
X線の発生とX線回折
カンガルー先生電子の運動エネルギーeVが全部1個の光子になったときが最短波長。eV=hc/λ₀だよ。結晶での反射はブラッグの条件2dsinθ=nλで強くなる。
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- X線管の中で、電圧Vで加速した電子を金属の的(陽極)に当てると、急激に減速してX線が出る。これが連続X線で、波長(新しいタブで開きます)は最短波長λ₀から長い方へ連続的に分布する。
- 電子の運動エネルギー(新しいタブで開きます)eVがすべて1個の光子のエネルギーhc/λになるとき最短波長になるので、eV=hc/λ₀。的の金属原子に特有の決まった波長で強く出る特性X線も重なって観測される。
- 結晶にX線を当てると、原子が並ぶ面(間隔d)での反射が強め合う方向だけに強いX線が出る(X線回折)。強め合う条件(ブラッグの条件)は2dsinθ=nλ(nは1,2,3…の整数)。
詳しく
X線の発生と最短波長
X線管では、フィラメント(陰極)から出た電子を電圧Vで加速し、金属の的(陽極)に高速で当てる。電子は的の原子に近づくたびに急激に減速し、そのとき失った運動エネルギーの一部がX線(波長の短い電磁波)として放出される。1個の電子が何度も減速してエネルギーを少しずつ失うため、出てくるX線の波長はさまざまで、連続的に分布する(連続X線)。
電子の運動エネルギーのうち、1回の衝突で全部が1個のX線光子になった場合に、その光子は最大のエネルギー(最短の波長)を持つ。光子のエネルギーはなので、、つまり。これより短い波長のX線は出ない。
連続X線に重なって、的の金属原子に特有の決まった波長だけが強く出る特性X線も観測される。これは、電子が的の原子の内側の電子軌道に空席をつくり、外側の電子が落ち込むときに原子ごとに決まったエネルギー差分の光子を出すために起こる。
例題:最短波長とブラッグの条件
例題1:加速電圧V=1.0×10⁴V(10kV)のX線管から出る連続X線の最短波長λ₀はいくらか(h=6.6×10⁻³⁴J・s、c=3.0×10⁸m/s、e=1.6×10⁻¹⁹Cとする)。
1.2×10⁻¹⁰m。可視光(約5×10⁻⁷m)よりずっと短い波長である。
例題2:面間隔d=2.8×10⁻¹⁰mの結晶に、波長λ=2.8×10⁻¹⁰mのX線を当てたとき、1次(n=1)の反射が強め合う角度θはいくらか。ブラッグの条件よりなので、30°。
コンプトン効果にも触れる:X線が光子であること
X線(光子)を物質中の電子に当てて散乱させると、散乱されたX線の波長は、入射したX線の波長よりわずかに長くなる。これをコンプトン効果という。波長の変化量は散乱角によって決まり、光子のエネルギーと運動量(新しいタブで開きます)を電子に渡した分だけ波長が伸びると考えると、実測の結果とよく一致する。
光がエネルギーだけでなく、運動量も持つ粒(光子)としてふるまうことを示したのが、コンプトン効果である。光電効果(新しいタブで開きます)(前のページ「光電効果と光量子仮説」)がエネルギーの受け渡しを示したのに対し、コンプトン効果は運動量の受け渡しも示し、光の粒子性をさらに裏づけた。
X線回折(ブラッグの条件)が結晶の構造を調べる手法として使われるのに対し、コンプトン効果は光が粒子としての性質を持つことを確かめる手法として重要である。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/x-ray-generation-and-diffraction/?from=print#quiz
加速電圧V=2.0×10⁴V(20kV)のX線管から出る連続X線の最短波長λ₀はいくらか(h=6.6×10⁻³⁴J・s、c=3.0×10⁸m/s、e=1.6×10⁻¹⁹Cとする)。
答え:____________
正解:6.2×10⁻¹¹m
λ₀=hc/(eV)=(6.6×10⁻³⁴×3.0×10⁸)÷(1.6×10⁻¹⁹×2.0×10⁴)=6.2×10⁻¹¹m。面間隔d=5.0×10⁻¹⁰mの結晶に波長λ=2.0×10⁻¹⁰mのX線を当てたところ、2次(n=2)の反射が角度θで強め合った。このときのsinθの値はいくらか。
答え:____________
正解:0.4
ブラッグの条件2dsinθ=nλより、sinθ=nλ/(2d)=(2×2.0×10⁻¹⁰)÷(2×5.0×10⁻¹⁰)=0.4。連続X線と特性X線の違いを正しく説明しているものはどれか。
- ◯ 連続X線と特性X線はどちらも同じ波長のX線である
- ◯ 連続X線は電子が急激に減速するときに出る波長が連続的なX線で、特性X線は的の金属原子に特有の決まった波長で強く出るX線である
- ◯ 連続X線は的の金属原子に特有のX線で、特性X線は電子が減速するときに出る連続的なX線である
- ◯ 特性X線は結晶の中でしか発生しない
正解:連続X線は電子が急激に減速するときに出る波長が連続的なX線で、特性X線は的の金属原子に特有の決まった波長で強く出るX線である
連続X線は電子の減速で生じる波長(新しいタブで開きます)が連続的なX線、特性X線は的の原子に特有の決まった波長で強く出るX線である。コンプトン効果が示したこととして正しいものはどれか。
- ◯ X線は結晶でしか散乱されないこと
- ◯ コンプトン効果によって光の速さが変わること
- ◯ 光(X線)は運動量h/λを持つ粒子(光子)としてふるまい、電子に当たると波長が長くなる方向へ散乱されること
- ◯ 光は波としての性質しか持たないことが確認された
正解:光(X線)は運動量h/λを持つ粒子(光子)としてふるまい、電子に当たると波長が長くなる方向へ散乱されること
X線(光子)が電子にエネルギーと運動量(新しいタブで開きます)を渡して散乱される様子から、光が運動量を持つ粒子であることが確かめられた。
単元のポイント
- 連続X線 加速した電子が急激に減速するときに出る、波長が連続的に分布するX線
- 最短波長λ₀ eV=hc/λ₀(加速電圧V、電子の運動エネルギーがすべて1個の光子になる)
- 特性X線 的の金属原子に特有の、決まった波長で強く出るX線
- ブラッグの条件 2dsinθ=nλ(結晶の面間隔d、X線が面となす角θ、整数n)
- コンプトン効果 X線(光子)が電子に当たって跳ね返ると、波長がもとより少し長くなる。光子が運動量p=h/λを持つ証拠