
エネルギー準位と発光・吸収スペクトル
カンガルー先生発光も吸収も、使うエネルギー準位の組み合わせが同じなら波長も同じになる。だから暗線と輝線は同じ位置に並ぶんだよ。
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- 電子が高いエネルギー準位から低い準位へ落ちるとき、その差に等しいエネルギーの光子を放出する(発光・輝線)。
- 逆に、ちょうどその差に等しいエネルギーの光を原子に当てると、電子は光子を吸収して低い準位から高い準位へ上がる(吸収・暗線)。
- 放出する光と吸収する光は同じ2つの準位で決まるため、発光スペクトルの輝線と吸収スペクトルの暗線は同じ波長(新しいタブで開きます)に現れる。
詳しく
発光と吸収
電子が高いエネルギー準位から低いエネルギー準位へ落ちるとき、振動数条件(新しいタブで開きます)を満たすエネルギーの光子が放出される。これが発光で、放出された光を分光すると、決まった波長に輝線が現れる。これを発光スペクトルという。
逆に、ちょうどを満たすエネルギーの光が原子に当たると、電子はその光子を吸収して、低い準位から高い準位へ移ることができる。さまざまな波長を含む連続光を、低温の原子の気体に通すと、吸収された波長の光だけが弱くなり、連続スペクトル(新しいタブで開きます)の中に暗線(吸収線)として現れる(吸収スペクトル)。
発光と吸収のどちらも、使われる2つのエネルギー準位の組み合わせで決まるので、同じ原子であれば、発光スペクトルの輝線と吸収スペクトルの暗線は、まったく同じ波長に現れる。
例題:発光・吸収する光の波長の計算
水素原子(新しいタブで開きます)のエネルギー準位En=-13.6/n²eVを使うと、n=3からn=2へ電子が落ちるときに放出される光子のエネルギーは、E₃=-1.51eV、E₂=-3.4eVより、hν=E₃-E₂=-1.51-(-3.4)=1.89eV。光子のエネルギーと波長の関係hν=hc/λに、hc≒1240eV・nmを使うと、λ=1240/1.89≒656.1nm(赤色)。これは前のページのリュードベリの式で求めたHα線の波長(656.3nm)とほぼ一致する。
例題:n=4からn=2へ電子が落ちるときに放出される光の波長はいくらか。E₄=-0.85eVより、hν=E₄-E₂=-0.85-(-3.4)=2.55eV。λ=1240/2.55≒486.3nm。これはHβ線の波長とよく合う。
なぜ暗線から元素がわかるのか
太陽の光をプリズムなどで細かく分光すると、連続スペクトルの中に多数の暗線(フラウンホーファー線)が見える。これは、太陽の表面から出た連続光が、太陽をとりまく低温のガス(大気)を通る間に、ガスに含まれる元素ごとに決まった波長の光だけが吸収されるからだ。
暗線の波長を、実験室で測った各元素の発光スペクトルの輝線の波長と照らし合わせることで、太陽や遠くの星にどんな元素が含まれているかを知ることができる。発光スペクトルと吸収スペクトルが同じ波長に現れるという性質は、直接手に取ることのできない天体の組成を調べる手段として使われている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/energy-levels-and-atomic-spectra/?from=print#quiz
ある原子の吸収スペクトルに現れる暗線の波長は、同じ原子の発光スペクトルの輝線の波長と比べてどうなるか。
- ◯ 暗線のほうがつねに波長が短い
- ◯ 暗線のほうがつねに波長が長い
- ◯ まったく同じ波長になる
- ◯ 関係はない
正解:まったく同じ波長になる
発光も吸収も同じ2つのエネルギー準位の差で決まるため、輝線と暗線はまったく同じ波長(新しいタブで開きます)に現れる。連続光を低温の気体に通すと暗線ができるのはなぜか。
- ◯ 気体の温度が光の速さを変えるから
- ◯ 気体がすべての光を散乱して見えなくするから
- ◯ 気体がすべての光を反射するから
- ◯ 気体の原子が特定のエネルギーの光だけを吸収するから
正解:気体の原子が特定のエネルギーの光だけを吸収するから
低温の気体原子は、エネルギー準位の差hν=En-Emに一致する特定の波長の光だけを吸収するため、その波長だけ弱くなって暗線になる。水素原子で、電子がn=5からn=2へ落ちるときに放出される光の波長は何nmか。En=-13.6/n²(eV)、hc≒1240eV・nmとし、小数第1位まで求めよ。
答え:____________
正解:434.2
E₅=-0.544eV、E₂=-3.4eVより、hν=E₅-E₂=2.856eV。λ=hc/(hν)=1240/2.856≒434.2nm。水素原子で、電子がn=2からn=1へ落ちるときに放出される光の波長は何nmか。En=-13.6/n²(eV)、hc≒1240eV・nmとし、小数第1位まで求めよ。
答え:____________
正解:121.6
E₂=-3.4eV、E₁=-13.6eVより、hν=E₂-E₁=10.2eV。λ=hc/(hν)=1240/10.2≒121.6nm。これがライマン系列(新しいタブで開きます)の中で最も波長が長い輝線である。
単元のポイント
- 発光スペクトル 電子が高い準位から低い準位へ落ちるときに出る輝線の並び
- 吸収スペクトル 連続光が低温の気体を通るとき、特定の波長だけ吸収されてできる暗線の並び
- 輝線と暗線の一致 同じ原子なら、輝線と暗線は同じ波長に現れる
- hν=En-Em 放出・吸収する光子のエネルギーは、2つの準位のエネルギー差に等しい