
窒素循環と生態系と人間生活
カエル先生炭素循環はすでに他の単元で学んだから、ここでは窒素の経路に絞って見ていこう。
30秒でつかむ
- 根粒菌などの窒素固定生物が大気中の窒素をアンモニウムイオン(新しいタブで開きます)に変える**窒素固定**を経て、植物は体内で有機窒素化合物(新しいタブで開きます)に変える**窒素同化**を行う。
- 土壌中ではアンモニウムイオンが硝酸イオンに変わる**硝化**と、硝酸イオンが窒素ガスに戻る**脱窒**が起こり、窒素は大気・土壌・生物の間をめぐる窒素循環をなす。
- 化学肥料の流入によって窒素循環の速さが変わると、水域の**富栄養化**が進み、物質生産や生物多様性(新しいタブで開きます)に地球規模で影響する。
詳しく
窒素固定と窒素同化
大気の主成分である窒素(N2)は多くの生物にはそのままでは利用できないが、根粒菌やアゾトバクターなどの窒素固定生物は、大気中の窒素をアンモニウムイオンに変えることができる。この過程を窒素固定という。
植物は土壌中のアンモニウムイオンや硝酸イオンを根から吸収し、体内でタンパク質や核酸などの有機窒素化合物に変える。この働きを窒素同化という。
植物がつくった有機窒素化合物は、食物連鎖(新しいタブで開きます)を通じて消費者にも取り込まれ、生物の体を構成する成分として利用される。
硝化と脱窒
土壌中では、亜硝酸菌・硝酸菌などの硝化菌の働きによって、アンモニウムイオンが硝酸イオンに変えられる。この過程を硝化という。
一方、脱窒素細菌の働きによって、土壌中の硝酸イオンが窒素ガスに変えられ、大気中に戻される過程を脱窒という。
このように窒素は、大気から窒素固定・窒素同化・食物連鎖・分解・硝化・脱窒を経て再び大気に戻る経路をたどり、生物と大気・土壌の間をめぐる窒素循環をなしている。
人間活動が窒素循環に及ぼす影響
化学肥料には多量の窒素化合物が含まれており、農地に施された肥料の一部は河川や湖沼に流れ込む。
これによって水域の窒素濃度(新しいタブで開きます)が上昇すると、本来の窒素循環の速さを超えて植物プランクトンなどが過剰に増殖する富栄養化が進み、物質生産や生物多様性に影響を及ぼす。
このような窒素循環の変化は特定の地域だけでなく地球上の多くの地域で見られるため、人間生活が生態系に及ぼす影響として、地球規模での対策が求められている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/nitrogen-cycle-and-human-impact/?from=print#quiz
窒素固定とはどのような過程か。
- ◯ 土壌中の硝酸イオンが窒素ガスに戻る過程
- ◯ アンモニウムイオンが硝酸イオンに変わる過程
- ◯ 植物がアンモニウムイオンを有機窒素化合物に変える過程
- ◯ 根粒菌などが大気中の窒素をアンモニウムイオンに変える過程
正解:根粒菌などが大気中の窒素をアンモニウムイオンに変える過程
根粒菌やアゾトバクターなどの窒素固定生物が、大気中の窒素(N2)をアンモニウムイオン(新しいタブで開きます)に変える過程を窒素固定という。窒素同化とはどのような働きか。
- ◯ 大気中の窒素をアンモニウムイオンに変える働き
- ◯ アンモニウムイオンを硝酸イオンに変える働き
- ◯ 植物が吸収した窒素化合物を有機窒素化合物に変える働き
- ◯ 土壌中の硝酸イオンを窒素ガスに変える働き
正解:植物が吸収した窒素化合物を有機窒素化合物に変える働き
植物が吸収した窒素化合物(新しいタブで開きます)を、タンパク質や核酸などの有機窒素化合物に変える働きを窒素同化という。硝化と脱窒の違いとして正しいものはどれか。
- ◯ 硝化は窒素ガス→アンモニウムイオン、脱窒はアンモニウムイオン→硝酸イオンへの変化
- ◯ 硝化と脱窒はどちらも大気中の窒素を固定する過程である
- ◯ 硝化と脱窒はどちらも植物の体内だけで起こる
- ◯ 硝化はアンモニウムイオン→硝酸イオン、脱窒は硝酸イオン→窒素ガスへの変化
正解:硝化はアンモニウムイオン→硝酸イオン、脱窒は硝酸イオン→窒素ガスへの変化
硝化はアンモニウムイオンが硝酸イオンに変わる過程、脱窒は硝酸イオンが窒素ガスに変えられ大気中に戻る過程である。化学肥料が河川や湖沼に流れ込むと、どのようなことが起こりやすいか。
- ◯ 河川や湖沼の生態系には全く影響しない
- ◯ 水域の窒素濃度が下がり、生物多様性が高まる
- ◯ 窒素循環が完全に止まり、窒素固定が起こらなくなる
- ◯ 窒素濃度が上昇して富栄養化が進み、物質生産や生物多様性に影響する
正解:窒素濃度が上昇して富栄養化が進み、物質生産や生物多様性に影響する
水域の窒素濃度(新しいタブで開きます)が上昇し、植物プランクトンなどが過剰に増殖する富栄養化が進み、物質生産や生物多様性(新しいタブで開きます)に影響を及ぼす。
単元のポイント
- 窒素固定 大気中の窒素(N2)を、根粒菌などの窒素固定生物がアンモニウムイオンに変える過程
- 窒素同化 植物が吸収した窒素化合物を、タンパク質や核酸などの有機窒素化合物に変えること
- 硝化と脱窒 土壌中でアンモニウムイオンが硝酸イオンに変えられる硝化と、硝酸イオンが窒素ガスとして大気に戻される脱窒
- 人間活動と窒素循環 化学肥料の多用などによって窒素循環が変化し、河川や湖沼の富栄養化など地球規模で生態系に影響する