
形成体と誘導・形態形成
カエル先生形成体が周りに働きかけるのが誘導。移植実験で原口背唇部が特別だとわかったんだ。
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- 周りの細胞に働きかけて分化の方向を決める過程を**誘導**といい、誘導する側の組織を**形成体**という。
- カエルの**シュペーマンの移植実験**で、**原口背唇部**を別の胚に移植すると移植先にも神経管などが作られ、原口背唇部が形成体として働くことがわかった。
- ショウジョウバエでは**母性効果遺伝子(新しいタブで開きます)**(**ビコイド**など)が体の前後軸を決め、**ホメオティック遺伝子**(**Hox遺伝子**)が体の各部の構造を決める。
詳しく
誘導と形成体、シュペーマンの移植実験
発生(新しいタブで開きます)が進む過程で、ある組織が隣接する細胞に働きかけ、分化する方向を決めることを誘導という。誘導を行う組織を形成体という。
この仕組みは、シュペーマンによるイモリの胚を使った移植実験で明らかになった。初期の原腸胚(新しいタブで開きます)の原口背唇部を切り取り、別の胚の、本来なら神経管を作らない場所に移植すると、移植先にも神経管や体節などの構造が作られた。
もとの胚にも移植先にも神経管ができたことから、原口背唇部は周囲の外胚葉に神経管への分化を促す形成体として働くことがわかった。
中胚葉誘導と細胞分化
原口背唇部が誘導の働きを持つより前の段階では、胞胚の内胚葉になる予定の部分が、隣接する外胚葉になる予定の部分に働きかけ、中胚葉を作らせる誘導が起こっている。これを中胚葉誘導という。
このように、胚の中では「ある組織が誘導して次の組織の性質を決め、その組織がさらに別の組織を誘導する」という連鎖(新しいタブで開きます)が繰り返され、少しずつ複雑なからだの構造が作られていく。
こうした誘導の繰り返しによって、同じ受精卵から出発した細胞が、場所ごとに違う遺伝子を発現させて異なる細胞へと細胞分化していく。
母性効果遺伝子とホメオティック遺伝子(ショウジョウバエ)
ショウジョウバエでは、母親の卵の中にあらかじめ蓄えられた母性効果遺伝子の産物が、胚の体の前後軸を決める。代表的な母性効果遺伝子の1つがビコイドで、その産物(mRNA(新しいタブで開きます)やタンパク質)は卵の前方に多く分布し、前後に濃度(新しいタブで開きます)勾配ができることで前後の位置情報を与える。
母性効果遺伝子の情報を受けて働く分節遺伝子は、体を頭部・胸部・腹部などの体節に分ける。さらに、それぞれの体節がどの器官になるかを決めるのがホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)だ。
ホメオティック遺伝子が変異すると、ある体節につくはずの器官が別の器官に置き換わることがある。たとえば、本来は触角ができる体節に脚ができる変異が知られている。ショウジョウバエでもヒトなどの動物でも、Hox遺伝子は体の前後軸に沿った構造の決定に関わる共通の仕組みだ。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/organizer-induction-and-morphogenesis/?from=print#quiz
周りの細胞に働きかけて分化の方向を決める働きを行う組織を何というか。
- ◯ ベクター
- ◯ 母性効果遺伝子
- ◯ ホメオティック遺伝子
- ◯ 形成体
正解:形成体
周りの細胞の分化の方向を決める働きかけを誘導といい、それを行う組織を形成体という。シュペーマンが原口背唇部を別の胚に移植する実験で確かめたことは何か。
- ◯ 胞胚には誘導が起こらないこと
- ◯ 原口背唇部がなくても神経管ができること
- ◯ 原口背唇部が形成体として神経管を誘導すること
- ◯ 移植した部分だけが分化しないこと
正解:原口背唇部が形成体として神経管を誘導すること
原口背唇部を別の胚の、本来神経管を作らない場所に移植すると、移植先にも神経管などが作られ、原口背唇部が形成体として働くことがわかった。中胚葉誘導が起こる段階と、誘導する側・される側の組合せはどれか。
- ◯ 外胚葉になる予定の部分が内胚葉になる予定の部分に働きかける
- ◯ 内胚葉になる予定の部分が外胚葉になる予定の部分に働きかける
- ◯ 原口背唇部が中胚葉をすべて作る
- ◯ 中胚葉が内胚葉と外胚葉を誘導する
正解:内胚葉になる予定の部分が外胚葉になる予定の部分に働きかける
原口背唇部が形成体として働くより前の段階で、胞胚(新しいタブで開きます)の内胚葉になる予定の部分が、隣接する外胚葉になる予定の部分に働きかけ、中胚葉を作らせる誘導が起こる。ショウジョウバエで、体の前後軸を決める母性効果遺伝子と、各体節の器官を決める遺伝子の組合せはどれか。
- ◯ ビコイドが前後軸、ホメオティック遺伝子が各部の構造を決める
- ◯ ビコイドだけで前後軸と各部の構造の両方を決める
- ◯ ホメオティック遺伝子が前後軸、ビコイドが各部の構造を決める
- ◯ どちらも分節遺伝子の一種で役割の違いはない
正解:ビコイドが前後軸、ホメオティック遺伝子が各部の構造を決める
母性効果遺伝子(新しいタブで開きます)(ビコイドなど)が体の前後軸を決め、ホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)が各体節につく器官を決める。
単元のポイント
- 誘導と形成体 周りの細胞の分化の方向を決める働きかけ(誘導)と、それを行う組織(形成体)
- シュペーマンの移植実験と原口背唇部 原口背唇部を別の胚に移植すると、移植先にも神経管などが誘導されてできた実験
- 中胚葉誘導 胞胚の内胚葉になる部分が、隣接する部分に働きかけて中胚葉を誘導すること
- 母性効果遺伝子とホメオティック遺伝子 体の前後軸を決める母性効果遺伝子(ビコイドなど)と、各部の構造を決めるホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)