
原子核の構成と核力
カンガルー先生核力は核子どうしをすぐ近くでだけ強く引き合わせる力。遠くの陽子どうしは電気的に反発するだけだから、大きな原子核ほど壊れやすくなるよ。
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- 原子核は陽子(電荷+e)と中性子(電荷0)からできていて、まとめて核子という。陽子の数が原子番号Z、陽子と中性子の数の合計が質量数A。原子核はの形で表す。
- 核子どうしには、核子間のごく短い距離(10⁻¹⁵m程度)でだけ強く働く引力の核力がある。核力は陽子・中性子の種類に関係なく働き、クーロン力(新しいタブで開きます)より強いので、陽子どうしの反発を抑えて原子核をまとめている。
- 核力は届く距離が短いので、原子核が大きくなると表面に近い核子ほど核力で引き合う相手が増えず、陽子どうしのクーロン力による反発は原子核全体に及ぶ。これが大きな原子核ほど不安定になりやすい理由。
詳しく
原子核の構成
原子核は陽子と中性子からできていて、この2種類をまとめて核子という。陽子の数を原子番号Z、陽子と中性子の数を合わせた数を質量数Aといい、原子核は元素記号(新しいタブで開きます)Xを使ってと表す。中性子の数はA−Zになる。
例えば鉄の原子核は、陽子数26、質量数56なので中性子数は56−26=30個。同じ元素でも中性子数が違う原子核どうしを同位体というが、原子番号・質量数・同位体の意味そのものは「原子の構造と同位体」のページで扱っている。
核子1個の質量はおよそ1u(統一原子質量単位、1u≒1.6605×10⁻²⁷kg。炭素12の原子1個の質量の1/12)で近似できる。このuを使うと、原子核の質量をkgに直さずそのまま比べられる。
例題:核力とクーロン力の届く距離
例題:原子核の中で核力が働く距離は約1×10⁻¹⁵m(核子1個分の大きさ程度)で、クーロン力は距離が離れても1/r²で弱まるだけで働き続ける。半径が核力の届く距離の何倍もある大きな原子核では、核力は隣り合う核子どうしにしか働かないが、クーロン力はすべての陽子の組み合わせに働く。
そのため陽子数が多い大きな原子核ほど、陽子どうしの反発(クーロン力)の効果が核力の引力に対して相対的に大きくなり、安定な同位体を保ちにくくなる。これが鉛(Z=82)より重い元素に安定な同位体がほとんどなく、放射性崩壊(新しいタブで開きます)を起こす原子核が増える理由の一つになっている。
なぜ核力が必要なのか
陽子はすべて正の電荷を持つので、クーロン力だけなら原子核の中の陽子どうしは強く反発し合い、原子核はまとまっていられない。原子核が壊れずに存在できるのは、核力というクーロン力より強い引力が核子どうしに働いているからである。
核力は中性子にも働くので、中性子は陽子どうしの反発を電気的には増やさずに核力による引力だけを増やす役割をもつ。これが、陽子数の多い重い原子核ほど中性子の比率が大きい同位体のほうが安定になりやすい理由にもつながっている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/nuclear-structure-and-nuclear-force/?from=print#quiz
コバルト60の原子核 の中性子の数はいくつか。
答え:____________
正解:33
質量数(新しいタブで開きます)A=60、原子番号(陽子数)Z=27なので、中性子数はA−Z=60−27=33個。核力とクーロン力の違いについて正しい説明はどれか。
- ◯ 核力は核子間の短い距離でだけ強く働き、クーロン力は距離が離れても弱まりながら働き続ける
- ◯ 核力は中性子どうしの反発力で、クーロン力は陽子どうしの引力である
- ◯ 核力とクーロン力はどちらも距離に関係なく同じ大きさで働く
- ◯ 核力は陽子どうしにしか働かず、クーロン力は核子すべてに働く
正解:核力は核子間の短い距離でだけ強く働き、クーロン力は距離が離れても弱まりながら働き続ける
核力は核子間のごく短い距離でだけ強く働く引力で、電荷(新しいタブで開きます)の種類に関係なく陽子・中性子の間に働く。クーロン力(新しいタブで開きます)は陽子どうしの反発力で、距離が離れても1/r²で弱まりながら届き続ける。陽子数の多い重い原子核ほど放射性崩壊を起こしやすくなるのはなぜか。
- ◯ 中性子の数が増えると核力が消えてしまうから
- ◯ 核力が重い原子核では弱くなるから
- ◯ 核力は隣接する核子だけに働くのに対し、クーロン力による陽子どうしの反発はすべての陽子の組に働くため、反発の効果が相対的に大きくなるから
- ◯ 重い原子核では陽子の電荷が大きくなるから
正解:核力は隣接する核子だけに働くのに対し、クーロン力による陽子どうしの反発はすべての陽子の組に働くため、反発の効果が相対的に大きくなるから
核力は届く距離が短いので隣接する核子どうしにしか働かないが、クーロン力はすべての陽子の組み合わせに働く。原子核が大きくなるほどクーロン力による反発の総和が核力による引力に対して相対的に大きくなり、不安定になりやすい。
単元のポイント
- 核子 陽子と中性子をまとめた呼び方
- 核力 核子どうしの短距離(約10⁻¹⁵m)で働く引力。電荷の種類に関係なく働く
- 原子核の表し方 \({}_Z^AX\)(Z=原子番号=陽子数、A=質量数=陽子数+中性子数)