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走時曲線(そうじきょくせん)とシャドーゾーン

カワウソ先生波(なみ)が届(とど)かない場所(ばしょ)があることも、立派(りっぱ)な観測(かんそく)データ。届(とど)かない理由(りゆう)を考(かんが)えると内部(ないぶ)の様子(ようす)が見(み)えてくるよ。

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  1. 震央(しんおう)(新しいタブで開きます)距離(きょり)と地震波(じしんは)が届(とど)くまでの時間(じかん)(走時(そうじ))の関係(かんけい)を表(あらわ)したグラフを**走時曲線(そうじきょくせん)**という。走時曲線(そうじきょくせん)は、波(なみ)の速度(そくど)が変(か)わる境界(きょうかい)で折(お)れ曲(ま)がる。
  2. P波(ぴーは)は震央(しんおう)距離(きょり)およそ103°〜143°の範囲(はんい)に届(とど)きにくく、この範囲(はんい)を**シャドーゾーン**という。
  3. S波(えすは)は震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)くには全(まった)く届(とど)かない。これは、S波(えすは)を伝(つた)えない液体(えきたい)の外核(そとかく)(新しいタブで開きます)をS波(えすは)が通(とお)れないためである。

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詳しく

走時曲線(そうじきょくせん)と折(お)れ曲(ま)がり

近地(きんち)地震(じしん)を例(れい)に、震央(しんおう)からの距離(きょり)(震央(しんおう)距離(きょり))と、P波(ぴーは)が届(とど)くまでの時間(じかん)(走時(そうじ))の観測(かんそく)データをグラフに表(あらわ)したものを走時曲線(そうじきょくせん)という。

震央(しんおう)距離(きょり)が大(おお)きくなるほど走時(そうじ)も長(なが)くなるが、そのグラフは1本(ぽん)の直線(ちょくせん)ではなく、途中(とちゅう)で傾(かたむ)きが変(か)わる折(お)れ曲(ま)がりが生(しょう)じる。

この折(お)れ曲(ま)がりは、地震波(じしんは)の伝(つた)わる速(はや)さが深(ふか)さによって変化(へんか)し、モホロビチッチ不連続(ふれんぞく)面(めん)(新しいタブで開きます)のような境界(きょうかい)で地震波(じしんは)が屈折(くっせつ)(新しいタブで開きます)するために起(お)こる。折(お)れ曲(ま)がりの位置(いち)から、境界(きょうかい)までの深(ふか)さを推定(すいてい)できる。

走時曲線は境界(モホ面)で折れ曲がるAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

P波(ぴーは)とS波(えすは)のシャドーゾーン

世界中(せかいじゅう)の観測(かんそく)点(てん)で震央(しんおう)距離(きょり)ごとの到達(とうたつ)時間(じかん)を集(あつ)めると、P波(ぴーは)は震央(しんおう)距離(きょり)およそ103°から143°の範囲(はんい)でほとんど観測(かんそく)されないことがわかる。この範囲(はんい)をシャドーゾーンという。

一方(いっぽう)、S波(えすは)は震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)い観測(かんそく)点(てん)には全(まった)く届(とど)かない。これはP波(ぴーは)よりもはるかに厳(きび)しい制限(せいげん)で、S波(えすは)はシャドーゾーンの外側(そとがわ)すべてで観測(かんそく)されなくなる。

このように、地震波(じしんは)が届(とど)く範囲(はんい)・届(とど)かない範囲(はんい)の資料(しりょう)から地球(ちきゅう)内部(ないぶ)の構造(こうぞう)を推定(すいてい)する手法(しゅほう)を地震波(じしんは)トモグラフィーという。

P波は103°〜143°、S波は103°以遠が届かないAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

シャドーゾーンが生(しょう)じる理由(りゆう)

P波(ぴーは)のシャドーゾーンが生(しょう)じるのは、マントルから液体(えきたい)の外核(そとかく)に入(はい)るときに地震波(じしんは)の速度(そくど)が急(きゅう)に小(ちい)さくなり、波(なみ)が大(おお)きく屈折(くっせつ)してしまうためである。屈折(くっせつ)した波(なみ)は、ちょうど震央(しんおう)距離(きょり)103°〜143°の範囲(はんい)に届(とど)かない。

S波(えすは)が103°より遠(とお)くに全(まった)く届(とど)かないのは、S波(えすは)が固体(こたい)の中(なか)しか伝(つた)わらない波(なみ)であり、液体(えきたい)と考(かんが)えられる外核(そとかく)を通(とお)ることができないためである。

P波(ぴーは)とS波(えすは)でシャドーゾーンの範囲(はんい)が異(こと)なるこの違(ちが)いこそが、外核(そとかく)が液体(えきたい)であることを示(しめ)す重要(じゅうよう)な証拠(しょうこ)になっている。

確認問題

問題 1 / 4走時曲線(そうじきょくせん)のグラフに折(お)れ曲(ま)がりが生(しょう)じるのはなぜか。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/travel-time-curve-and-shadow-zone/?from=print#quiz

  1. 走時曲線(そうじきょくせん)のグラフに折(お)れ曲(ま)がりが生(しょう)じるのはなぜか。

    • ◯ 震源(しんげん)の深(ふか)さが毎回(まいかい)同(おな)じであるため
    • ◯ 地震波(じしんは)が地表(ちひょう)で反射(はんしゃ)を繰(く)り返(かえ)すため
    • ◯ 震央(しんおう)距離(きょり)が大(おお)きくなるほど地震波(じしんは)の速(はや)さが一定(いってい)に保(たも)たれるため
    • ◯ 地震波(じしんは)の速(はや)さが深(ふか)さで変化(へんか)し、境界(きょうかい)で屈折(くっせつ)するため

    正解:地震波の速さが深さで変化し、境界で屈折するため
    地震波(じしんは)の伝(つた)わる速(はや)さが深(ふか)さによって変化(へんか)し、モホロビチッチ不連続(ふれんぞく)面(めん)(新しいタブで開きます)のような境界(きょうかい)で地震波(じしんは)が屈折(くっせつ)(新しいタブで開きます)するために折(お)れ曲(ま)がりが生(しょう)じる。

  2. P波(ぴーは)のシャドーゾーンは震央(しんおう)距離(きょり)のどの範囲(はんい)にできるか。

    • ◯ およそ180°のみ
    • ◯ およそ0°〜30°
    • ◯ およそ103°〜143°
    • ◯ すべての震央(しんおう)距離(きょり)

    正解:およそ103°〜143°
    P波(ぴーは)(新しいタブで開きます)は震央(しんおう)距離(きょり)およそ103°から143°の範囲(はんい)でほとんど観測(かんそく)されず、この範囲(はんい)をシャドーゾーンという。

  3. S波(えすは)が震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)くに全(まった)く届(とど)かないのはなぜか。

    • ◯ S波(えすは)は固体(こたい)しか伝(つた)わらず、液体(えきたい)の外核(そとかく)を通(とお)れないため
    • ◯ 震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)くでは地震(じしん)そのものが起(お)きないため
    • ◯ S波(えすは)の速(はや)さがP波(ぴーは)よりはるかに速(はや)いため
    • ◯ S波(えすは)は地表(ちひょう)でしか発生(はっせい)しないため

    正解:S波は固体しか伝わらず、液体の外核を通れないため
    S波(えすは)は固体(こたい)の中(なか)しか伝(つた)わらない波(なみ)で、液体(えきたい)と考(かんが)えられる外核(そとかく)(新しいタブで開きます)を通(とお)ることができないため、103°より遠(とお)くには全(まった)く届(とど)かない。

  4. P波(ぴーは)のシャドーゾーンが震央(しんおう)距離(きょり)103°から143°の範囲(はんい)とすると、その範囲(はんい)の大(おお)きさは何度(なんど)か。数字(すうじ)で答(こた)えよう。

    答え:____________

    正解:40
    143-103=40°で、シャドーゾーンの範囲(はんい)の大(おお)きさは約(やく)40°になる。

単元のポイント

  • 走時曲線(そうじきょくせん) 震央(しんおう)距離(きょり)と地震波(じしんは)が届(とど)くまでの時間(じかん)(走時(そうじ))の関係(かんけい)を表(あらわ)したグラフ
  • 走時曲線(そうじきょくせん)の折(お)れ曲(ま)がり 地震波(じしんは)の速度(そくど)が深(ふか)さで変化(へんか)し、境界(きょうかい)(モホ面(めん)など)で屈折(くっせつ)するために生(しょう)じる
  • P波(ぴーは)のシャドーゾーン 震央(しんおう)距離(きょり)およそ103°〜143°の範囲(はんい)。外核(そとかく)で屈折(くっせつ)した波(なみ)が届(とど)きにくい
  • S波(えすは)が届(とど)かない範囲(はんい) 震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)くには全(まった)く届(とど)かない。液体(えきたい)の外核(そとかく)をS波(えすは)が伝(つた)わらないため

出典・クレジット

  • 単元の構成:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(新しいタブで開きます)(政府標準利用規約 2.0)
  • 学習指導要領の該当箇所:高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編 地学 (1)地球の概観 ア(ア)地球の形状・(イ)地球の内部(新しいタブで開きます)(解説p.162〜165。(1)地球の概観は(ア)地球の形状(㋐地球の形と重力:地球楕円体と地球表面における重力の資料から地球の形状と重力との関係を理解させる。内容の取扱いでジオイドと重力異常にも触れることを明記。㋑地球の磁気:地磁気の特徴とその働きを理解させ、内容の取扱いで地磁気の三要素及び磁気圏と太陽風との関連、地磁気の原因と古地磁気にも触れることを明記)と(イ)地球の内部(㋐地球の内部構造:地震波の伝わり方の資料から地球内部の構造を理解させる。内容の取扱いで走時曲線を扱い、地震波トモグラフィーにも触れることを明記。㋑地球内部の状態と物質:地球内部の温度・密度・圧力・構成物質の組成を理解させる。内容の取扱いでアイソスタシーも扱うこと、放射性同位体の崩壊など地球内部の熱源にも触れることを明記)で構成される。本単元では、㋐地球の形と重力を「地球楕円体と偏平率」(偏平率の計算)と「ジオイドと重力異常」の2ページに、㋑地球の磁気を「地磁気の三要素と磁気圏」と「古地磁気」の2ページに、㋐地球の内部構造を「走時曲線とシャドーゾーン」1ページに、㋑地球内部の状態と物質を「地球内部の境界面と温度・密度」と「アイソスタシー」の2ページに分けて扱い、計7ページとした。既存の高校「地学基礎」(1)地球のすがた ア(ア)惑星としての地球の、地球の大きさの測り方(measuring-the-size-of-the-earth)・地球の形(shape-of-the-earth:赤道半径約6378km・極半径約6357km・偏平率およそ298分の1・回転楕円体という定性的な説明まで)・地球内部の層構造(internal-structure-of-the-earth:地殻・マントル・外核・内核の区分とP波・S波で状態がわかること)・地球をつくる物質(materials-of-the-earth:岩石の密度の違い)、および中学理科「地震の波」(earthquake-waves:P波・S波・初期微動継続時間)で、地球が厳密には球でないこと、4層の区分、地震波で内部の状態がわかることは既に扱っているため、本単元ではそれより1段深く、偏平率を実際の数値で計算すること、ジオイドと重力異常(重力の正規値・地下構造の推定)、アイソスタシー(リソスフェアとアセノスフェアの浮力と重力のつり合い、スカンジナビア半島の隆起)、走時曲線の折れ曲がりとモホ面の深さの推定・P波とS波のシャドーゾーンが生じる理由、モホロビチッチ不連続面・グーテンベルク不連続面・レーマン不連続面という3つの境界面の名称と深さ・地下増温率と地殻熱流量・熱源としての放射性同位体の崩壊、地磁気の偏角・伏角・全磁力の三要素と磁気圏が太陽風と関連すること、地磁気の原因(外核の運動)と古地磁気・地磁気の逆転に絞って扱う。)
  • 事実データ:Wikidata の項目 Q1053146(新しいタブで開きます)(CC0)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」地学 (1)地球の概観 ア(イ)地球の内部 ㋐地球の内部構造 p.164(新しいタブで開きます)
  • コトバンク「シャドーゾーン」(新しいタブで開きます)
  • 本文:Manazoo 編集部
  • 図(震央距離と走時の関係を表す走時曲線が境界で折れ曲がる様子を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 図(震央距離103度から143度の範囲でP波が届かず、103度より遠くでS波が全く届かない様子を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 最終確認日:

単元の並びは学習指導要領に沿って作り、年号や人物などの事実は公開データと照らし合わせています。誤りに気づいたら意見箱からお知らせください。確かめて直します。テストや受験の前には、教科書や先生の説明もあわせて確認してください。

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単元のポイント
  • 走時曲線(そうじきょくせん) 震央(しんおう)距離(きょり)と地震波(じしんは)が届(とど)くまでの時間(じかん)(走時(そうじ))の関係(かんけい)を表(あらわ)したグラフ
  • 走時曲線(そうじきょくせん)の折(お)れ曲(ま)がり 地震波(じしんは)の速度(そくど)が深(ふか)さで変化(へんか)し、境界(きょうかい)(モホ面(めん)など)で屈折(くっせつ)するために生(しょう)じる
  • P波(ぴーは)のシャドーゾーン 震央(しんおう)距離(きょり)およそ103°〜143°の範囲(はんい)。外核(そとかく)で屈折(くっせつ)した波(なみ)が届(とど)きにくい
  • S波(えすは)が届(とど)かない範囲(はんい) 震央(しんおう)距離(きょり)103°より遠(とお)くには全(まった)く届(とど)かない。液体(えきたい)の外核(そとかく)をS波(えすは)が伝(つた)わらないため