
実在気体と理想気体のずれ
カメレオン先生理想気体は「分子の体積0・分子間力0」という仮の気体。実在気体はどちらも0ではないから、条件によってずれが出るよ。
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- 実在気体は分子(新しいタブで開きます)自身が体積をもち、分子間力(新しいタブで開きます)もはたらくため、理想気体の状態方程式(新しいタブで開きます)pV=nRTからずれる。
- ずれの大きさは圧縮因子Z=pV/(nRT)で表せる。理想気体ならZ=1で、実在気体はこれからずれる。
- 高温・低圧になるほど分子間の距離が広がり分子自身の体積の影響も減るため、実在気体は理想気体に近づく。
詳しく
理想気体からのずれと圧縮因子
理想気体の状態方程式は、分子自身の体積を0とみなし、分子間力もはたらかないと仮定して導かれている。実際の気体(実在気体)の分子は、わずかとはいえ自分の体積をもち、前のページで見たファンデルワールス力(新しいタブで開きます)や水素結合のような分子間力もはたらく。そのため、実在気体は状態方程式からわずかにずれたふるまいを示す。
このずれの大きさは、で定義される圧縮因子で表せる。理想気体ならになるはずだが、実在気体のは圧力や温度によって1より大きくなることも、小さくなることもあるのだ。
分子間力は分子どうしを引き合わせる方向に働くので、圧力をやや低く見せる(になりやすい)。一方、圧力が非常に高くなると分子自身の体積の分だけ自由に動ける空間が狭くなり、圧力を押し上げる(になりやすい)。
例:圧縮因子で測るずれの大きさ
例題:ある条件で気体1.0molを測定したところ、実際の圧力は4.6×10⁶Pa、同じ体積・温度を理想気体として計算した圧力は5.0×10⁶Paだった。このときの圧縮因子Zはいくらか。
圧縮因子はで求められるので、0.92になる。が1より小さいことから、この条件では分子間力がはたらいて圧力をやや下げる方向にずれていることが分かる。
実際の実在気体のグラフでは、圧力が低いうちはが1よりやや小さくなり、圧力が非常に高くなると今度は1より大きくなっていく、という形になることが多い。
なぜ高温・低圧で理想気体に近づくのか
圧力が低いと、分子どうしの間の距離は平均して大きく広がる。分子間力は距離が離れるほど急激に弱まるため、低圧では分子間力の影響がほとんど無視できるほど小さい。また、気体全体の体積に対して分子自身の体積の占める割合も小さくなる。
温度が高いときは、分子の熱運動(新しいタブで開きます)が激しくなり、分子間力による引き合いの影響を振り切りやすくなる。これらの理由から、実在気体は高温・低圧ほど理想気体に近いふるまいを示す。
気体分子の運動エネルギー(新しいタブで開きます)は、同じ温度でも分子ごとに差があり、速いものから遅いものまでの広がり(分布)をもつ。この分布のかたちは温度によって変わり、分布の平均となる運動エネルギーが絶対温度に比例することは、物理の単元「気体分子の運動」でも扱っている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/real-gas-and-ideal-gas-deviation/?from=print#quiz
実在気体が理想気体の状態方程式からずれる原因として正しい組み合わせはどれか。
- ◯ 気体定数Rの値が物質によって変わること
- ◯ 分子の質量が0ではないことと分子が色をもつこと
- ◯ 分子自身が体積をもつことと分子間力がはたらくこと
- ◯ 気体の温度が絶対零度より高いこと、それだけ
正解:分子自身が体積をもつことと分子間力がはたらくこと
理想気体(新しいタブで開きます)は分子(新しいタブで開きます)自身の体積を0、分子間力(新しいタブで開きます)を0と仮定した仮の気体。実在気体はどちらも0ではないため、状態方程式からずれる。実在気体が理想気体に近いふるまいをするのはどのような条件のときか。
- ◯ 低温・高圧のとき
- ◯ 高温・高圧のとき
- ◯ 高温・低圧のとき
- ◯ 低温・低圧のとき
正解:高温・低圧のとき
高温では分子の熱運動(新しいタブで開きます)が激しく分子間力の影響を振り切りやすく、低圧では分子どうしの距離が広がり分子間力も分子自身の体積の影響も小さくなる。そのため高温・低圧の条件で理想気体に近づく。ある条件で気体1.0molを測定したところ、実際の圧力は4.6×10⁶Pa、同じ体積・温度を理想気体として計算した圧力は4.0×10⁶Paだった。このときの圧縮因子Zはいくらか。
答え:____________
正解:1.15
圧縮因子Z=実際の圧力÷理想気体として計算した圧力=4.6×10⁶÷4.0×10⁶=1.15。この条件では分子自身の体積の効果で圧力が高くなる方向にずれ、Zが1より大きくなる。気体分子の運動エネルギーについて正しい記述はどれか。
- ◯ 同じ温度でも分子ごとに運動エネルギーは異なり広がり(分布)をもつが、その平均は絶対温度に比例する
- ◯ 同じ温度の気体では、すべての分子がまったく同じ運動エネルギーをもつ
- ◯ 気体分子の運動エネルギーは温度に関係なく一定である
- ◯ 分子量が大きい分子ほど、同じ温度での運動エネルギーの平均は大きくなる
正解:同じ温度でも分子ごとに運動エネルギーは異なり広がり(分布)をもつが、その平均は絶対温度に比例する
気体分子の運動エネルギー(新しいタブで開きます)には分子ごとに広がり(分布)があり、速いものも遅いものもある。この分布の平均となる運動エネルギーは、分子の種類に関係なく絶対温度だけに比例する。
単元のポイント
- 理想気体との違い 理想気体は分子の体積と分子間力を0と仮定した仮の気体。実在気体はどちらも0ではない
- 圧縮因子Z Z=pV/(nRT)。理想気体ならZ=1。実在気体はZが1からずれ、高圧で1より大きくも小さくもなる
- 高温・低圧で理想気体に近づく 分子間の距離が広がり、分子自身の体積や分子間力の影響が相対的に小さくなるため
- 気体分子の運動エネルギーの分布 同じ温度でも分子ごとの運動エネルギーには広がり(分布)があり、その平均が絶対温度に比例する