
原子核の崩壊と半減期の計算
カンガルー先生α崩壊は質量数が4・原子番号が2減る。β崩壊は質量数は変わらず原子番号が1増える。この2つの変化量だけ覚えれば、どんな崩壊の列も追いかけられるよ。
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- α崩壊:原子核がα粒子(の原子核、陽子2個+中性子2個)を放出する崩壊。質量数は4、原子番号は2減る。
- β崩壊(β⁻崩壊):原子核内の中性子1個が陽子1個と電子(β粒子)・反電子ニュートリノに変わる崩壊。質量数は変わらず、原子番号が1増える。γ崩壊(γ線(新しいタブで開きます)の放出)では質量数・原子番号はどちらも変わらない。
- 半減期Tを使うと、時間t後に崩壊せず残っている原子核の数はで求められる。
詳しく
α崩壊・β崩壊の核反応式
α崩壊はα粒子(の原子核)を放出する崩壊で、質量数が4、原子番号が2減る。ウラン238の崩壊はという式だ(238−4=234、92−2=90で計算が合う)。
β崩壊(β⁻崩壊)は原子核内の中性子1個が陽子1個・電子・反電子ニュートリノに変わる崩壊で、質量数は変わらず原子番号が1増える。炭素14の崩壊はと表せる。γ線だけの放出(γ崩壊)では質量数・原子番号はどちらも変わらない。
例題:崩壊の回数・半減期の計算
例題1(崩壊の回数):ウラン238()はα崩壊とβ崩壊を繰り返して、最終的に鉛206()になる。α崩壊とβ崩壊はそれぞれ何回起きたか。質量数の減り方はα崩壊でしか起きないので、α崩壊の回数は回。α崩壊だけなら原子番号はまで減るはずだが、実際は82なので、その差は、β崩壊で原子番号が増えた回数と一致する。よって答えはα崩壊8回・β崩壊6回である。
例題2(半減期の式):半減期14.3日のリン32が57.2gある。57.2日後に残っているリン32は何gか。半減期分なので、g。残っているのは約3.58g。
例題3:半減期8.0日のヨウ素131がはじめの量の1/32になるのは何日後か。より半減期なので、日後。
なぜ質量数と原子番号の変化だけで崩壊の種類がわかるのか
α崩壊はつねに陽子2個・中性子2個のまとまり(α粒子)を放出するので、質量数は必ず4、原子番号は必ず2減る。β崩壊は原子核の中の中性子が陽子に変わるだけで核子の総数(質量数)は変化せず、陽子の数(原子番号)だけ1増える。
この2つの変化量が決まっているので、崩壊前後の質量数と原子番号の差を見れば、途中で何回のα崩壊・β崩壊があったかを逆算できる。ウラン238から鉛206までの崩壊系列のように、何段階もの崩壊を経て安定な原子核に落ち着くことが多い。
の指数が時間tそのものではなくt/T(半減期Tを単位にした経過時間)になっているのは、半減期ごとに量が半分になるという性質を使っているからである。tがTの整数倍(1半減期・2半減期…)のときはそのまま(1/2)の整数乗になるが、整数倍でない経過時間でも同じ式がそのまま使え、半減期の異なる原子核どうしも同じ形の式で量を求められる。半減期そのものの統計的な意味は物理基礎「放射性崩壊と半減期」のページで扱っている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/nuclear-decay-and-half-life-calculations/?from=print#quiz
トリウム232()がα崩壊とβ崩壊を繰り返して鉛208()になるまでに、α崩壊は何回起きたか。
答え:____________
正解:6
質量数(新しいタブで開きます)は232から208まで24減る。β崩壊は質量数を変えないので、質量数を減らすのはα崩壊だけ。1回のα崩壊で質量数は4減るので、α崩壊の回数は24÷4=6回。半減期5.3年のコバルト60が80gある。26.5年後に残っているコバルト60は何gか。小数第1位まで答えよ。
答え:____________
正解:2.5
26.5年は26.5÷5.3=5半減期(新しいタブで開きます)分。残っている量はN=80×(1/2)^5=80÷32=2.5g。半減期30年のセシウム137の量が、はじめの量の1/64になるのは何年後か。
答え:____________
正解:180
(1/2)^n=1/64となるnは6(2^6=64)。半減期6回分なので、30×6=180年後。リン32()がβ崩壊すると生じる原子核はどれか。
- ◯ (質量数32・原子番号17)
- ◯ (質量数28・原子番号13)
- ◯ (質量数28・原子番号14)
- ◯ (質量数32・原子番号16)
正解:\({}_{16}^{32}\mathrm{S}\)(質量数32・原子番号16)
β崩壊は質量数は変わらず原子番号が1増える崩壊。リン32(Z=15,A=32)がβ崩壊すると、質量数32のまま原子番号が16の硫黄32になる。
単元のポイント
- α崩壊 質量数−4・原子番号−2(\({}_2^4\mathrm{He}\)を放出)
- β崩壊 質量数は変わらず・原子番号+1(中性子→陽子+電子)
- 半減期の式 \(N=N_0\left(\dfrac{1}{2}\right)^{t/T}\)