
回折格子
カンガルー先生すきまの数が多いほど、強め合う角度以外ではほぼ完全に打ち消し合うから、明線が鋭くなるよ。
30秒でつかむ
- 細いすきまを間隔d(格子定数)で多数並べた回折格子に光を当てると、隣り合うすきまからの経路差(新しいタブで開きます)がd sinθになる。
- 経路差が波長(新しいタブで開きます)の整数倍になる角度、つまりd sinθ=mλ(m=0,1,2,…)の方向だけで多数のすきまからの光が同時に強め合い、鋭い明線ができる。
- すきまの数が多いほど、強め合う角度からわずかにずれただけで多数の光が打ち消し合うため、明線は細く明るくなる。
詳しく
回折格子の干渉条件
細いすきまを一定の間隔で、ガラス板などに多数(数百〜数千本/mm)平行に並べたものを回折格子という。1mあたりの本数がわかれば、間隔(格子定数)はで求まる。
単色光を垂直に当てると、どのすきまからも光が回折(新しいタブで開きます)して広がり、先へ進んでいく。隣り合うすきまから同じ角度の方向に進む光どうしの経路差はになる。
経路差が波長の整数倍になる方向、()では、隣り合うすきまどうしだけでなく、すきま全体からの光が同時に同じ位相でそろって重なるので、強く明るい明線ができる。はその明線の次数で、は正面()にできる明線である。
例題:格子定数と回折角
例題1:1mmあたり500本の筋がある回折格子の格子定数は、本/mよりm=2.0μmになる。
例題2:格子定数mの回折格子に波長m(緑色の光)を当てると、の明線はよりの方向にできる。ではとなって、つまり格子と同じ向きに進む光になってしまうため、実際には観測できない。この組み合わせでは、正面の明線()と左右30°の明線()しか見えないことになる。
なぜヤングの実験より明線が鋭くなるのか
ヤングの実験(新しいタブで開きます)のようにすきまが2本だけだと、強め合う角度の近くでも経路差が少しずれただけでは2つの光はまだそれなりに重なり、明るさがなめらかに変化する。
回折格子ではすきまが多数(本)あるので、強め合う角度から少しでも角度がずれると、各すきまからの光の位相が少しずつ違ってくる。すきまの数が多いほど、その小さな位相のずれが重なり合ったときに全体としてほぼ完全に打ち消し合ってしまう。
その結果、明線はをちょうど満たす角度の付近だけに細く鋭く現れ、それ以外の角度はほとんど暗くなる。すきまの数が多い回折格子ほど明線が細く明るくなり、波長をより正確に測れる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/diffraction-grating/?from=print#quiz
1mmあたり500本の筋がある回折格子の格子定数dは何μmか。
答え:____________
正解:2.0
1mあたりの本数はN=500/0.001=5.0×10⁵本/m。d=1/N=2.0×10⁻⁶m=2.0μm。格子定数d=2.0×10⁻⁶mの回折格子に波長λ=5.0×10⁻⁷mの光を当てたとき、m=1の明線が見える方向のsinθの値を求めよ。
答え:____________
正解:0.25
d sinθ=mλより、sinθ=mλ/d=(1×5.0×10⁻⁷)/(2.0×10⁻⁶)=0.25。波長と次数mを変えずに回折格子の格子定数dを大きくすると(すきまの間隔を広げると)、同じ次数mの明線が見える角度θは
- ◯ 小さくなる
- ◯ 大きくなる
- ◯ 変わらない
正解:小さくなる
d sinθ=mλより、sinθ=mλ/d。dを大きくするとsinθが小さくなるので、角度θも小さくなる。回折格子は多数のすきまをもつため、ヤングの実験の2本のスリットに比べて、明線は
- ◯ 変化しない
- ◯ 細く明るくなる
- ◯ ぼやけて暗くなる
正解:細く明るくなる
すきまの数が多いほど、強め合う角度からわずかにずれるだけで多数の光がほぼ完全に打ち消し合うため、明線は細く明るくなる。格子定数d=3.0×10⁻⁶m、波長λ=5.0×10⁻⁷mの回折格子で、sinθ<1の範囲で見える明線の最大の次数mはいくつか。
答え:____________
正解:5
d sinθ=mλでsinθ<1になる最大のmを求める。d/λ=3.0×10⁻⁶/5.0×10⁻⁷=6.0なので、m=6ではsinθ=1.0(θ=90°)になり観測できない。観測できる最大の次数はm=5。
単元のポイント
- 格子定数d 隣り合うすきまの間隔。1mあたりの本数Nから d=1/N
- 明線(主極大)の条件 d sinθ=mλ(m=0,1,2,…)
- 明線の鋭さ すきまの数が多いほど細く明るい明線になる