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溶媒和(ようばいわ)と溶解平衡(ようかいへいこう)

カメレオン先生水(みず)は小(ちい)さいのにとても極性(きょくせい)の強(つよ)い分子(ぶんし)だから、イオンもいろいろな分子(ぶんし)も取(と)り囲(かこ)んで引(ひ)き離(はな)せるんだ。

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  1. 水(みず)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)は酸素(さんそ)側(がわ)が負(ふ)・水素(すいそ)側(がわ)が正(せい)に偏(かたよ)った極性(きょくせい)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)で、イオン(新しいタブで開きます)や極性(きょくせい)分子(ぶんし)を取(と)り囲(かこ)む水和(すいわ)によって結晶(けっしょう)から引(ひ)き離(はな)す。
  2. 極性(きょくせい)の似(に)た物質(ぶっしつ)どうしは溶(と)けやすい(水(みず)とエタノール)が、極性(きょくせい)が大(おお)きく違(ちが)う物質(ぶっしつ)どうしは溶(と)けにくい(水(みず)とヨウ素(そ))。
  3. 固体(こたい)が溶(と)ける速(はや)さと、溶(と)けた粒子(りゅうし)が結晶(けっしょう)に戻(もど)る速(はや)さが等(ひと)しくなると、見(み)かけの量(りょう)が変(か)わらない溶解平衡(ようかいへいこう)(飽和(ほうわ))になる。

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詳しく

水分子(みずぶんし)による水和(すいわ)のしくみ

水分子(みずぶんし)H₂Oは、酸素(さんそ)原子(げんし)のほうに電子(でんし)が強(つよ)く引(ひ)かれているため、酸素(さんそ)側(がわ)がわずかに負(ふ)、2個(こ)の水素(すいそ)側(がわ)がわずかに正(せい)に偏(かたよ)った極性(きょくせい)分子(ぶんし)である。塩化(えんか)ナトリウムNaClのようなイオン結晶(けっしょう)(新しいタブで開きます)を水(みず)に入(い)れると、水分子(みずぶんし)は負(ふ)に偏(かたよ)った酸素(さんそ)を陽(よう)イオンNa⁺へ、正(せい)に偏(かたよ)った水素(すいそ)を陰(いん)イオンCl⁻へ向(む)けて、それぞれのイオンを取(と)り囲(かこ)む。

この水分子(みずぶんし)に取(と)り囲(かこ)まれる現象(げんしょう)を水和(すいわ)といい、水和(すいわ)によってイオンどうしを結(むす)びつけていたイオン結合(けつごう)(新しいタブで開きます)の引力(いんりょく)よりも、イオンと水分子(みずぶんし)の間(あいだ)の引力(いんりょく)のほうが強(つよ)くなると、イオンは結晶(けっしょう)から引(ひ)き離(はな)されて水中(すいちゅう)に散(ち)らばる。水中(すいちゅう)に散(ち)らばったイオンは水和(すいわ)イオンとして存在(そんざい)し、単独(たんどく)のイオンのままではない。

ショ糖(とう)のように電離(でんり)(新しいタブで開きます)しない分子(ぶんし)でも、分子内(ぶんしない)にOH(ヒドロキシ基(き))のような極性(きょくせい)の部分(ぶぶん)を持(も)つものは、その部分(ぶぶん)が水分子(みずぶんし)と引(ひ)き合(あ)って同(おな)じように水和(すいわ)され、結晶(けっしょう)から引(ひ)き離(はな)されて溶(と)ける。

水和:水分子がイオンを取り囲んで引き離すAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例(れい):溶(と)けやすさは極性(きょくせい)の近(ちか)さで決(き)まる

エタノールC₂H₅OHは、OHの部分(ぶぶん)が水(みず)と同(おな)じように水素(すいそ)結合(けつごう)(新しいタブで開きます)をつくれるため、水(みず)とどんな割合(わりあい)でも混(ま)じり合(あ)う。砂糖(さとう)(ショ糖(とう))も分子内(ぶんしない)に多(おお)くのOHを持(も)つため、水(みず)によく溶(と)ける。

一方(いっぽう)、ヨウ素(そ)I₂は無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし)なので、水(みず)の中(なか)に入(い)れてもほとんど水和(すいわ)されず、わずかしか溶(と)けない。ところがヨウ素(そ)はヘキサンやCCl₄のような無(む)極性(きょくせい)の溶媒(ようばい)には、分子(ぶんし)どうしの引力(いんりょく)が近(ちか)いためよく溶(と)ける。

このように、極性(きょくせい)の物質(ぶっしつ)は極性(きょくせい)の溶媒(ようばい)(水(みず)など)に、無(む)極性(きょくせい)の物質(ぶっしつ)は無(む)極性(きょくせい)の溶媒(ようばい)にそれぞれ溶(と)けやすい。この経験(けいけん)則(そく)は「似(に)たものどうしがよく溶(と)ける」と言(い)い表(あらわ)される。

なぜ溶解平衡(ようかいへいこう)が生(う)まれるのか

固体(こたい)を水(みず)に入(い)れ始(はじ)めると、結晶(けっしょう)の表面(ひょうめん)から粒子(りゅうし)が水和(すいわ)されて溶(と)け出(だ)す一方(いっぽう)で、溶液中(ようえきちゅう)の粒子(りゅうし)の一部(いちぶ)は結晶(けっしょう)の表面(ひょうめん)にぶつかって再(ふたた)び結晶(けっしょう)に組(く)み込(こ)まれる。溶(と)け始(はじ)めは溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)の数(かず)のほうが圧倒的(あっとうてき)に多(おお)いので、見(み)かけ上(じょう)どんどん溶(と)けていく。

溶液中(ようえきちゅう)の粒子(りゅうし)が増(ふ)えるほど、結晶(けっしょう)に戻(もど)る粒子(りゅうし)の数(かず)も増(ふ)えていく。やがて、溶(と)け出(だ)す速(はや)さと結晶(けっしょう)に戻(もど)る速(はや)さがちょうど等(ひと)しくなると、溶液中(ようえきちゅう)の粒子(りゅうし)の量(りょう)は見(み)かけ上(じょう)変化(へんか)しなくなる。この状態(じょうたい)を溶解平衡(ようかいへいこう)といい、このときの溶液(ようえき)を飽和水溶液(ほうわすいようえき)という。

溶解平衡(ようかいへいこう)は粒子(りゅうし)の移動(いどう)が止(と)まった状態(じょうたい)ではなく、溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)と戻(もど)る粒子(りゅうし)が同(おな)じ速(はや)さで動(うご)き続(つづ)けている動的(どうてき)な平衡(へいこう)である。次(つぎ)のページで見(み)る固体(こたい)の溶解度(ようかいど)は、この溶解平衡(ようかいへいこう)がどの温度(おんど)でどれだけの量(りょう)で成(な)り立(た)つかを表(あらわ)したものになる。

溶解平衡:溶け出す速さと戻る速さが等しいAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

確認問題

問題 1 / 4塩化(えんか)ナトリウムの結晶(けっしょう)が水(みず)に溶(と)けるとき、水分子(みずぶんし)がイオンを取(と)り囲(かこ)む向(む)きはどれか。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/solvation-and-dissolution-equilibrium/?from=print#quiz

  1. 塩化(えんか)ナトリウムの結晶(けっしょう)が水(みず)に溶(と)けるとき、水分子(みずぶんし)がイオンを取(と)り囲(かこ)む向(む)きはどれか。

    • ◯ 水分子(みずぶんし)はイオンを取(と)り囲(かこ)まず、イオンだけが移動(いどう)する
    • ◯ 酸素(さんそ)側(がわ)をNa⁺に、水素(すいそ)側(がわ)をCl⁻に向(む)ける
    • ◯ 酸素(さんそ)側(がわ)をCl⁻に、水素(すいそ)側(がわ)をNa⁺に向(む)ける
    • ◯ 水分子(みずぶんし)は向(む)きを変(か)えずにイオンを取(と)り囲(かこ)む

    正解:酸素側をNa⁺に、水素側をCl⁻に向ける
    水(みず)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)は酸素(さんそ)側(がわ)が負(ふ)、水素(すいそ)側(がわ)が正(せい)に偏(かたよ)った極性(きょくせい)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)なので、負(ふ)に偏(かたよ)った酸素(さんそ)を陽(よう)イオン(新しいタブで開きます)Na⁺へ、正(せい)に偏(かたよ)った水素(すいそ)を陰(いん)イオンCl⁻へ向(む)けて取(と)り囲(かこ)む。

  2. 無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし)のヨウ素(そ)I₂は、水(みず)とヘキサンのどちらによく溶(と)けるか。その理由(りゆう)として正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ どちらにも溶(と)けない。ヨウ素(そ)は固体(こたい)だから
    • ◯ 水(みず)によく溶(と)ける。水(みず)は分子(ぶんし)が小(ちい)さいから
    • ◯ ヘキサンによく溶(と)ける。無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし)どうしは引力(いんりょく)が近(ちか)く溶(と)けやすいから
    • ◯ どちらにも同(おな)じくらい溶(と)ける。極性(きょくせい)は溶(と)けやすさに関係(かんけい)しないから

    正解:ヘキサンによく溶ける。無極性分子どうしは引力が近く溶けやすいから
    極性(きょくせい)の物質(ぶっしつ)は極性(きょくせい)の溶媒(ようばい)に、無(む)極性(きょくせい)の物質(ぶっしつ)は無(む)極性(きょくせい)の溶媒(ようばい)に溶(と)けやすい。無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし)のヨウ素(そ)は、同(おな)じく無(む)極性(きょくせい)のヘキサンによく溶(と)け、極性(きょくせい)の水(みず)にはほとんど溶(と)けない。

  3. 溶解平衡(ようかいへいこう)(飽和(ほうわ))の状態(じょうたい)を正(ただ)しく説明(せつめい)しているものはどれか。

    • ◯ 溶(と)け出(だ)す速(はや)さと結晶(けっしょう)に戻(もど)る速(はや)さが等(ひと)しく、見(み)かけの量(りょう)が変(か)わらない状態(じょうたい)
    • ◯ 粒子(りゅうし)の移動(いどう)がまったく止(と)まった状態(じょうたい)
    • ◯ すべての溶質(ようしつ)が完全(かんぜん)に溶(と)けきった状態(じょうたい)
    • ◯ 温度(おんど)を上(あ)げると必(かなら)ず結晶(けっしょう)が増(ふ)える状態(じょうたい)

    正解:溶け出す速さと結晶に戻る速さが等しく、見かけの量が変わらない状態
    溶解平衡(ようかいへいこう)は、結晶(けっしょう)から溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)の速(はや)さと、溶液中(ようえきちゅう)の粒子(りゅうし)が結晶(けっしょう)に戻(もど)る速(はや)さがちょうど等(ひと)しくなり、見(み)かけ上(じょう)溶解(ようかい)が止(と)まった状態(じょうたい)である。

  4. 飽和水溶液(ほうわすいようえき)の中(なか)で、結晶(けっしょう)と溶液(ようえき)の間(あいだ)の粒子(りゅうし)の動(うご)きについて正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ 溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)と結晶(けっしょう)に戻(もど)る粒子(りゅうし)が同(おな)じ速(はや)さで動(うご)き続(つづ)けている
    • ◯ 粒子(りゅうし)はもう結晶(けっしょう)と溶液(ようえき)の間(あいだ)を移動(いどう)していない
    • ◯ 結晶(けっしょう)に戻(もど)る粒子(りゅうし)だけが動(うご)いている
    • ◯ 溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)だけが動(うご)いている

    正解:溶け出す粒子と結晶に戻る粒子が同じ速さで動き続けている
    溶解平衡(ようかいへいこう)は粒子(りゅうし)の移動(いどう)が止(と)まった状態(じょうたい)ではなく、溶(と)け出(だ)す粒子(りゅうし)と結晶(けっしょう)に戻(もど)る粒子(りゅうし)が同(おな)じ速(はや)さで動(うご)き続(つづ)けている動的(どうてき)な平衡(へいこう)である。

単元のポイント

  • 水和(すいわ) 水分子(みずぶんし)がイオンや極性(きょくせい)分子(ぶんし)を取(と)り囲(かこ)み、静電気(せいでんき)的(てき)な引力(いんりょく)で結晶(けっしょう)や分子(ぶんし)から引(ひ)き離(はな)すこと
  • 水和(すいわ)イオン 水和(すいわ)された状態(じょうたい)のイオン。水中(すいちゅう)ではイオンは単独(たんどく)ではなく水分子(みずぶんし)をまとった形(かたち)で存在(そんざい)する
  • 似(に)たものどうしがよく溶(と)ける 極性(きょくせい)の大(おお)きさが近(ちか)い物質(ぶっしつ)どうしは互(たが)いに溶(と)けやすい(水(みず)と極性(きょくせい)分子(ぶんし)・無(む)極性(きょくせい)溶媒(ようばい)と無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし))
  • 溶解平衡(ようかいへいこう) 溶(と)ける速(はや)さと結晶(けっしょう)として出(で)てくる速(はや)さが等(ひと)しくなり、見(み)かけ上(じょう)溶解(ようかい)が止(と)まった状態(じょうたい)。これ以上(いじょう)溶(と)けない飽和(ほうわ)の状態(じょうたい)
問題を解く
単元のポイント
  • 水和(すいわ) 水分子(みずぶんし)がイオンや極性(きょくせい)分子(ぶんし)を取(と)り囲(かこ)み、静電気(せいでんき)的(てき)な引力(いんりょく)で結晶(けっしょう)や分子(ぶんし)から引(ひ)き離(はな)すこと
  • 水和(すいわ)イオン 水和(すいわ)された状態(じょうたい)のイオン。水中(すいちゅう)ではイオンは単独(たんどく)ではなく水分子(みずぶんし)をまとった形(かたち)で存在(そんざい)する
  • 似(に)たものどうしがよく溶(と)ける 極性(きょくせい)の大(おお)きさが近(ちか)い物質(ぶっしつ)どうしは互(たが)いに溶(と)けやすい(水(みず)と極性(きょくせい)分子(ぶんし)・無(む)極性(きょくせい)溶媒(ようばい)と無(む)極性(きょくせい)分子(ぶんし))
  • 溶解平衡(ようかいへいこう) 溶(と)ける速(はや)さと結晶(けっしょう)として出(で)てくる速(はや)さが等(ひと)しくなり、見(み)かけ上(じょう)溶解(ようかい)が止(と)まった状態(じょうたい)。これ以上(いじょう)溶(と)けない飽和(ほうわ)の状態(じょうたい)