
万有引力による位置エネルギーと宇宙速度
カンガルー先生無限遠を0と決めると、天体の近くは0より低い「くぼみ」になる。くぼみから抜け出す速さが第二宇宙速度だよ。
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- 質量Mの天体の中心から距離rにある質量mの物体の、万有引力による位置エネルギーは、無限遠を基準(新しいタブで開きます)としてU=−GMm/r。どの位置でも負になる。
- 地表すれすれを円運動する人工衛星の速さを第一宇宙速度という。向心力(新しいタブで開きます)を重力がまかなうので、v₁=√(gR)≒7.9km/sとなる。
- 地表から打ち上げた物体が無限遠まで離れきるのに必要な最小の速さを第二宇宙速度という。½mv²−GMm/R=0より、v₂=√(2gR)≒11.2km/s。
詳しく
万有引力による位置エネルギー
質量の天体の中心から距離の位置にある質量の物体は、天体から万有引力(新しいタブで開きます)を受ける。万有引力も重力と同じ保存力なので、位置エネルギー(新しいタブで開きます)を考えてよい。距離が限りなく大きい点(無限遠)を基準にとると、万有引力による位置エネルギーはと表せる。
万有引力だけを受けて運動する物体では、運動エネルギーとの和が保存され、が一定に保たれる。地表から高さだけ上げたときの位置エネルギーの増加は、が地球の半径より十分小さければ、とほぼ等しくなる。
地表すれすれを円運動する人工衛星の速さを第一宇宙速度という。向心力を重力がまかなうので、からとなる。地表から打ち上げた物体が、地球の引力を振り切って無限遠まで離れるのに必要な最小の速さを第二宇宙速度という。
例題:2つの宇宙速度
例題1:m/s²、地球の半径mとすると、第一宇宙速度はm/sで、およそ7.9km/sになる。この速さなら、地球を約85分で1周する。
例題2:無限遠でちょうど速さが0になる打ち上げを考えると、力学的エネルギーの保存から。を使うと、11.2km/sと求まる。
例題3:地球の中心からの円軌道を回る人工衛星の速さは、から5.6km/s。高い軌道を回る衛星ほど、速さは遅くなる。
なぜ位置エネルギーは負になるのか
位置エネルギーは、その位置から基準の位置まで動くあいだに保存力がする仕事(新しいタブで開きます)で決まる。距離の位置から無限遠まで物体を動かすとき、万有引力は運動と逆向きに働き続けるので、する仕事は負で、大きさはになる。だから位置エネルギーは負の値をとる。
グラフにすると、は天体に近いほど深く下がり、遠ざかるほど0に近づく。物体の力学的エネルギーが負なら、物体は天体の引力から抜け出せずに回り続け、が0以上なら無限遠まで離れていける。第二宇宙速度は、ちょうどになる打ち上げの速さにあたる。
物理基礎で使ったは、地表を基準にした近似で、高さが地球の半径に比べて小さいときに使える。人工衛星や惑星のように距離が大きく変わる運動では、万有引力が距離の2乗に反比例して弱まることまで含めたの式を使う。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/gravitational-potential-energy-and-cosmic-velocities/?from=print#quiz
半径4.0×10⁶m、表面の重力加速度4.0m/s²の天体がある。この天体の表面すれすれを円運動する人工衛星の速さは何m/sか。
答え:____________
正解:4000
向心力(新しいタブで開きます)を重力がまかなうのでmv²/R=mg。v=√(gR)=√(4.0×4.0×10⁶)=4.0×10³m/s。地球の中心から8.0×10⁶mの位置にある質量100kgの人工衛星の、万有引力による位置エネルギーは何Jか。GM=4.0×10¹⁴m³/s²とし、無限遠を基準とする。
答え:____________
正解:−5.0×10⁹
U=−GMm/r=−4.0×10¹⁴×100÷(8.0×10⁶)=−5.0×10⁹J。無限遠を基準(新しいタブで開きます)にすると負の値になる。第二宇宙速度は、第一宇宙速度の何倍か。
- ◯ 2倍
- ◯ √2分の1倍
- ◯ 4倍
- ◯ √2倍
正解:√2倍
v₁=√(gR)、v₂=√(2gR)なので、v₂÷v₁=√2。約7.9km/sの√2倍で約11.2km/sになる。無限遠を基準にしたとき、万有引力による位置エネルギーU=−GMm/rの値について正しいものはどれか。
- ◯ 地表で0になる
- ◯ どの位置でも負で、遠いほど0に近づく
- ◯ どの位置でも0より大きい
- ◯ 遠いほど小さくなる
正解:どの位置でも負で、遠いほど0に近づく
無限遠をU=0とし、そこへ動くあいだに万有引力(新しいタブで開きます)は負の仕事(新しいタブで開きます)をするので、Uはどの位置でも負。rが大きいほど0に近づく。
単元のポイント
- 万有引力による位置エネルギー U=−GMm/r(無限遠が基準)
- 第一宇宙速度 v₁=√(gR)≒7.9km/s
- 第二宇宙速度 v₂=√(2gR)≒11.2km/s
- 力学的エネルギーの保存(新しいタブで開きます) ½mv²−GMm/r=一定