイント
- 関税 外国から入ってくる品物にかける税。高くすると、輸入品は値段が上がって売れにくくなる
- 保護貿易 関税などで輸入をおさえ、自分の国の産業を守るやり方
- 金本位制 紙幣を決まった量の金と交換できるようにして、通貨の価値を金で支えるしくみ
- オタワ会議 1932年にカナダのオタワで開かれたイギリス帝国経済会議。帝国の中で関税を低くし合う取り決めを結んだ
- 自治領 カナダやオーストラリアのように、もとは広い自治を認められたイギリスの植民地。1930年代には本国と対等の地位にあった
- 帝国特恵関税 イギリス帝国の中の品物には低い関税、帝国の外の品物には高い関税をかけるしくみ
- スターリング・ブロック 通貨ポンドを使って貿易の支払いを行う、イギリスと結びついた国々のまとまり。ポンド・ブロックともいう
- 金ブロック フランスを中心に、金本位制を続けた国々の経済圏