
凝固点降下と分子量の測定
カメレオン先生冷却曲線は、いちど下がりすぎてから上がる「過冷却」を見分けられるかがポイント。上がりきった後の変化で凝固点を読むよ。
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- 溶質の粒子が溶媒の結晶格子(新しいタブで開きます)に入れないため、溶液の凝固点は純粋な溶媒より低くなる(凝固点降下)。
- 凝固点降下度は質量モル濃度(新しいタブで開きます)に比例し、比例定数(モル凝固点降下)は溶媒ごとに決まっている(沸点上昇と同じ形の法則)。
- 冷却曲線では過冷却(凝固点より下がってから戻る動き)が起こるので、戻ったあとの傾きから真の凝固点を読み取る。
詳しく
凝固点降下とモル凝固点降下
純粋な溶媒が凝固するとき、分子(新しいタブで開きます)は規則正しい結晶格子に並んでいく。溶質の粒子が混ざっていると、その粒子は結晶格子にそのまま入れないため、溶媒分子が結晶になるのを妨げる。そのため、溶液は純粋な溶媒より低い温度にしないと凝固が始まらない。これを凝固点降下という。
凝固点降下度(純粋な溶媒の凝固点との差)も、沸点上昇度と同じように質量モル濃度〔mol/kg〕に比例する。この比例定数をモル凝固点降下(記号Kf)といい、溶媒ごとに決まった値を持つ。沸点上昇と同じく、非電解質(新しいタブで開きます)であれば溶質の種類には関係しない。
凝固点降下度は、実際に溶液を冷やしていったときの温度変化を記録した冷却曲線(横軸:時間、縦軸:温度)から読み取ることができる。
例:ベンゼンを使った分子量の測定
不揮発性で電離(新しいタブで開きます)しない物質Xを1.20g、ベンゼン100g(0.100kg)に溶かし、冷却曲線から凝固点降下度を測定すると0.512Kだった。ベンゼンのモル凝固点降下を5.12K・kg/molとして、Xの分子量(新しいタブで開きます)Mを求める。
質量モル濃度はmol/kgなので、溶かした物質Xの物質量はmolである。分子量は質量を物質量で割っただ。
このように、質量と溶媒の質量を量り、冷却曲線から凝固点降下度を読み取るだけで、溶質の分子量を実験的に求めることができる。この方法は、純粋な物質を取り出さずに溶液の性質だけから分子量を決められる点で便利である。
なぜ冷却曲線で過冷却を見分ける必要があるか
液体を冷やしていくと、凝固点に達してもすぐには結晶ができ始めず、いったん凝固点より低い温度まで冷え続けることがある。これを過冷却という。過冷却の状態で結晶ができ始めると、凝固によって発生する熱(凝固熱)で温度が急に上がる。
純粋な溶媒では、過冷却から温度が上がったあと、すべてが固体になるまで温度は一定に保たれる(平らな区間になる)。ところが溶液では、凝固が進むほど残った液体の溶質の濃度が高くなり、凝固点がさらに下がっていくため、温度はわずかに下がり続ける傾きを持つ。
そのため、溶液の真の凝固点を求めるには、過冷却の底やその後の急な温度上昇ではなく、温度が上がりきった直後のなだらかな傾きの部分を、冷却を始めた直線の傾きまで逆にのばして交わる点を読み取る必要がある。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/freezing-point-depression-and-molar-mass-determination/?from=print#quiz
溶液の凝固点が純粋な溶媒より低くなる理由はどれか。
- ◯ 溶液のほうが蒸気圧が高いため
- ◯ 溶質が溶媒分子を分解するため
- ◯ 溶質が熱を吸収して溶液を温めるため
- ◯ 溶質の粒子が溶媒の結晶格子に入れず、結晶になるのを妨げるため
正解:溶質の粒子が溶媒の結晶格子に入れず、結晶になるのを妨げるため
溶質の粒子は溶媒の結晶格子(新しいタブで開きます)にそのまま入れないため、溶媒分子(新しいタブで開きます)が規則正しく結晶になっていくのを妨げる。そのため溶液は純粋な溶媒より低い温度にしないと凝固が始まらない。不揮発性で電離しない物質X 1.00gをベンゼン200g(0.200kg)に溶かし、凝固点降下度0.320Kを測定した。ベンゼンのモル凝固点降下を5.12K・kg/molとして、Xの分子量を求めよ。整数で答えよ。
答え:____________
正解:80
質量モル濃度(新しいタブで開きます)は0.320/5.12=0.0625mol/kg。溶媒0.200kgに溶けた物質量は0.0625×0.200=0.0125mol。分子量(新しいタブで開きます)は1.00÷0.0125=80。液体を冷やしていくとき、凝固点に達してもすぐに結晶ができ始めず、凝固点より低い温度まで液体のまま冷え続ける現象を何というか。
- ◯ 蒸気圧降下
- ◯ 過冷却
- ◯ 溶解平衡
- ◯ 電離
正解:過冷却
凝固点に達してもすぐに結晶ができ始めず、凝固点より低い温度まで液体のまま冷え続ける現象を過冷却という。結晶ができ始めると凝固熱で温度が急に上がる。溶液の冷却曲線から真の凝固点を読み取るとき、見るべき部分はどれか。
- ◯ 過冷却で温度が最も下がった点
- ◯ 冷却を始めた直後の温度
- ◯ 温度が急に上がり始めた瞬間の温度
- ◯ 過冷却後、温度が上がりきった傾きを冷却開始の直線にのばして交わる点
正解:過冷却後、温度が上がりきった傾きを冷却開始の直線にのばして交わる点
溶液では凝固が進むほど残った液体の溶質濃度が上がり凝固点が下がり続けるため、過冷却後に温度が上がりきった直後のなだらかな傾きを、冷却開始時の直線にのばして交わる点を真の凝固点とする。
単元のポイント
- 凝固点降下 溶質を溶かした溶液の凝固点が、純粋な溶媒の凝固点より低くなること
- モル凝固点降下 質量モル濃度1mol/kgあたりの凝固点降下度〔K・kg/mol〕。溶媒ごとに決まった値を持つ比例定数
- 過冷却 液体が凝固点より低い温度まで、凝固せずに液体のまま冷え続ける現象。結晶が生じ始めると温度が上がる
- 冷却曲線の読み方 過冷却の後に温度が上がりきった直後の傾きを、冷却を始めた直線にのばして交わる点を凝固点とする