
リチウムイオン電池と燃料電池
カメレオン先生どちらも実用電池の代表。リチウムイオン電池はイオンが動いて充電できる仕組み、燃料電池は水素と酸素から水しか出ない発電のしくみとして区別しよう。
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- リチウムイオン電池は、負極の黒鉛(新しいタブで開きます)と正極のコバルト酸リチウムの間をLi⁺が移動して充放電する二次電池(新しいタブで開きます)である。
- 燃料電池は、水素H₂と酸素O₂から水だけを生じる反応で電気を取り出す装置である。
- リン酸形は酸性の電解質(新しいタブで開きます)、アルカリ形はアルカリ性の電解質を使い、両極の反応式が異なる。
詳しく
リチウムイオン電池のしくみ
リチウムイオン電池は、負極に黒鉛(グラファイト)、正極にコバルト酸リチウムLiCoO₂を使う二次電池である。放電時には、負極の黒鉛の層にはさまっていたリチウムイオンLi⁺が電解液の中を移動して正極側へ入り込み、同時に電子が外部回路を通って負極から正極へ流れる。
正極と負極はどちらも、リチウムイオンを層の間に出し入れできる構造になっているため、充電(新しいタブで開きます)するとLi⁺が逆に正極から負極へ移動して元の状態に戻る。この仕組みにより、同じ電極を繰り返し使えるのだ。
起電力(新しいタブで開きます)は1個のセルで約3.7Vと、鉛蓄電池(新しいタブで開きます)(約2.0V)より大きい。また電極やLiが軽いため、同じ重さでより多くの電気を取り出せる(エネルギー密度(新しいタブで開きます)が高い)。この特長から、スマートフォンや電気自動車など、軽さと容量が求められる機器に広く使われている。
例:燃料電池の両極の反応式(リン酸形・アルカリ形)
燃料電池は、水素H₂と酸素O₂を反応させ、水H₂Oだけを生じる反応から電気エネルギーを取り出す装置である。電解質にリン酸水溶液を使うリン酸形では、負極でH₂が電子を放してH⁺になる:H₂ → 2H⁺ + 2e⁻。正極ではO₂がH⁺と電子を受け取ってH₂Oになる:O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ → 2H₂O。
電解質に水酸化カリウム水溶液などを使うアルカリ形では、負極でH₂がOH⁻と反応して電子を放す:H₂ + 2OH⁻ → 2H₂O + 2e⁻。正極ではO₂が水と電子からOH⁻を生じる:O₂ + 2H₂O + 4e⁻ → 4OH⁻。
電解質が酸性かアルカリ性かで反応式の形は変わるが、両極の反応をまとめるとどちらも全体では 2H₂ + O₂ → 2H₂O となり、生成物(新しいタブで開きます)は水だけである。燃料電池自動車(FCV)や人工衛星の電源など、クリーンな発電として利用が広がっている。
なぜリチウムイオン電池は充電でき、マンガン乾電池はできないのか
マンガン乾電池のように使い切ったら終わりの電池を一次電池、充電すれば繰り返し使える電池を二次電池という。両者の違いは、放電時の反応が逆向きにも進めやすい形をしているかどうかにある。
リチウムイオン電池の負極(黒鉛)と正極(コバルト酸リチウム)は、どちらもリチウムイオンを層の間に出し入れできる構造を保ったまま変化する。そのため、外部電源で逆方向に電流を流すと、Li⁺が元の電極へ戻り、構造を壊さずに元の状態に戻せる。
一方、マンガン乾電池の反応は、電極の物質が別の安定な物質に変わってしまい、元の形に戻すことが難しい。この「反応を逆向きに進めやすい構造かどうか」が、二次電池として使えるかどうかを分けている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/lithium-ion-battery-and-fuel-cells/?from=print#quiz
リチウムイオン電池の正極に使われる物質はどれか。
- ◯ 酸化鉛(Ⅳ)PbO₂
- ◯ 黒鉛(グラファイト)
- ◯ 二酸化マンガンMnO₂
- ◯ コバルト酸リチウムLiCoO₂
正解:コバルト酸リチウムLiCoO₂
リチウムイオン電池は、正極にコバルト酸リチウムLiCoO₂、負極に黒鉛(新しいタブで開きます)を使う。リン酸形燃料電池の負極で起こる反応はどれか。
- ◯ H₂ → 2H⁺ + 2e⁻
- ◯ O₂ + 4H⁺ + 4e⁻ → 2H₂O
- ◯ 2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻
- ◯ 4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 4e⁻
正解:H₂ → 2H⁺ + 2e⁻
リン酸形(酸性電解質(新しいタブで開きます))の負極では、水素H₂が電子を放してH⁺になる:H₂ → 2H⁺+2e⁻。燃料電池で、水素と酸素が反応して生じる物質はどれか。
- ◯ 水酸化ナトリウム
- ◯ 二酸化炭素
- ◯ 水のみ
- ◯ 水素と酸素の混合気体
正解:水のみ
燃料電池の全体の反応は2H₂+O₂→2H₂Oで、生じる物質は水だけである。リン酸形燃料電池で、電子が0.40mol流れたとき、負極で消費される水素H₂は何molか。
答え:____________
正解:0.20
負極の反応H₂→2H⁺+2e⁻より、電子2molにつきH₂は1mol消費される。0.40÷2=0.20mol。
単元のポイント
- リチウムイオン電池(新しいタブで開きます) 負極に黒鉛(グラファイト)、正極にコバルト酸リチウムLiCoO₂を使う二次電池。Li⁺の移動で充放電する
- リン酸形燃料電池 負極 H₂→2H⁺+2e⁻、正極 O₂+4H⁺+4e⁻→2H₂O(酸性電解質)
- アルカリ形燃料電池 負極 H₂+2OH⁻→2H₂O+2e⁻、正極 O₂+2H₂O+4e⁻→4OH⁻(アルカリ性電解質)
- 燃料電池の全体の反応 どちらの形でも全体では 2H₂+O₂→2H₂O となり、生成物は水だけ