
生物群集の多様性と攪乱
カエル先生攪乱は悪いものとは限らない。ちょうどいい規模の攪乱が多様な種を支えているよ。
30秒でつかむ
- 山火事・台風(新しいタブで開きます)・倒木など生物群集の構造を乱す出来事を**攪乱**といい、攪乱の規模が小さすぎても大きすぎても種多様性は低くなる。
- 攪乱の規模が中程度のときに生物群集の種多様性が最も高くなるという考え方を**中規模攪乱説**という。
- 中規模の攪乱は優占種(新しいタブで開きます)の独占を防ぎつつ多くの種を全滅させない強さであるため、競争に弱い種も生き残る機会を生み、種が入れ替わりながら多様性が保たれる。
詳しく
攪乱と種多様性の関係
山火事・台風・倒木など、生物群集の構造を乱す出来事を攪乱という。
攪乱の規模が小さいと競争に強い一部の種(優占種)が群集を占め続けるため種多様性は低くなりやすく、攪乱の規模が大きすぎると多くの種が同時に失われて種多様性はやはり低くなる。
これに対し、攪乱の規模が中程度のときに生物群集の種多様性が最も高くなるという考え方を中規模攪乱説という。
中規模攪乱で多様性が高まる仕組み
中規模の攪乱が起こると、それまで優占していた種の一部が失われ、空いた場所に競争に弱かった別の種が入り込む機会が生まれる。
攪乱の起こる場所や時期が少しずつ異なれば、群集内には攪乱直後の場所と長く攪乱を受けていない場所が入り混じり、それぞれの場所に適した異なる種が共存できるようになる。
サンゴ礁や熱帯雨林でも、台風や倒木による中規模の攪乱が繰り返し起こる場所で種多様性が高く保たれている例が知られている。
攪乱の規模が極端な場合に多様性が下がる理由
攪乱がほとんど起こらないと、資源の利用に優れた一部の種だけが競争に勝ち続けて他の種を競争的排除(新しいタブで開きます)してしまうため、群集内の種数は少なくなる。
逆に攪乱の規模が大きすぎると、優占種だけでなく多くの種がまとめて失われてしまい、生き残る種そのものが少なくなるため、やはり種多様性は低くなる。
つまり中規模の攪乱は、優占種の独占を防ぎつつ多くの種を全滅させない強さであるために、結果として最も高い種多様性を支えることになる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/community-diversity-and-disturbance/?from=print#quiz
生態学における攪乱とはどのようなものか。
- ◯ 生物群集の構造が常に一定に保たれる状態
- ◯ 生態系の物質循環のこと
- ◯ 個体群密度が高くなることだけを指す言葉
- ◯ 山火事や台風など、生物群集の構造を乱す出来事
正解:山火事や台風など、生物群集の構造を乱す出来事
山火事・台風(新しいタブで開きます)・倒木など、生物群集の構造を乱す出来事を攪乱という。中規模攪乱説が主張する、攪乱の規模と種多様性の関係として正しいものはどれか。
- ◯ 攪乱の規模が大きいほど種多様性は常に高くなる
- ◯ 攪乱の規模と種多様性には関係が無い
- ◯ 攪乱の規模が中程度のときに種多様性が最も高くなる
- ◯ 攪乱が全く起こらないときに種多様性が最も高くなる
正解:攪乱の規模が中程度のときに種多様性が最も高くなる
攪乱の規模が中程度のときに生物群集の種多様性が最も高くなるという考え方を中規模攪乱説という。中規模の攪乱が起こると、生物群集の中でどのようなことが起こりやすいか。
- ◯ 優占種だけが常に増え続ける
- ◯ 種の構成は攪乱の前後で全く変化しない
- ◯ すべての種が同時に失われ、群集そのものが消える
- ◯ 優占種の一部が失われ、競争に弱かった別の種が入り込む機会が生まれる
正解:優占種の一部が失われ、競争に弱かった別の種が入り込む機会が生まれる
中規模の攪乱が起こると、優占していた種の一部が失われ、空いた場所に競争に弱かった別の種が入り込む機会が生まれる。攪乱がほとんど起こらない場合に種多様性が低くなりやすいのはなぜか。
- ◯ 資源の利用に優れた一部の種だけが競争に勝ち続け、他の種を競争的排除してしまうため
- ◯ 攪乱が無いと生態的地位の数が増え続けるため
- ◯ 攪乱が無いと種間競争そのものが起こらなくなるため
- ◯ 攪乱が無いと全ての種が同時に増え続けるため
正解:資源の利用に優れた一部の種だけが競争に勝ち続け、他の種を競争的排除してしまうため
攪乱がほとんど起こらないと、資源の利用に優れた一部の種だけが競争に勝ち続けて他の種を競争的排除(新しいタブで開きます)してしまうため。
単元のポイント
- 攪乱 山火事や台風、人間の活動などによって生物群集の構造が乱される出来事
- 中規模攪乱説 攪乱の規模が小さすぎても大きすぎても種多様性は低くなり、中程度の攪乱のときに種多様性が最も高くなるという考え方
- 攪乱と種の入れ替わり 攪乱によって一部の生物が失われた場所に別の種が入り込み、群集内の種の構成が入れ替わること
- 多様な種の共存 攪乱によって優占種が入れ替わることで、競争に弱い種も生き残る機会が生まれること