力の成分とつり合いの式
カワウソ先生力は矢印(ベクトル)だから、そのまま足し算できない。x成分とy成分に分ければ、ふつうの足し算になるよ。
30秒でつかむ
- 力は向きと大きさをもつベクトルである。水平とθの角をなす大きさFの力は、x成分Fcosθとy成分Fsinθに分解できる。
- 物体に働く力がつり合っているとき、すべての力のx成分の和とy成分の和は、どちらも0になる。
- 斜面上の物体では、軸を斜面に沿う向きと斜面に垂直な向きにとると、重力をmg sinθとmg cosθに分けて考えられる。
詳しく
力の分解とつり合いの条件
力は向きと大きさをもつので、矢印(ベクトル)で表す。2つの力を合わせた合力(新しいタブで開きます)は、2本の矢印を2辺とする平行四辺形の対角線になる。逆に、1つの力を同じ働きをする2つの力に分けることを力の分解という。
x軸となす角がの大きさの力は、、の2つの成分に分けられる。成分は向きを+・−の符号で表した数なので、ふつうの足し算・引き算で合計できる。
物体が静止しているとき、物体に働く力の合力は0である。成分で書けば、かつ。これが力のつり合いの式だ。
例題:成分の計算と斜面上の物体
例題1:水平と30°の向きに引く10Nの力の成分は、8.7N、5.0N。
例題2:傾き30°の斜面に、質量2.0kgの物体が静止している。重力はN。斜面に沿う成分はNなので、静止摩擦力(新しいタブで開きます)は斜面に沿って上向きに9.8N。斜面に垂直な成分Nと垂直抗力(新しいタブで開きます)がつり合い、垂直抗力は約17N。
例題3:質量1.0kgのおもりを2本の糸でつるし、どちらの糸も鉛直から60°傾いている。張力をTとすると、鉛直方向のつり合いはより9.8N。水平成分は左右で打ち消し合う。
なぜ成分ごとに0とおけるのか
合力が0ということは、合力の矢印の長さが0ということだ。矢印のx成分とy成分のどちらかが0でなければ、矢印に長さが残ってしまう。だから、合力が0なら成分はどちらも0になり、逆に両方が0なら合力も0になる。
軸の向きは自由に選んでよい。斜面の問題で軸を斜面に沿ってとると、垂直抗力と摩擦力がそれぞれ1つの軸にそろい、分解するのは重力だけで済む。
2本の糸でつるすとき、糸の開きが大きいほどの値が小さくなるので、同じ重さを支えるのに大きな張力が必要になる。ハンモックやつり橋のロープを強く張ると大きな力がかかるのは、このためである。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/force-components-and-equilibrium/?from=print#quiz
水平と30°の向きに、斜め上向きに20Nの力で引く。この力の鉛直成分(y成分)は何Nか。
答え:____________
正解:10
y成分=Fsin30°=20×1/2=10N。傾き30°の斜面に、質量4.0kgの物体が静止している。物体に働く静止摩擦力の大きさは何Nか。重力加速度(新しいタブで開きます)を9.8m/s²とする。
答え:____________
正解:19.6
重力は4.0×9.8=39.2N。斜面に沿う成分は39.2×sin30°=19.6Nで、これと静止摩擦力(新しいタブで開きます)がつり合う。おもりを2本の糸で左右対称につるす。2本の糸の開く角度を大きくしていくと、1本の糸の張力はどうなるか。
- ◯ 小さくなる
- ◯ 0になる
- ◯ 変わらない
- ◯ 大きくなる
正解:大きくなる
鉛直方向のつり合い2Tcosθ=mgで、θが大きくなるとcosθが小さくなるので、張力Tは大きくなる。物体に働く力がつり合っている条件として正しいものはどれか。
- ◯ 垂直抗力が重力より大きい
- ◯ いちばん大きい力が0になる
- ◯ x成分の和とy成分の和がどちらも0になる
- ◯ 力の大きさをすべて足すと0になる
正解:x成分の和とy成分の和がどちらも0になる
合力(新しいタブで開きます)が0になる条件は、すべての力のx成分の和とy成分の和が、どちらも0になること。力の大きさを足すだけでは向きを考えていない。
単元のポイント
- 力の分解 1つの力を、同じ働きをする2つの力(成分)に分けること
- x成分・y成分 Fx=Fcosθ、Fy=Fsinθ(θは力とx軸のなす角)
- つり合いの式 x成分の和=0、y成分の和=0
- 斜面上の重力 斜面に沿う成分mg sinθ・斜面に垂直な成分mg cosθ