体細胞分裂の観察
カワウソ先生根を切り取ったらすぐにうすい塩酸につけるのがポイント。細胞と細胞の間をやわらかくして、後で押しつぶしたときに重ならずに1つ1つの細胞が見えるようにしているよ。
30秒でつかむ
- タマネギの根の先端を切り取り、うすい塩酸にひたしてから、酢酸オルセイン液などで核や染色体(新しいタブで開きます)を染色する。
- 染色した根をスライドガラスにのせ、カバーガラスをかけて押しつぶし、顕微鏡で観察する。
- 根の先端に近い部分では、いろいろな段階の体細胞分裂が同時に見られ、分裂の順序を確かめられる。
詳しく
観察の準備
タマネギなどの根の先端を1cmほど切り取り、60℃くらいのうすい塩(新しいタブで開きます)酸に数分(3分ほど)ひたす。この処理によって細胞と細胞をつなぐ部分がやわらかくなり、後で押しつぶしたときに1つ1つの細胞が重なりにくくなる。
塩酸から取り出した根を水で軽くすすいだあと、酢酸オルセイン液(または酢酸カーミン液)を1〜2滴落として数分置き、核や染色体を赤色(赤紫色)に染める。染色液は核の中の染色体をはっきり見せるために使う。
染色した根の先端を柄つき針で小さく切り、スライドガラスにのせてカバーガラスをかけ、ろ紙をかぶせて指で垂直に押しつぶす(押しつぶし法)。こうすることで細胞が一層に広がり、顕微鏡で観察しやすいプレパラートになる。
顕微鏡で見える分裂の順序
できたプレパラートを顕微鏡で観察すると、同じ視野(新しいタブで開きます)の中に、分裂していない核だけの細胞と、染色体が見える体細胞分裂のさまざまな段階の細胞が一緒に見られる。
観察した細胞を、染色体の見え方(糸のような核→太く短い染色体が現れる→中央に並ぶ→両端に分かれる→2つの核ができる)に注目して並べ直すと、体細胞分裂の順序を再現することができる。
この観察は、根の先端から少し内側の根端分裂組織でよく行うとよい。根の先頭そのもの(根冠)は分裂が少なく、根端分裂組織よりさらに内側(伸長している部分)は、細胞の数は増えずに1つ1つの細胞が伸びて大きくなる場所である。
なぜこの手順で観察するのか
タマネギの根の先端を使うのは、染色体の数が少なく大きさも比較的大きいため、顕微鏡でも染色体の形や動きを見分けやすいからである。
うすい塩酸での処理(前処理)を省くと、細胞どうしがくっついたまま重なり合い、1つ1つの細胞の中の染色体が見分けづらい。前処理と染色、押しつぶしの3つの手順がそろって、初めて染色体の動きを観察できるプレパラートになる。
根の先端付近でさまざまな分裂の段階が同時に見られるのは、根端分裂組織の中で多くの細胞が次々に体細胞分裂を行っているためである。1枚のプレパラートの中に分裂の全段階がそろって見えるのは、この部分を選んで観察しているからである。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/observing-somatic-cell-division/?from=print#quiz
タマネギの根の先端をうすい塩酸にひたす理由はどれか。
- ◯ 細胞の数をふやすため
- ◯ 細胞と細胞をつなぐ部分をやわらかくし、押しつぶしても重なりにくくするため
- ◯ 核や染色体を赤く染めるため
- ◯ 根を消毒して腐らせないようにするため
正解:細胞と細胞をつなぐ部分をやわらかくし、押しつぶしても重なりにくくするため
うすい塩酸での処理は、細胞と細胞をつなぐ部分をやわらかくし、後で押しつぶしたときに1つ1つの細胞が重なりにくくするために行う。染色は酢酸オルセイン液などの染色液の役割である。酢酸オルセイン液や酢酸カーミン液は、おもに何を染めるために使うか。
- ◯ 細胞壁
- ◯ 細胞膜
- ◯ 葉緑体
- ◯ 核や染色体
正解:核や染色体
酢酸オルセイン液・酢酸カーミン液は、核や染色体(新しいタブで開きます)を赤色(赤紫色)に染めて、顕微鏡でも見分けやすくするための染色液である。染色した根の先端をカバーガラスをかけて押しつぶす(押しつぶし法)のはなぜか。
- ◯ 細胞を一層に広げて、顕微鏡で観察しやすくするため
- ◯ 根の先端をやわらかくするため
- ◯ 細胞分裂を早く進めるため
- ◯ 染色液を洗い流すため
正解:細胞を一層に広げて、顕微鏡で観察しやすくするため
押しつぶし法は、重なり合った細胞を一層に広げて、1つ1つの細胞の中の染色体を顕微鏡で見分けやすくするために行う。タマネギの根で、体細胞分裂が最もよく観察できる部分はどこか。
- ◯ 根冠より少し内側の根端分裂組織
- ◯ 根の先端そのもの(根冠)
- ◯ 根のつけ根に近い部分
- ◯ 根端分裂組織よりさらに内側の伸長している部分
正解:根冠より少し内側の根端分裂組織
根の先端そのもの(根冠)は分裂が少なく、そこから少し内側の根端分裂組織で体細胞分裂がよく起こる。さらに内側の伸長部は、細胞の数は増えずに1つ1つの細胞が伸びて大きくなる場所である。
単元のポイント
- うすい塩酸での処理 細胞と細胞をつなぐ部分をやわらかくし、押しつぶしたときに重ならないようにする
- 酢酸オルセイン・酢酸カーミン 核や染色体を赤色(赤紫色)に染めて見やすくする染色液
- 押しつぶし法 カバーガラスをかけて押しつぶし、細胞を一層に広げるプレパラートの作り方
- 根端分裂組織 根の先端付近にある、体細胞分裂がよく起こる部分