電気陰性度と分子の極性
カメレオン先生電気陰性度の差で結合に偏りができても、分子の形が対称なら偏りが打ち消されて無極性分子になるよ。
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- 電気陰性度は、原子が共有電子対(新しいタブで開きます)を引き寄せる強さの目安。フッ素や酸素(新しいタブで開きます)は電気陰性度が大きく、電子を強く引き寄せる。
- 電気陰性度の差がある原子どうしの共有結合には電気の偏り(極性)ができる。偏りが分子(新しいタブで開きます)全体で打ち消されなければ極性分子、打ち消されれば無極性分子になる。
- 分子どうしは分子間力という弱い力で引き合う。この力だけで固まった分子結晶は融点(新しいタブで開きます)が低く、溶けやすさも極性の有無で変わる。共有結合が結晶全体に広がる共有結合の結晶は融点がきわめて高い。
詳しく
電気陰性度と結合の極性
共有結合をしている2個の原子が、共有電子対を引き寄せる強さには差がある。この強さの目安を電気陰性度という。フッ素や酸素、窒素、塩素のように電気陰性度が大きい原子は、共有電子対を強く引き寄せる。
電気陰性度の違う原子どうしが共有結合を作ると、電気陰性度の大きい原子のほうに共有電子対が引き寄せられ、電気の偏りが生まれる。この偏りを極性という。塩化水素(新しいタブで開きます)HClでは、塩素原子のほうが電気陰性度が大きいため、塩素原子側がわずかにマイナス、水素原子側がわずかにプラスに偏る。
電気陰性度の差がほとんど無い原子どうしの共有結合(H−Hなど)には、極性がほとんど生まれない。
例:水は極性分子、二酸化炭素は無極性分子
水分子H₂Oは、酸素原子と水素原子の結合に極性があり、しかも分子の形が折れ曲がっているため、2本の結合の偏りが打ち消されずに残る。このような分子を極性分子という。
二酸化炭素分子CO₂は、炭素原子と酸素原子の結合にも極性があるが、分子の形が直線で、2本の結合の偏りが反対方向を向いているため、分子全体では偏りが打ち消される。このような分子を無極性分子という。
同じように結合に極性があっても、分子の形が対称かどうかで、分子全体として極性分子になるか無極性分子になるかが分かれる。
なぜ結晶の融点に大きな差が出るのか
分子どうしは、共有結合やイオン結合(新しいタブで開きます)よりずっと弱い分子間力という力で引き合う。極性分子は分子間力がやや強く働きやすく、無極性分子でも弱い分子間力は働く。この力だけで分子が規則正しく並んでできた結晶を分子結晶といい、ドライアイス(固体の二酸化炭素)やヨウ素の結晶が代表例だ。
分子結晶は分子間力が弱いため、融点や沸点が低く、電気も通さない。ドライアイスが常温ですぐに気体の二酸化炭素に戻るのも、分子間力が弱いためである。極性分子からなる物質は水に溶けやすいものが多く、無極性分子からなる物質は水に溶けにくく、油のような無極性の液体に溶けやすいものが多い。
これに対して、炭素の同素体(新しいタブで開きます)であるダイヤモンドのように、共有結合そのものが結晶全体に網目状に広がった結晶を共有結合の結晶という。ケイ素や、石英の成分である二酸化ケイ素も共有結合の結晶だ。結晶をばらすには無数の共有結合を切らなければならないため、融点はきわめて高くなる。分子結晶との違いは、結晶を支えている力が共有結合そのものか、それよりずっと弱い分子間力かにある。
ポリエチレンのような高分子化合物も分子の中は共有結合でできているが、ダイヤモンドのように結晶全体が網目状に広がっているのではなく、長い鎖のような分子がたくさん集まった固体である。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/electronegativity-and-molecular-polarity/?from=print#quiz
フッ素原子とナトリウム原子では、どちらの電気陰性度が大きいか。
- ◯ フッ素原子
- ◯ ナトリウム原子
- ◯ どちらも同じ
- ◯ 電気陰性度は原子には無い
正解:フッ素原子
フッ素は電気陰性度が最も大きい元素の一つで、共有電子対(新しいタブで開きます)を強く引き寄せる。ナトリウムのような金属元素(新しいタブで開きます)は電気陰性度が小さい。二酸化炭素CO₂が、結合に極性があるのに無極性分子になるのはなぜか。
- ◯ 二酸化炭素は共有結合をしていないから
- ◯ 分子の形が直線で、2本の結合の偏りが打ち消されるから
- ◯ 分子間力が働かないから
- ◯ 炭素原子と酸素原子の電気陰性度が完全に同じだから
正解:分子の形が直線で、2本の結合の偏りが打ち消されるから
二酸化炭素(新しいタブで開きます)は直線形の分子(新しいタブで開きます)で、炭素原子を中心に2本の結合の偏りが反対方向を向いているため、分子全体では偏りが打ち消されて無極性分子になる。ドライアイス(固体の二酸化炭素)のような分子結晶の融点が低いのはなぜか。
- ◯ 分子の中の共有結合が弱いから
- ◯ イオン結合でできているから
- ◯ 自由電子が存在するから
- ◯ 分子どうしを結びつける分子間力が弱いから
正解:分子どうしを結びつける分子間力が弱いから
分子結晶は、共有結合やイオン結合(新しいタブで開きます)よりずっと弱い分子間力だけで分子が並んでできているため、融点(新しいタブで開きます)や沸点が低い。ダイヤモンドのような共有結合の結晶の融点がきわめて高いのはなぜか。
- ◯ イオンの電気の量が大きいから
- ◯ 分子間力がとても強いから
- ◯ 共有結合そのものが結晶全体に網目状に広がっているから
- ◯ 自由電子が熱を通しやすくするから
正解:共有結合そのものが結晶全体に網目状に広がっているから
共有結合の結晶は、弱い分子間力ではなく共有結合そのものが結晶全体に広がっているため、ばらすのに無数の共有結合を切る必要があり、融点がきわめて高い。
単元のポイント
- 電気陰性度 原子が共有電子対を引き寄せる強さの目安。貴ガスを除き、周期表の右上の元素ほど大きい
- 極性分子 結合の電気の偏りが分子全体で打ち消されず残る分子。水H₂Oなど
- 無極性分子 結合に極性があっても、分子の形が対称で偏りが打ち消される分子。二酸化炭素CO₂など
- 分子間力 分子と分子のあいだに働く弱い引力。共有結合やイオン結合よりずっと弱い