熱と仕事の変換・不可逆性
カワウソ先生仕事は熱にかんたんに変わるけど、熱をぜんぶ仕事には戻せない。この一方通行が不可逆性だよ。
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- 仕事(新しいタブで開きます)と熱はどちらもエネルギーを移す方法で、単位はどちらもJ(ジュール)である。ジュールの実験は、おもりの落下による仕事が、羽根車を通して熱に変わることを示した。
- 力学的な仕事は、摩擦や衝突によって、かんたんに熱(原子・分子(新しいタブで開きます)の乱雑な熱運動(新しいタブで開きます))に変わる。しかし、熱をすべて仕事に変えることは一般にはできない。
- 高温の物体から低温の物体へ熱が移って熱平衡に達する変化のように、自然には一方向にしか進まない変化を不可逆変化という。
詳しく
仕事と熱の変換
力学的な仕事と熱は、どちらも物体のエネルギーを変化させる方法で、単位はどちらもJ(ジュール)である。19世紀にジュールが行った実験(ジュールの実験)は、おもりの落下による仕事が、羽根車を通して水をかき混ぜる仕事に変わり、最終的に水の温度を上げる熱になることを示した。
ジュールの実験は、仕事と熱が変換する割合(熱の仕事当量)も明らかにした。1cal(水1gを1K上げる熱量)は、ほぼ4.2Jの仕事に相当する。
摩擦のある面を物体がすべると、運動エネルギー(新しいタブで開きます)の一部が摩擦によって熱に変わり、面と物体の温度が上がる。このように、整った運動である仕事は、摩擦や衝突によってかんたんに熱に変わる。
例題:仕事から熱への変換
例題1:質量1.0kgの物体を高さ30mから落とし、その位置エネルギーがすべて熱に変わって、質量10gの水に伝わったとする。仕事は294J。
例題2:この294Jがすべて水の温度上昇に使われたとすると、水の比熱(新しいタブで開きます)を4.2J/(g・K)として、7.0K上がる。
例題3:逆に、仕事420Jがすべて熱に変わり、水100gの温度が上がったとすると、1.0K。これは、1cal(水1gを1K上げる熱量)がほぼ4.2Jに相当するという関係と対応する。
なぜ熱はすべて仕事には戻せないのか
仕事は、物体全体がそろって動く整った運動によるエネルギーの移動である。これに対して、熱は原子・分子がでたらめな方向に飛び回る熱運動のエネルギーだ。
そろった運動は、摩擦や衝突によって、かんたんにでたらめな熱運動(熱)に変わる。しかし、でたらめに飛び回る無数の分子の運動を、何もせずにそろった運動(仕事)に戻すことは、起こりにくい。
高温の物体と低温の物体を接触させると、熱は高温側から低温側へ移り、やがて熱平衡に達する。これも、外から何もしなければ逆には進まない不可逆変化である。コップの水にインクを落とすと広がって均一になるが、自然に元のインクのしずくへ戻ることはない。熱の現象にも、同じ一方向の進み方がある。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/heat-work-conversion-and-irreversibility/?from=print#quiz
質量1.0kgの物体を高さ30mから落として、その位置エネルギーがすべて熱に変わり、質量10gの水がそれを受け取って温度が上がったとすると、何K上がるか。水の比熱を4.2J/(g・K)、重力加速度(新しいタブで開きます)を9.8m/s²とする。
答え:____________
正解:7
位置エネルギー(新しいタブで開きます)(仕事(新しいタブで開きます)):W=mgh=1.0×9.8×30=294J。ΔT=W÷(mc)=294÷(10×4.2)=294÷42=7.0K。仕事420Jをすべて熱に変え、質量100gの水の温度をすべて上げたとすると、水温は何K上がるか。水の比熱を4.2J/(g・K)とする。
答え:____________
正解:1
ΔT=W÷(mc)=420÷(100×4.2)=420÷420=1.0K。不可逆変化の例として適当なものはどれか。
- ◯ ばねを一定の力で伸ばす
- ◯ 高温の物体と低温の物体を接触させて熱平衡に達する
- ◯ 摩擦のない面で、静止していた物体を一定の力で押し続けて加速させる
- ◯ 摩擦のない面を物体が等速で進む
正解:高温の物体と低温の物体を接触させて熱平衡に達する
高温の物体と低温の物体を接触させて熱平衡(新しいタブで開きます)に達する変化は、外から何もしなければ逆には進まない不可逆変化である。他の例は、摩擦や熱の発生(新しいタブで開きます)がなければ理想的には逆向きにも進められる。仕事と熱の変換について正しい説明はどれか。
- ◯ 仕事と熱はどちらも完全に変換し合える
- ◯ 仕事と熱は無関係である
- ◯ 仕事はすべて熱に変えられるが、熱をすべて仕事に変えることは一般にできない
- ◯ 熱はすべて仕事に変えられるが、仕事をすべて熱に変えることはできない
正解:仕事はすべて熱に変えられるが、熱をすべて仕事に変えることは一般にできない
力学的な仕事(整った運動)は衝突や摩擦で容易に熱(乱雑な運動)に変わるが、逆に熱をすべて仕事に変えるのは一般にできない。これが熱現象の不可逆性の一つの表れである。
単元のポイント
- ジュールの実験 おもりの落下による仕事を、羽根車で水の温度上昇(熱)に変えた実験
- 熱の仕事当量 仕事と熱を変換する割合。1cal≒4.2J
- 不可逆変化 自然には一方向にしか進まない変化(例:高温→低温への熱の移動)
- 熱現象の不可逆性 仕事は熱に変わりやすいが、熱をすべて仕事には戻せない