空気抵抗と終端速度
カワウソ先生終端速度では合力が0。慣性の法則どおり、そこからは等速直線運動になるよ。
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- 物体が気体や液体の中を運動すると、運動を妨げる向きに抵抗力(空気抵抗など)が働き、速さが大きいほど抵抗力も大きくなる。
- 自由落下(新しいタブで開きます)する物体では、速さが増すほど抵抗力が大きくなり、やがて重力とつり合う。そこから先は合力(新しいタブで開きます)が0の等速直線運動(新しいタブで開きます)になり、この一定の速さを終端速度という。
- 抵抗力がkv(kは比例定数)というモデルで考えると、終端速度はmgとkvtがつり合う条件から、vt=mg/kで求められる。
詳しく
抵抗力と終端速度の考え方
物体が空気や水の中を運動すると、運動の向きと逆向きに抵抗力(空気の場合は空気抵抗)が働く。抵抗力の大きさは、物体の速さが大きいほど大きくなる。ここでは、抵抗力の大きさが速さvに比例する、抵抗力=kv(kは物体の形や大きさで決まる比例定数)という簡単なモデルで考える。
自由落下を始めた直後は速さが小さく抵抗力も小さいので、ほぼ重力だけが働いて加速する。速さが増すと抵抗力も増え、重力との差(合力)が小さくなるので、加速度(新しいタブで開きます)はだんだん小さくなっていく。
やがて抵抗力kvが重力mgと同じ大きさになると、合力は0になる。慣性の法則(新しいタブで開きます)より、そこから先は加速度0の等速直線運動になり、物体は一定の速さで落下し続ける。この速さを終端速度vtといい、mg=kvtより、vt=mg/kで求められる。
例題:終端速度を求める
例題1:質量70kgの人が、体を広げた姿勢で落下すると、空気抵抗は抵抗力=kvのモデルでk=14kg/sとみなせる。重力はmg=70×9.8=686Nなので、終端速度はvt=686÷14=49m/s。
例題2:同じ人がパラシュートを開くと、受ける面積が増えてk=140kg/sになったとする。終端速度はvt=686÷140=4.9m/sに下がる。
例題3:パラシュートを開く前と開いたあとを、それぞれ静止状態から終端速度に近づく別々の場合として比べると、終端速度に落ち着くまでの加速度の変化が違う。開く前は49m/sに近づくまで時間がかかるが、開いたあとはkが大きいぶん、小さい速さ4.9m/sで重力とつり合うので、短い時間で加速度が0に近づく。実際には49m/sで落下中にパラシュートを開くので、その瞬間は抵抗力が重力の何倍にも急増し、強い衝撃とともに一気に減速する。
なぜ速さが増えると加速度が0に近づくのか
下向きを正とすると、合力はmg−kv。運動方程式ma=mg−kvより、a=g−(k/m)v。速さvが0のときa=g(自由落下と同じ)、vが大きくなるほどaは小さくなり、v=mg/k(終端速度)でa=0になる。
終端速度に達したあとは、速さが変わらないので抵抗力も変わらず、重力とのつり合いが保たれたまま等速で落下し続ける。速さがわずかに終端速度を超えても、抵抗力が重力より大きくなって減速し、また終端速度付近に戻る。
実際の空気抵抗は、速さに比例するより、速さの2乗に比例する場合が多い。ここで扱ったkvのモデルは、終端速度という現象を簡単な式で理解するための近似である。水平投射された物体も、鉛直方向には自由落下と同じしくみで終端速度に近づいていく。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/air-resistance-and-terminal-velocity/?from=print#quiz
質量10kgの物体が、抵抗力=kvのモデルでk=4.9kg/sとなる状態で落下した。終端速度は何m/sか。重力加速度を9.8m/s²とする。
答え:____________
正解:20
重力はmg=10×9.8=98N。終端速度ではmg=kvtより、vt=98÷4.9=20m/s。抵抗力=kvのモデルでk=5.0kg/sのとき、速さ8.0m/sで落下している物体が受ける抵抗力は何Nか。
答え:____________
正解:40
抵抗力=kv=5.0×8.0=40N。自由落下を始めた物体が、空気抵抗を受けながら終端速度に達するまで、加速度はどのように変化するか。
- ◯ ずっとg(9.8m/s²)のまま変わらない
- ◯ だんだん小さくなり、0に近づく
- ◯ いきなり0になる
- ◯ だんだん大きくなる
正解:だんだん小さくなり、0に近づく
合力(新しいタブで開きます)はmg−kvで、速さvが増えるほど小さくなる。加速度(新しいタブで開きます)a=(mg−kv)/mも、速さ0でのgから、終端速度で0になるまで、だんだん小さくなっていく。物体が終端速度で落下しているとき、物体に働く力について正しいものはどれか。
- ◯ 重力が抵抗力より大きい
- ◯ 重力と抵抗力の大きさが等しく、合力は0である
- ◯ 重力だけが働いている
- ◯ 抵抗力の方が重力より大きい
正解:重力と抵抗力の大きさが等しく、合力は0である
終端速度では、重力と抵抗力の大きさが等しく、向きが逆なので合力は0になる。慣性の法則(新しいタブで開きます)により、そこから先は等速直線運動(新しいタブで開きます)が続く。
単元のポイント
- 抵抗力 運動を妨げる向きに働き、速さが大きいほど大きくなる力
- 終端速度 重力と抵抗力がつり合い、合力0で一定の速さになったときの速さ
- 終端速度での力のつり合い mg=kvt(抵抗力=kvのモデルのとき)
- 空気抵抗の影響 空気抵抗を無視できないと、自由落下の式v=gtは途中から成り立たなくなる