
電気分解の電極反応の決まり方
カメレオン先生陰極はイオン化傾向が小さい陽イオンが優先、陽極は電極が反応しなければ陰イオンの種類で決まる。この順番で考えよう。
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- 陰極(新しいタブで開きます)では還元(新しいタブで開きます)が起こり、水溶液中の陽イオン(新しいタブで開きます)のうちイオン化傾向が小さいものほど優先して還元される。
- 陽極が白金や炭素などの反応しにくい電極なら、酸化されやすい陰イオンがあればそれが酸化され、なければ水が酸化される。
- 陽極が銅など反応する金属でできていれば、電極自身が溶け出して陽イオンになる。
詳しく
陰極・陽極で起こる反応の決まり方
電気分解では、外部電源の−極につないだ電極を陰極、+極につないだ電極を陽極とよぶ。陰極では還元が、陽極では酸化が起こる。どちらの反応が実際に起こるかは、水溶液中のイオンの種類と電極の材質で決まる。
陰極では、水溶液中にある陽イオンのうち、イオン化傾向が小さい(還元されやすい)ものが優先して還元される。例えばCu²⁺やAg⁺が溶液中にあれば、それらが電子を受け取って単体(新しいタブで開きます)になるのだ。Na⁺やK⁺のようにイオン化傾向が大きい陽イオンは還元されにくいため、代わりに水が還元されて水素H₂と水酸化物イオン(新しいタブで開きます)OH⁻が生じる。
陽極では、電極が白金Ptや炭素Cなどの不活性電極(自身は反応しない電極)であれば、水溶液中の陰イオンのうち酸化されやすいもの(塩化物イオンCl⁻などのハロゲン化物イオン)が優先して酸化される。酸化されやすい陰イオンがなければ水が酸化されて酸素O₂が発生する。電極が銅のように反応しやすい金属でできた活性電極であれば、陰イオンより先に電極自身が酸化されて溶け出す。
例:硫酸銅(Ⅱ)水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の電気分解
白金電極を使って硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解すると、陰極ではCu²⁺がイオン化傾向の大きいH₂Oより優先して還元され、銅が付着する:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu。陽極ではSO₄²⁻は酸化されにくいため水が酸化され、酸素が発生する:2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻。
水酸化ナトリウム水溶液を電気分解すると、Na⁺はイオン化傾向が大きく還元されにくいため、陰極では水が還元されて水素が発生する:2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻。陽極ではOH⁻(と水)が酸化されて酸素が発生する:4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 4e⁻。
水酸化ナトリウム水溶液の場合、両極の反応をまとめると全体では2H₂O → 2H₂ + O₂となり、水だけが分解される。ナトリウムイオンや水酸化物イオンの数は変わらないため、水が減った分だけ水酸化ナトリウムの濃度はしだいに高くなる。
なぜ電極の材質によって結果が変わるのか
硫酸銅(Ⅱ)水溶液を白金のような不活性電極で電気分解すると、陽極では水が酸化されて酸素が発生する。ところが、同じ水溶液を銅の電極(活性電極)で電気分解すると、陽極では水よりも先に電極自身の銅が酸化されて溶け出し、Cu²⁺になる。
つまり、水溶液の種類だけでなく、電極が反応するかどうかという条件も、陽極で何が起こるかを左右する。活性電極を使うこの仕組みは、電気分解の工業的な利用(次のページで学ぶ銅の電解精錬(新しいタブで開きます)など)で重要な役割を果たす。
このように、電気分解の結果を予想するときは、①陰極・陽極のどちらで考えるか、②水溶液中のイオンの種類、③電極の材質(活性か不活性か)の3つを順番に確認するとよい。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/electrode-reaction-rules-in-electrolysis/?from=print#quiz
白金電極を使って硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解したとき、陰極で起こる反応はどれか。
- ◯ Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
- ◯ 2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻
- ◯ 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻
- ◯ Cu → Cu²⁺ + 2e⁻
正解:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
陰極(新しいタブで開きます)では、イオン(新しいタブで開きます)化傾向が小さいCu²⁺が水より優先して還元(新しいタブで開きます)され、銅が付着する。白金電極を使って硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解したとき、陽極で起こる反応はどれか。
- ◯ 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻
- ◯ SO₄²⁻ → SO₄ + 2e⁻
- ◯ Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
- ◯ 2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻
正解:2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻
白金は不活性電極で、SO₄²⁻は酸化されにくいため、陽極では水が酸化されて酸素が発生する。水酸化ナトリウム水溶液を電気分解したとき、陰極で発生する気体はどれか。
- ◯ 水素H₂
- ◯ ナトリウムの単体
- ◯ 酸素O₂
- ◯ 塩素Cl₂
正解:水素H₂
陰極ではNa⁺は還元されず、水が還元されて水素が発生する:2H₂O+2e⁻→H₂+2OH⁻。水酸化ナトリウム水溶液の電気分解で、陰極でNa⁺ではなく水が還元されるのはなぜか。
- ◯ Na⁺は陰極に近づけないため
- ◯ 水のほうがNa⁺より濃度が低いため
- ◯ Na⁺はイオン化傾向が大きく、還元されにくいため
- ◯ Na⁺は陽極でしか反応できないため
正解:Na⁺はイオン化傾向が大きく、還元されにくいため
陰極では、イオン化傾向が小さい陽イオンほど優先して還元される。Na⁺はイオン化傾向が大きく還元されにくいため、代わりに水が還元される。
単元のポイント
- 陰極で優先して還元されるもの イオン化傾向が小さい陽イオン(Cu²⁺・Ag⁺など)> 水(Na⁺・K⁺などイオン化傾向が大きい陽イオンの代わりに水が還元される)
- 陽極で優先して酸化されるもの (不活性電極のとき)ハロゲン化物イオンなど酸化されやすい陰イオン(Cl⁻など)> 水(SO₄²⁻やNO₃⁻は酸化されにくいので水が酸化される)
- 活性電極 銅板(新しいタブで開きます)など、電極自身が反応して溶け出す電極
- 不活性電極 白金Ptや炭素Cなど、電極自身は反応しない電極