生態系のバランスと攪乱
カワウソ先生生態系は多少の変動には強いが、大きな攪乱には弱い。どこまでなら戻れるかを意識して読もう。
30秒でつかむ
- 生態系(新しいタブで開きます)は常に変動しているが、変動の幅が一定の範囲内に保たれているときはバランスが保たれていると見ることができる。
- 大きな攪乱のあとは、生態系がもとの状態に戻るまでに長い時間がかかることがある。
- 生活排水の流入による富栄養化や、化学物質が生物の体内で高まっていく生物濃縮は、人間の活動が引き起こす攪乱の例だ。
詳しく
変動するバランスと攪乱
生態系は、気温や降水(新しいタブで開きます)量の変化、生物の数の増減などによって常に変動している。こうした変動の幅が一定の範囲内に保たれているときは、生態系のバランスが保たれた状態だ。
ところが、台風(新しいタブで開きます)や火山の噴火、人間の活動などで大きな攪乱が起こることがある。そのときは変動の幅を超えて、生態系のバランスが崩れてしまう。崩れたバランスがもとの状態に戻るまでには、長い時間がかかる場合もある。
攪乱そのものは自然の中でも起こる。しかし人間の活動による攪乱は規模や頻度が大きくなりやすく、生態系への影響も大きくなりやすい。
生活排水と自然浄化の限界
川に生活排水が流れ込むと、水中の有機物(新しいタブで開きます)や栄養分が増える。ふだんは微生物(新しいタブで開きます)のはたらきなどによって汚れが時間とともに分解され、水質がもとに戻っていく自然浄化というしくみだ。
しかし、流れ込む生活排水の量が自然浄化の力を超えると、水中の栄養分が増えすぎる富栄養化が起こる。富栄養化が進むと、プランクトンが異常に増え、海の水の色が変わる赤潮や、池や湖の水面が緑色になるアオコが発生(新しいタブで開きます)しやすい。
赤潮やアオコが発生すると、水中の酸素(新しいタブで開きます)が減ったり、光が水底まで届かなくなったりする。そのため、もとからその場所にすんでいた生物が生活しづらくなる。これも、人間の活動による攪乱の一つの形だ。
生物濃縮と食物連鎖
人間の活動による攪乱には、水質の変化だけでなく、体の中に分解されにくい物質がたまっていく現象もある。
農薬や一部の重金属などの物質は、生物の体内で分解されにくく、排出(新しいタブで開きます)もされにくい。そのため、周囲の環境よりも高い濃度(新しいタブで開きます)で体内にたまっていく。これを生物濃縮と呼ぶ。
生物濃縮は食物連鎖を通じて起こるため、小さな生物を食べる大きな生物ほど、体内の濃度が高くなりやすい。生物濃縮は、目に見えにくいかたちで人間の活動が生態系に影響をおよぼす例だ。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/ecosystem-balance-and-disturbance/?from=print#quiz
攪乱の説明として正しいものはどれか。
- ◯ 生態系が常に一定の状態を保っていること
- ◯ 台風や人間の活動などによって生態系のバランスが崩れるきっかけになる変化
- ◯ 生物濃縮と同じ意味の言葉
- ◯ 非生物的環境だけに起こる変化
正解:台風や人間の活動などによって生態系のバランスが崩れるきっかけになる変化
攪乱とは、台風(新しいタブで開きます)や火山の噴火、人間の活動などで生態系(新しいタブで開きます)に起こる大きな変化を指す。変動の幅を超えると、バランスが崩れるきっかけになる。生活排水が川に流れ込みすぎたときに起こる現象として正しいものはどれか。
- ◯ 富栄養化が起こり、赤潮やアオコが発生しやすくなる
- ◯ 生物濃縮が止まる
- ◯ 自然浄化の力が強まり、水質が急に改善する
- ◯ 非生物的環境が消滅する
正解:富栄養化が起こり、赤潮やアオコが発生しやすくなる
生活排水の量が自然浄化の力を超えると富栄養化が起こり、プランクトンが異常に増えて赤潮やアオコが発生(新しいタブで開きます)しやすくなる。富栄養化が進んで赤潮やアオコが発生すると、生態系にどのような影響が出やすいか。
- ◯ すべての生物が急に増える
- ◯ 非生物的環境が生物に変わる
- ◯ 生物濃縮が完全に止まる
- ◯ 水中の酸素が減ったり、光が水底まで届かなくなったりして生物が生活しづらくなる
正解:水中の酸素が減ったり、光が水底まで届かなくなったりして生物が生活しづらくなる
赤潮やアオコの発生で水中の酸素(新しいタブで開きます)が減ったり光が届かなくなったりすると、もとからその場所にすんでいた生物が生活しづらくなる。生物濃縮について正しい説明はどれか。
- ◯ すべての生物で濃度が同じになる
- ◯ 富栄養化とまったく関係がない現象
- ◯ 食物連鎖を通じて、大きな生物ほど体内の物質の濃度が高くなりやすい
- ◯ 非生物的環境にのみ起こる現象
正解:食物連鎖を通じて、大きな生物ほど体内の物質の濃度が高くなりやすい
分解されにくい物質は、食物連鎖を通じて生物の体内にたまっていく。そのため、小さな生物を食べる大きな生物ほど体内の濃度(新しいタブで開きます)が高くなりやすい。
単元のポイント
- 攪乱 生態系のバランスを崩すきっかけになる、環境の大きな変化
- 自然浄化 微生物のはたらきなどで、水質の汚れが時間とともに薄まり分解されていくこと
- 富栄養化 生活排水などで水中の栄養分(窒素やリンなど)が増えすぎること
- 生物濃縮 分解されにくい物質が、食物連鎖を通じて生物の体内で濃度を高めていくこと