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電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)と物質(ぶっしつ)波(なみ)

カンガルー先生光(ひかり)が粒(つぶ)(光子(こうし))の性質(せいしつ)を持(も)つのと逆(ぎゃく)に、電子(でんし)のような粒子(りゅうし)にも波長(はちょう)λ=h/mvの波(なみ)の性質(せいしつ)があるよ。だから結晶(けっしょう)に電子(でんし)線(せん)を当(あ)てると、X線(せん)のように回折(かいせつ)するんだ。

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  1. 結晶(けっしょう)の薄(うす)い膜(まく)に電子(でんし)線(せん)(新しいタブで開きます)を当(あ)てると、X線(せん)を当(あ)てたときと同(おな)じような濃淡(のうたん)の輪(わ)や縞(しま)模様(もよう)(回折(かいせつ)(新しいタブで開きます)模様(もよう))ができる。これは電子(でんし)線(せん)が波(なみ)の性質(せいしつ)を持(も)ち、原子(げんし)で回折(かいせつ)することを示(しめ)している。
  2. ド・ブロイは、光(ひかり)が粒(つぶ)(光子(こうし))と波(なみ)の性質(せいしつ)を両方(りょうほう)持(も)つのと同(おな)じように、電子(でんし)のような粒子(りゅうし)にも波(なみ)の性質(せいしつ)があると考(かんが)えた。運動(うんどう)量(りょう)(新しいタブで開きます)p=mvの粒子(りゅうし)に対応(たいおう)する波長(はちょう)(新しいタブで開きます)はλ=h/pで、物質(ぶっしつ)波(なみ)(ド・ブロイ波(なみ))という。
  3. 光電効果(こうでんこうか)(新しいタブで開きます)(光(ひかり)は粒(つぶ)として振(ふ)る舞(ま)う)と電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)(電子(でんし)は波(なみ)として振(ふ)る舞(ま)う)はちょうど逆(ぎゃく)の組(く)み合(あ)わせで、光(ひかり)も物質(ぶっしつ)も粒子(りゅうし)性(せい)と波動(はどう)性(せい)の両方(りょうほう)を持(も)つことを示(しめ)す。

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詳しく

物質(ぶっしつ)波(なみ)とド・ブロイ波長(はちょう)

前(まえ)のページ「X線(せん)の発生(はっせい)とX線(せん)回折(かいせつ)(新しいタブで開きます)」で見(み)たように、結晶(けっしょう)にX線(せん)を当(あ)てると、原子(げんし)が並(なら)ぶ面(めん)で反射(はんしゃ)したX線(せん)どうしが干渉(かんしょう)し、特定(とくてい)の角度(かくど)だけで強(つよ)め合(あ)う回折(かいせつ)が起(お)こる。これはX線(せん)が波(なみ)であることの証拠(しょうこ)だった。

電子(でんし)線(せん)を結晶(けっしょう)の薄(うす)い膜(まく)に通(とお)して蛍光板(けいこうばん)に当(あ)てると、X線(せん)を結晶(けっしょう)に当(あ)てたときと同(おな)じような、濃淡(のうたん)の輪(わ)や縞(しま)模様(もよう)(回折(かいせつ)模様(もよう))が現(あらわ)れる。粒子(りゅうし)だと考(かんが)えていた電子(でんし)が、結晶(けっしょう)の中(なか)の原子(げんし)でX線(せん)と同(おな)じように回折(かいせつ)(干渉(かんしょう))したことになる。

フランスの物理学(ぶつりがく)者(しゃ)ド・ブロイは、光(ひかり)が波(なみ)の性質(せいしつ)(干渉(かんしょう)・回折(かいせつ))と粒子(りゅうし)の性質(せいしつ)(光電効果(こうでんこうか)での光子(こうし)としての振(ふ)る舞(ま)い)の両方(りょうほう)を持(も)つのと同(おな)じように、電子(でんし)のような粒子(りゅうし)にも波(なみ)としての性質(せいしつ)があるはずだと考(かんが)えた。運動(うんどう)量(りょう)p=mvp=mvの粒子(りゅうし)に対応(たいおう)する波長(はちょう)(物質(ぶっしつ)波(なみ)・ド・ブロイ波(なみ)の波長(はちょう))はλ=hp=hmv\lambda=\dfrac{h}{p}=\dfrac{h}{mv}である。

電子線回折の装置と回折模様(同心円状の濃淡)Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例題(れいだい):加速(かそく)した電子(でんし)のド・ブロイ波長(はちょう)

例題(れいだい):電圧(でんあつ)V=100Vで静止(せいし)した電子(でんし)(質量(しつりょう)m=9.1×10⁻³¹kg、電気(でんき)素(そ)量(りょう)(新しいタブで開きます)e=1.6×10⁻¹⁹C)を加速(かそく)した。この電子(でんし)のド・ブロイ波長(はちょう)はいくらか(プランク定数(ていすう)h=6.6×10⁻³⁴J・s)。

加速(かそく)によって電子(でんし)が得(え)る運動(うんどう)エネルギー(新しいタブで開きます)はeVeVなので、12mv2=eV\dfrac{1}{2}mv^2=eVより運動(うんどう)量(りょう)はp=mv=2meVp=mv=\sqrt{2meV}。数値(すうち)を入(い)れると、2meV=2×9.1×10−31×1.6×10−19×100=2.9×10−472meV=2\times9.1\times10^{-31}\times1.6\times10^{-19}\times100=2.9\times10^{-47}で、p=2.9×10−47=5.4×10−24p=\sqrt{2.9\times10^{-47}}=5.4\times10^{-24}kg・m/s。

ド・ブロイ波長(はちょう)はλ=hp=6.6×10−345.4×10−24=\lambda=\dfrac{h}{p}=\dfrac{6.6\times10^{-34}}{5.4\times10^{-24}}=1.2×10⁻¹⁰m。これはX線(せん)とほぼ同(おな)じ波長(はちょう)で、結晶(けっしょう)にぶつけると回折(かいせつ)が起(お)こる理由(りゆう)になっている。加速(かそく)電圧(でんあつ)を高(たか)くするほど電子(でんし)の運動(うんどう)量(りょう)は大(おお)きくなり、波長(はちょう)はさらに短(みじか)くなる。

なぜ電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)は電子(でんし)顕微鏡(けんびきょう)につながるのか

電子(でんし)は質量(しつりょう)を持(も)つのでX線(せん)よりずっと小(ちい)さいド・ブロイ波長(はちょう)を実現(じつげん)しやすく、電子(でんし)線(せん)は原子(げんし)レベルの細(こま)かい構造(こうぞう)を観察(かんさつ)する電子(でんし)顕微鏡(けんびきょう)として利用(りよう)されている。可視光(かしこう)の波長(はちょう)(約(やく)5×10⁻⁷m)では見(み)えない、原子(げんし)サイズ(約(やく)10⁻¹⁰m)の構造(こうぞう)まで観察(かんさつ)できるのは、電子(でんし)のド・ブロイ波長(はちょう)がそれだけ短(みじか)いからである。

光電効果(こうでんこうか)が示(しめ)した光(ひかり)の粒子(りゅうし)性(せい)、電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)が示(しめ)した電子(でんし)の波動(はどう)性(せい)は、どちらも日常(にちじょう)の直感(ちょっかん)(光(ひかり)は波(なみ)、電子(でんし)は粒(つぶ))に反(はん)する発見(はっけん)だった。粒子(りゅうし)性(せい)と波動(はどう)性(せい)をあわせ持(も)つという考(かんが)え方(かた)は、その後(ご)の量子(りょうし)論(ろん)の基礎(きそ)となった。

電子(でんし)(「電子(でんし)の発見(はっけん)(新しいタブで開きます)」「電子(でんし)の比(ひ)電荷(でんか)(新しいタブで開きます)」「電気(でんき)素(そ)量(りょう)の測定(そくてい)(新しいタブで開きます)」の各(かく)ページ)、光(ひかり)(「光電効果(こうでんこうか)と光量子(こうりょうし)仮説(かせつ)」「X線(せん)の発生(はっせい)とX線(せん)回折(かいせつ)」の各(かく)ページ)に続(つづ)き、このページ「電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)と物質(ぶっしつ)波(なみ)」は、粒子(りゅうし)と波(なみ)の境目(さかいめ)をなくした量子(りょうし)論(ろん)の入(い)り口(くち)にあたる。

光と電子に共通する粒子性と波動性Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

確認問題

問題 1 / 4電圧(でんあつ)V=400Vで加速(かそく)された電子(でんし)(質量(しつりょう)m=9.1×10⁻³¹kg、電気(でんき)素(そ)量(りょう)e=1.6×10⁻¹⁹C)のド・ブロイ波長(はちょう)はいくらか(プランク定数(ていすう)h=6.6×10⁻³⁴J・s)。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/electron-diffraction-and-matter-waves/?from=print#quiz

  1. 電圧(でんあつ)V=400Vで加速(かそく)された電子(でんし)(質量(しつりょう)m=9.1×10⁻³¹kg、電気(でんき)素(そ)量(りょう)e=1.6×10⁻¹⁹C)のド・ブロイ波長(はちょう)はいくらか(プランク定数(ていすう)h=6.6×10⁻³⁴J・s)。

    答え:____________

    正解:6.1×10⁻¹¹m
    運動(うんどう)量(りょう)(新しいタブで開きます)p=√(2meV)、波長(はちょう)(新しいタブで開きます)λ=h/p=6.6×10⁻³⁴÷√(2×9.1×10⁻³¹×1.6×10⁻¹⁹×400)=6.1×10⁻¹¹m。

  2. 電子(でんし)の加速(かそく)電圧(でんあつ)を高(たか)くすると、ド・ブロイ波長(はちょう)はどうなるか。

    • ◯ 電子(でんし)はもはや波(なみ)の性質(せいしつ)を持(も)たなくなる
    • ◯ 運動(うんどう)量(りょう)が大(おお)きくなるので、ド・ブロイ波長(はちょう)は長(なが)くなる
    • ◯ 運動(うんどう)量(りょう)が大(おお)きくなるので、ド・ブロイ波長(はちょう)は短(みじか)くなる
    • ◯ 加速(かそく)電圧(でんあつ)を変(か)えてもド・ブロイ波長(はちょう)は変(か)わらない

    正解:運動量が大きくなるので、ド・ブロイ波長は短くなる
    λ=h/mvで、加速(かそく)電圧(でんあつ)を高(たか)くすると速(はや)さvが大(おお)きくなり運動(うんどう)量(りょう)mvが大(おお)きくなるので、波長(はちょう)λは短(みじか)くなる。

  3. 結晶(けっしょう)に電子(でんし)線(せん)を当(あ)てたときにできる回折(かいせつ)模様(もよう)から、電子(でんし)についてどのようなことが分(わ)かるか。

    • ◯ 結晶(けっしょう)は電気(でんき)を通(とお)すこと
    • ◯ 電子(でんし)は光(ひかり)と同(おな)じ速(はや)さで進(すす)むこと
    • ◯ 電子(でんし)には波(なみ)としての性質(せいしつ)(波動(はどう)性(せい))があること
    • ◯ 電子(でんし)には質量(しつりょう)がないこと

    正解:電子には波としての性質(波動性)があること
    X線(せん)と同(おな)じような回折(かいせつ)(新しいタブで開きます)模様(もよう)ができることから、粒子(りゅうし)だと考(かんが)えていた電子(でんし)にも波(なみ)としての性質(せいしつ)があると分(わ)かる。

  4. 光電効果(こうでんこうか)と電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)の関係(かんけい)を正(ただ)しく説明(せつめい)しているものはどれか。

    • ◯ 光電効果(こうでんこうか)は光(ひかり)の粒子(りゅうし)性(せい)を示(しめ)し、電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)は電子(でんし)(粒子(りゅうし))の波動(はどう)性(せい)を示(しめ)す、ちょうど逆(ぎゃく)の組(く)み合(あ)わせである
    • ◯ 光電効果(こうでんこうか)は電子(でんし)の波動(はどう)性(せい)を示(しめ)し、電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)は光(ひかり)の粒子(りゅうし)性(せい)を示(しめ)す
    • ◯ 光電効果(こうでんこうか)も電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)も、どちらも光(ひかり)にだけ起(お)こる現象(げんしょう)である
    • ◯ 光電効果(こうでんこうか)と電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)は無関係(むかんけい)である

    正解:光電効果は光の粒子性を示し、電子線回折は電子(粒子)の波動性を示す、ちょうど逆の組み合わせである
    光電効果(こうでんこうか)(新しいタブで開きます)は光(ひかり)が粒子(りゅうし)(光子(こうし))としてふるまうことを示(しめ)し、電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ)は電子(でんし)という粒子(りゅうし)が波(なみ)としてふるまうことを示(しめ)す。

単元のポイント

  • 電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ) 結晶(けっしょう)に電子(でんし)線(せん)を当(あ)てるとX線(せん)と同様(どうよう)の回折(かいせつ)模様(もよう)ができる現象(げんしょう)。電子(でんし)の波動(はどう)性(せい)の証拠(しょうこ)
  • 物質(ぶっしつ)波(なみ)(ド・ブロイ波(なみ)) 電子(でんし)などの粒子(りゅうし)に対応(たいおう)する波(なみ)。波長(はちょう)はド・ブロイ波長(はちょう)λ=h/mv
  • ド・ブロイ波長(はちょう)の式(しき) λ=h/p=h/mv(pは運動(うんどう)量(りょう)、hはプランク定数(ていすう))
  • 粒子(りゅうし)性(せい)と波動(はどう)性(せい) 光(ひかり)は波(なみ)の性質(せいしつ)(干渉(かんしょう)・回折(かいせつ))と粒子(りゅうし)の性質(せいしつ)(光電効果(こうでんこうか))の両方(りょうほう)を持(も)ち、電子(でんし)のような粒子(りゅうし)も波(なみ)の性質(せいしつ)(電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ))を持(も)つ
問題を解く
単元のポイント
  • 電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ) 結晶(けっしょう)に電子(でんし)線(せん)を当(あ)てるとX線(せん)と同様(どうよう)の回折(かいせつ)模様(もよう)ができる現象(げんしょう)。電子(でんし)の波動(はどう)性(せい)の証拠(しょうこ)
  • 物質(ぶっしつ)波(なみ)(ド・ブロイ波(なみ)) 電子(でんし)などの粒子(りゅうし)に対応(たいおう)する波(なみ)。波長(はちょう)はド・ブロイ波長(はちょう)λ=h/mv
  • ド・ブロイ波長(はちょう)の式(しき) λ=h/p=h/mv(pは運動(うんどう)量(りょう)、hはプランク定数(ていすう))
  • 粒子(りゅうし)性(せい)と波動(はどう)性(せい) 光(ひかり)は波(なみ)の性質(せいしつ)(干渉(かんしょう)・回折(かいせつ))と粒子(りゅうし)の性質(せいしつ)(光電効果(こうでんこうか))の両方(りょうほう)を持(も)ち、電子(でんし)のような粒子(りゅうし)も波(なみ)の性質(せいしつ)(電子(でんし)線(せん)回折(かいせつ))を持(も)つ