
質量欠損と結合エネルギー
カンガルー先生原子核をばらばらにするには、質量欠損の分だけエネルギーを外から与えないといけない。逆に核子が集まって原子核になるときは、その分のエネルギーが放出されるんだ。
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- 陽子(新しいタブで開きます)・中性子をばらばらにした質量の合計は、実際の原子核の質量よりわずかに大きい。この差を質量欠損(新しいタブで開きます)Δmという。
- アインシュタインの関係式より、質量欠損に対応するエネルギーが原子核の結合エネルギーになる。1uは約931.5MeVに対応する。
- 核子1個あたりの結合エネルギーは、質量数(新しいタブで開きます)56付近の鉄で最大になり、それより軽い・重い原子核では小さくなる。
詳しく
質量欠損と結合エネルギーの関係
陽子の質量を、中性子の質量をとすると、陽子Z個・中性子(A−Z)個をばらばらにした質量の合計は、実際の原子核の質量Mよりわずかに大きい。この差を質量欠損という。質量欠損という考え方そのものは物理基礎「核分裂反応・核融合反応と質量とエネルギーの等価性」のページで扱っている。
この質量欠損に対応するエネルギーが、原子核を核子1個ずつにばらばらにするのに外から与えなければならないエネルギー、つまり結合エネルギーになる。1u≒931.5MeVなので、質量欠損をuで求めればで結合エネルギーが計算できる。
例題:ヘリウム4の結合エネルギー
例題:陽子の質量1.00728u、中性子の質量1.00867u、ヘリウム4の原子核の質量4.00150uとする。ばらばらにした質量の合計はu。質量欠損はu。
結合エネルギーはMeV。核子4個でできているので、核子1個あたりの結合エネルギーはMeV。
この核子1個あたりの結合エネルギーを質量数Aについてグラフにすると、鉄56(A=56)の付近で最大(約8.8MeV)になり、ヘリウム4のような軽い原子核やウラン235のような重い原子核ではこれより小さくなる。
なぜ鉄の付近で結合エネルギーが最大になるのか
核子1個あたりの結合エネルギーが大きいほど、その原子核はばらばらの核子より安定(エネルギーが低い)といえる。軽い原子核では核力で結びつく隣接する核子の割合が少なく、重い原子核では核力の届く範囲を超えてクーロン力(新しいタブで開きます)による反発が効いてくるため、どちらも結合エネルギーが鉄の付近より小さくなる。
だから、軽い原子核を融合させて鉄に近づける(核融合)か、重い原子核を分裂させて鉄に近づける(核分裂(新しいタブで開きます))かのどちらでも、核子1個あたりの結合エネルギーが増える方向に変化し、その増えた分がエネルギーとして放出される。核反応で取り出せるエネルギーの計算は「核反応とエネルギー」のページで扱う。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/mass-defect-and-binding-energy/?from=print#quiz
陽子の質量を1.00728u、中性子の質量を1.00867u、重水素()の原子核の質量を2.01355uとする。重水素の質量欠損は何uか。小数第5位まで答えよ。
答え:____________
正解:0.00240
ばらばらにした質量の合計は1.00728+1.00867=2.01595u。質量欠損(新しいタブで開きます)はΔm=2.01595−2.01355=0.00240u。核子1個あたりの結合エネルギーが最大になるのは、質量数がどのあたりの原子核か。
- ◯ ウラン(質量数235)付近
- ◯ 鉄(質量数56)付近
- ◯ 質量数が大きいほど単調に大きくなる
- ◯ ヘリウム(質量数4)付近
正解:鉄(質量数56)付近
核子1個あたりの結合エネルギーは質量数(新しいタブで開きます)56付近(鉄)で最大になり、それより軽い原子核・重い原子核のどちらでも小さくなる。質量欠損0.020uに対応する結合エネルギーは何MeVか。1u≒931.5MeVとして、小数第1位まで答えよ。
答え:____________
正解:18.6
ΔE=Δm×931.5=0.020×931.5=18.63MeVで、約18.6MeV。
単元のポイント
- 質量欠損(新しいタブで開きます) 核子をばらばらにした質量の合計−原子核の質量
- 質量とエネルギーの等価性(新しいタブで開きます) \(E=mc^2\)(1u≒931.5MeV)
- 核子1個あたりの結合エネルギー 鉄(A≒56)付近で最大