
コロイド溶液とその性質
カメレオン先生コロイド粒子は大きいからこそ光を散乱したり、電気を帯びて沈んだりする。粒子の大きさを軸に性質を整理しよう。
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- 直径1nm〜数百nm程度の粒子が液体中に分散した状態をコロイド溶液という。粒子が大きいため、ろ紙は通るが半透膜(新しいタブで開きます)は通らない。
- コロイド粒子は光を散乱させるためチンダル現象が見え、水分子(新しいタブで開きます)の不規則な衝突によってブラウン運動をする。
- 疎水コロイドは少量の電解質(新しいタブで開きます)で凝析し、親水コロイドは多量の電解質で塩析する。親水コロイドを加えると凝析を防ぐ保護コロイドになる。
詳しく
コロイド粒子の大きさと見える性質
ふつうの溶液ではイオンや小さな分子が溶けているが、直径がおよそ1nm〜数百nmの粒子が液体中に分散している状態をコロイド溶液という。コロイド粒子はろ紙の穴よりは小さいため通り抜けるが、半透膜の穴よりは大きいため半透膜は通らない。
コロイド溶液に細い光を当てると、光の通り道が輝いて見える。これは、コロイド粒子が小さな分子よりずっと大きいために光を散乱させるからで、この現象をチンダル現象という。ふつうの溶液では粒子が小さすぎて光をほとんど散乱しないので、この輝きは見えない。
コロイド粒子を顕微鏡で見ると、絶えず不規則に震えるように動いている。これは、粒子より小さい溶媒分子が熱運動(新しいタブで開きます)によって四方からコロイド粒子に衝突し、その衝突の向きと強さが瞬間ごとに偏っているために起こる。この動きをブラウン運動という。
例:透析・凝析・塩析・保護コロイド
デンプンのコロイド溶液に小さなイオンなどの不純物が混ざっているとき、半透膜の袋に入れて流水に浸すと、小さいイオンだけが半透膜を通って外に出ていき、コロイド粒子は袋の中に残る。このコロイドの精製方法を透析という。
水酸化鉄(Ⅲ)のコロイドのように、水分子と結びつく力が弱く電荷(新しいタブで開きます)の反発だけで分散している疎水コロイドは、少量の電解質を加えるだけで粒子どうしが集まって沈んでしまう。これを凝析という。
一方、デンプンやタンパク質のように、粒子の周りに多くの水分子が結びついて分散している親水コロイドは、少量の電解質では沈まず、多量の電解質を加えてはじめて沈む。これを塩析という。親水コロイドを疎水コロイドに加えると、疎水コロイドの周りを囲んで凝析を防ぐ保護コロイドとしてはたらく。
コロイド粒子は表面に正または負の電荷を帯びている。コロイド溶液に電極を差し込んで電圧をかけると、コロイド粒子はその電荷と反対の符号の電極へ向かって移動する。この現象を電気泳動という。
なぜ電解質で沈むのか
疎水コロイドの粒子は、表面に同じ種類の電荷を帯びているため、粒子どうしが電気的に反発しあって散り散りのまま分散を保っている。電解質を加えると、粒子の電荷と反対の電荷を持つ少量のイオンが粒子表面に引き寄せられ、反発力を打ち消してしまう。
反発力が弱まると、粒子は互いに引き合う分子間力(新しいタブで開きます)のほうが優勢になり、くっついて大きな粒になって沈む。これが凝析で、疎水コロイドは電荷の反発だけで分散しているため、少量の電解質でも反発を打ち消すことができる。
親水コロイドの粒子は、周りに多くの水分子が強く結びついているため、電荷の反発を打ち消しただけではすぐには沈まない。沈ませるには、粒子を囲む水分子を奪うだけの多量の電解質(イオン)が必要になるため、塩析には疎水コロイドの凝析よりずっと多くの電解質がいる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/colloid-solutions-and-their-properties/?from=print#quiz
コロイド溶液に光を当てると、光の通り道が輝いて見える現象(チンダル現象)が起こる理由はどれか。
- ◯ コロイド粒子が電流を流すため
- ◯ コロイド溶液が必ず透明な色をしているため
- ◯ コロイド粒子が小さな分子より大きく、光を散乱させるため
- ◯ コロイド粒子が光を吸収して発光するため
正解:コロイド粒子が小さな分子より大きく、光を散乱させるため
コロイド粒子は小さな分子(新しいタブで開きます)やイオン(新しいタブで開きます)よりずっと大きいため、当てた光を散乱させる。その散乱によって光の通り道が輝いて見える。コロイド粒子が顕微鏡で見ると不規則に動いて見える現象(ブラウン運動)が起こる原因はどれか。
- ◯ 周囲の溶媒分子が不規則にコロイド粒子に衝突するため
- ◯ 光の熱でコロイド粒子が温められるため
- ◯ コロイド粒子が電気を帯びて反発し合うため
- ◯ コロイド粒子自身が自力で動くため
正解:周囲の溶媒分子が不規則にコロイド粒子に衝突するため
コロイド粒子より小さい溶媒分子が熱運動(新しいタブで開きます)によって四方からコロイド粒子に衝突し、その衝突の向きと強さが瞬間ごとに偏っているため、粒子は不規則に動く。コロイド溶液を半透膜の袋に入れて流水に浸し、小さいイオンなどの不純物を外に出してコロイド粒子を精製する方法を何というか。
- ◯ 透析
- ◯ 蒸留
- ◯ 電気泳動
- ◯ ろ過
正解:透析
半透膜(新しいタブで開きます)はコロイド粒子より小さいイオンや分子だけを通すため、流水に浸すことで不純物だけを外に出し、コロイド粒子を袋の中に残して精製できる。この方法を透析という。コロイド溶液に電極を差し込んで電圧をかけると、電荷を帯びたコロイド粒子が一方の電極へ向かって移動する現象を何というか。
- ◯ 凝析
- ◯ 透析
- ◯ 塩析
- ◯ 電気泳動
正解:電気泳動
コロイド粒子は表面に正または負の電荷(新しいタブで開きます)を帯びているため、電圧をかけるとその電荷と反対の符号の電極へ向かって移動する。この現象を電気泳動という。疎水コロイドの凝析と親水コロイドの塩析の違いを正しく説明したものはどれか。
- ◯ 親水コロイドは水を加えるだけで沈む
- ◯ 疎水コロイドは少量の電解質で沈み、親水コロイドは多量の電解質でないと沈まない
- ◯ 疎水コロイドは電解質を加えても沈まず、親水コロイドだけが沈む
- ◯ 凝析と塩析はまったく同じ現象で、呼び方が違うだけである
正解:疎水コロイドは少量の電解質で沈み、親水コロイドは多量の電解質でないと沈まない
疎水コロイドは電荷の反発だけで分散しているため少量の電解質で凝析するが、親水コロイドは粒子を囲む水分子が多いため、それを奪うだけの多量の電解質が必要な塩析でないと沈まない。
単元のポイント
- コロイド粒子 直径がおよそ1nm〜数百nmの粒子。小さな分子やイオンよりずっと大きいが、沈んで分離するほどではない
- チンダル現象 コロイド溶液に光を当てると、粒子が光を散乱して光の通り道が輝いて見える現象
- ブラウン運動 周囲の溶媒分子が不規則にコロイド粒子に衝突することで起こる、粒子の不規則な動き
- 凝析と塩析 疎水コロイドは少量の電解質で粒子どうしが集まって沈む(凝析)。親水コロイドは多量の電解質でないと沈まない(塩析)
- 電気泳動 コロイド粒子は表面に電荷を帯びているため、溶液に電極を入れて電圧をかけると、粒子が一方の電極へ向かって移動する現象