
固体の溶解度曲線と結晶水
カメレオン先生水和物が析出するときは、結晶そのものの質量だけでなく、結晶に取られる水の質量も忘れずに引こう。
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- 溶解度曲線は温度と溶解度(水100gに溶ける溶質の最大質量)の関係を表し、冷却で溶けきれなくなった分が結晶として出てくる。
- 硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO₄・5H₂Oのように、結晶中に結晶水を含む物質は、析出すると溶媒の水も結晶に取られて減る。
- 析出する結晶の質量をxとして、残った溶質と残った水の比が低温での溶解度と等しくなる式を立てて解く。
詳しく
溶解度曲線から析出量を求める
固体の溶解度は、ある温度で水100gに溶ける溶質の最大質量(g)で表され、温度ごとの値をグラフにしたものが溶解度曲線である。多くの固体は温度が高いほど溶解度が大きいため、高温の飽和水溶液を冷やすと、溶けきれなくなった分だけ結晶として出てくる。これを利用して結晶を取り出す操作が再結晶(新しいタブで開きます)である。
析出する結晶の質量を求めるには、冷却後も水溶液は低温での溶解度どおりに飽和していることを使う。結晶が無水物(結晶水を含まない)であれば、「残った溶質の質量:残った水の質量=低温の溶解度:100」の比の式を立てればよい。
結晶が水和物(結晶水を含む)の場合は、析出した結晶の質量のうち、無水物の部分と水の部分をそれぞれ式量(新しいタブで開きます)の比から取り出し、水溶液側から引いてから同じ比の式を立てる必要がある。
例:硫酸銅(Ⅱ)五水和物の析出量
硫酸銅(Ⅱ)CuSO₄の溶解度を、60℃で水100gあたり36g、20℃で水100gあたり25gとする。60℃の水100gにCuSO₄を36g溶かして飽和水溶液(136g)をつくり、20℃まで冷やすと、硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO₄・5H₂O(式量250。CuSO₄部分の式量160、5H₂Oの部分の式量90)の結晶がx〔g〕析出する。
析出したx〔g〕のうち、CuSO₄として失われる質量は、水として失われる質量はである。残った水溶液では、CuSO₄が、水がとなり、これが20℃の溶解度の比25:100に等しい。
式を解くとより。析出するCuSO₄・5H₂Oの結晶は20gとわかる。無水物のCuSO₄だけで計算すると水の分を忘れて答えを間違えるので、結晶水の質量を必ず差し引くことが大切である。
なぜ結晶水の分を引かなければならないか
溶解度は「水100gに溶ける溶質のg数」で定義されているので、冷却後の溶液がどれだけ飽和しているかを調べるには、そのときの水溶液に実際に残っている水の質量を知る必要がある。
水和物の結晶が析出するとき、結晶水として取り込まれた水は、もはや溶液中の溶媒としてはたらいていない。この水の分を見落として「もとの水100gがそのまま残っている」として計算すると、残った水の質量を大きく見積もってしまい、析出量を少なく計算してしまう。
結晶水を含む物質の再結晶は、溶質と溶媒の両方が結晶側に移ることを意識して、式量の比からそれぞれの移った分を取り出すことが計算の軸になる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/solubility-curve-and-water-of-crystallization/?from=print#quiz
固体の溶解度の定義として正しいものはどれか。
- ◯ ある温度で水100gに溶ける溶質の最大質量(g)
- ◯ 溶質と水を混ぜたときに発生する熱量(J)
- ◯ ある温度で溶質1gを溶かすのに必要な水の質量(g)
- ◯ 水1Lに溶けている溶質の物質量(mol)
正解:ある温度で水100gに溶ける溶質の最大質量(g)
固体の溶解度は、ある温度で水100gに溶ける溶質の最大質量(g)で表され、温度ごとにグラフにしたものが溶解度曲線である。CuSO₄の溶解度を100℃で水100gあたり75g、20℃で水100gあたり25gとする。100℃の水44gにCuSO₄を33g溶かした飽和水溶液を20℃まで冷やすと、CuSO₄・5H₂O(式量250、CuSO₄部分の式量160)の結晶は何g析出するか。整数で答えよ。
答え:____________
正解:40
析出量をx〔g〕とすると、CuSO₄として失われるのが0.64x、水として失われるのが0.36x。残ったCuSO₄と水の比が20℃の溶解度25:100に等しいので(33-0.64x):(44-0.36x)=25:100を解くとx=40。硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO₄・5H₂Oと、硫酸銅(Ⅱ)の無水物CuSO₄の関係を正しく説明したものはどれか。
- ◯ 五水和物と無水物はまったく別の化合物で、銅の割合が異なる
- ◯ 五水和物は無水物の結晶に水分子5個が結晶水として取り込まれたもの
- ◯ 五水和物には銅が含まれていない
- ◯ 無水物を加熱すると五水和物になる
正解:五水和物は無水物の結晶に水分子5個が結晶水として取り込まれたもの
五水和物CuSO₄・5H₂Oは、無水物CuSO₄の結晶中に水分子(新しいタブで開きます)5個が結晶水として一定の割合で取り込まれたものである。水和物の結晶が析出するときの計算で、結晶水の分の水を忘れて「もとの水の質量がそのまま残る」として計算すると、析出量の見積もりはどうなるか。
- ◯ 残った水を少なく見積もるため、析出量を多く計算してしまう
- ◯ 残った水を多く見積もるため、析出量を少なく計算してしまう
- ◯ 必ず析出量がゼロになる
- ◯ 水の見積もりは析出量の計算に影響しない
正解:残った水を多く見積もるため、析出量を少なく計算してしまう
結晶水として水が結晶側に移った分を見落とすと、溶液中に残る水の質量を実際より多く見積もることになり、比の式から求める析出量は少なく計算されてしまう。
単元のポイント
- 溶解度曲線 横軸に温度、縦軸に溶解度(水100gに溶ける溶質の最大質量g)をとったグラフ
- 結晶水(水和水) 結晶の中に一定の割合で取り込まれている水分子(新しいタブで開きます)。式に「・5H₂O」のように書く
- 水和物と無水物 結晶水を含む結晶を水和物、含まない結晶を無水物という。CuSO₄は無水物、CuSO₄・5H₂Oは水和物
- 析出量の立式 析出した結晶xのうち、無水物の割合とH₂Oの割合をそれぞれ式量から出し、残った溶液で溶解度の比をつくる