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ファンデルワールス力(りょく)と水素(すいそ)結合(けつごう)

カメレオン先生分子(ぶんし)量(りょう)だけで沸点(ふってん)を予想(よそう)して大(おお)きく外(はず)れたら、たいてい水素(すいそ)結合(けつごう)のしわざだよ。

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  1. 分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)はすべて、電子(でんし)の分布(ぶんぷ)が一瞬(いっしゅん)かたよってできる弱(よわ)い引力(いんりょく)で引(ひ)き合(あ)う。これをファンデルワールス力(りょく)という。
  2. 分子(ぶんし)が大(おお)きく電子(でんし)が多(おお)いほど、電子(でんし)の分布(ぶんぷ)はかたよりやすくなり、ファンデルワールス力(りょく)は強(つよ)くなる。
  3. F・O・Nに結(むす)びついたHをもつ分子(ぶんし)には、ファンデルワールス力(りょく)より強(つよ)い水素(すいそ)結合(けつごう)も働(はたら)き、沸点(ふってん)(新しいタブで開きます)を大(おお)きく引(ひ)き上(あ)げる。

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詳しく

ファンデルワールス力(りょく)と水素(すいそ)結合(けつごう)

分子(ぶんし)の中(なか)の電子(でんし)は絶(た)えず動(うご)いており、一瞬(いっしゅん)だけ分布(ぶんぷ)がかたより、分子(ぶんし)のどちらかの端(はじ)にわずかな+と−が生(う)まれることがある。このかたよりが隣(となり)の分子(ぶんし)の電子(でんし)分布(ぶんぷ)も引(ひ)き寄(よ)せて同(おな)じようにかたよらせ、分子(ぶんし)どうしが弱(よわ)く引(ひ)き合(あ)う。この引力(いんりょく)をファンデルワールス力(りょく)という。極性(きょくせい)(新しいタブで開きます)の無(な)い分子(ぶんし)どうしでも、この力(ちから)ははたらく。

分子(ぶんし)に含(ふく)まれる電子(でんし)の数(かず)が多(おお)いほど、電子(でんし)分布(ぶんぷ)はかたよりやすく、ファンデルワールス力(りょく)は強(つよ)くなる。分子(ぶんし)量(りょう)(新しいタブで開きます)が大(おお)きいほどファンデルワールス力(りょく)が強(つよ)くなるのは、このためだ。

それとは別(べつ)に、フッ素(そ)・酸素(さんそ)・窒素(ちっそ)のように電気(でんき)陰性(いんせい)度(ど)が大(おお)きい原子(げんし)に直接(ちょくせつ)結(むす)びついたH原子(げんし)は、電子(でんし)を強(つよ)く引(ひ)かれてプラスの電気(でんき)を帯(お)びやすくなる。このHが、別(べつ)の分子(ぶんし)のF・O・Nが持(も)つ非(ひ)共有(きょうゆう)電子(でんし)対(たい)(新しいタブで開きます)と強(つよ)く引(ひ)き合(あ)う結合(けつごう)を水素(すいそ)結合(けつごう)という。水素(すいそ)結合(けつごう)はファンデルワールス力(りょく)より強(つよ)く、通常(つうじょう)の共有(きょうゆう)結合(けつごう)よりは弱(よわ)い。

ファンデルワールス力(上)と水素結合(下)の違いAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例(れい):貴(き)ガスの沸点(ふってん)と水(みず)の沸点(ふってん)のずれ

ネオンNe(分子(ぶんし)量(りょう)20、沸点(ふってん)−246℃)、アルゴンAr(40、−186℃)、クリプトンKr(84、−153℃)、キセノンXe(131、−108℃)は、どれも分子間力(ぶんしかんりょく)がファンデルワールス力(りょく)だけの単(たん)原子(げんし)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)である。分子(ぶんし)量(りょう)が大(おお)きいものほど沸点(ふってん)が高(たか)く、ファンデルワールス力(りょく)が分子(ぶんし)の大(おお)きさで決(き)まることがよく分(わ)かる。

ところが、水(みず)H₂O(分子(ぶんし)量(りょう)18)と硫化(りゅうか)水素(すいそ)H₂S(分子(ぶんし)量(りょう)34)を比(くら)べると、分子(ぶんし)量(りょう)の小(ちい)さい水(みず)の沸点(ふってん)100℃の方(ほう)が、分子(ぶんし)量(りょう)の大(おお)きい硫化(りゅうか)水素(すいそ)の沸点(ふってん)−60℃よりはるかに高(たか)い。アンモニアNH₃(17、−33℃)とフッ化(か)水素(すいそ)HF(20、20℃)も、同(おな)じくらいの分子(ぶんし)量(りょう)の炭化(たんか)水素(すいそ)と比(くら)べて沸点(ふってん)が高(たか)い。

この3つ(H₂O・NH₃・HF)は、いずれもF・O・Nに直接(ちょくせつ)結(むす)びついたHを持(も)ち、分子(ぶんし)どうしが水素(すいそ)結合(けつごう)で強(つよ)く引(ひ)き合(あ)っている。ファンデルワールス力(りょく)だけで決(き)まる予想(よそう)よりも、沸点(ふってん)が大(おお)きく跳(は)ね上(あ)がるのはこのためだ。

水素化合物の沸点:H₂Oだけが水素結合で跳ね上がるAsatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

なぜ沸点(ふってん)にこれほどの差(さ)が出(で)るのか

沸点(ふってん)を決(き)めるのは、液体(えきたい)の分子(ぶんし)どうしを引(ひ)き離(はな)して気体(きたい)にするのに必要(ひつよう)なエネルギーの大(おお)きさだ。分子間力(ぶんしかんりょく)が強(つよ)いほど引(ひ)き離(はな)しにくく、同(おな)じ熱運動(ねつうんどう)(新しいタブで開きます)の激(はげ)しさ(=温度(おんど))でも振(ふ)り切(き)れないため、沸点(ふってん)は高(たか)くなる。

ファンデルワールス力(りょく)は電子(でんし)の数(かず)にほぼ比例(ひれい)して強(つよ)くなるだけなので、分子(ぶんし)量(りょう)が近(ちか)ければ沸点(ふってん)も近(ちか)い値(あたい)になる。一方(いっぽう)、水素(すいそ)結合(けつごう)はF・O・Nに直接(ちょくせつ)結(むす)びついたHがあるかどうかという、構造(こうぞう)の違(ちが)いで一気(いっき)に強(つよ)さが変(か)わる。だから、分子(ぶんし)量(りょう)という量的(りょうてき)な目安(めやす)だけでは説明(せつめい)できない跳(は)ね上(あ)がりが起(お)こるのだ。

イオン結晶(けっしょう)(新しいタブで開きます)や共有(きょうゆう)結合(けつごう)の結晶(けっしょう)(新しいタブで開きます)では、そもそも分子(ぶんし)という単位(たんい)が無(な)く、結晶(けっしょう)全体(ぜんたい)がイオン結合(けつごう)(新しいタブで開きます)・共有(きょうゆう)結合(けつごう)そのものによって支(ささ)えられている(化学(かがく)基礎(きそ)の物質(ぶっしつ)と化学(かがく)結合(けつごう)を参照(さんしょう))。これらの結合(けつごう)は分子間力(ぶんしかんりょく)よりずっと強(つよ)いため、融点(ゆうてん)・沸点(ふってん)は分子(ぶんし)性(せい)の物質(ぶっしつ)よりはるかに高(たか)い。

確認問題

問題 1 / 4ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノンを、沸点(ふってん)の低(ひく)いものから高(たか)いものの順(じゅん)に並(なら)べよ。
  1. キセノン
  2. ネオン
  3. クリプトン
  4. アルゴン

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/intermolecular-forces-and-boiling-point/?from=print#quiz

  1. ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノンを、沸点(ふってん)の低(ひく)いものから高(たか)いものの順(じゅん)に並(なら)べよ。

    • ( )キセノン
    • ( )ネオン
    • ( )クリプトン
    • ( )アルゴン

    正解:ネオン → アルゴン → クリプトン → キセノン
    単(たん)原子(げんし)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)の貴(き)ガスはファンデルワールス力(りょく)だけで引(ひ)き合(あ)う。分子(ぶんし)量(りょう)(新しいタブで開きます)(電子(でんし)の数(かず))が大(おお)きいほどファンデルワールス力(りょく)が強(つよ)く沸点(ふってん)(新しいタブで開きます)が高(たか)いので、ネオン<アルゴン<クリプトン<キセノンの順(じゅん)になる。

  2. フッ化(か)水素(すいそ)HF(分子(ぶんし)量(りょう)20)と塩化(えんか)水素(すいそ)HCl(分子(ぶんし)量(りょう)36.5)では、分子(ぶんし)量(りょう)はHClの方(ほう)が大(おお)きいのに、沸点(ふってん)はHF(約(やく)20℃)の方(ほう)がHCl(約(やく)−85℃)よりはるかに高(たか)い。この理由(りゆう)として正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ HFの方(ほう)が分子(ぶんし)量(りょう)が小(ちい)さく、ファンデルワールス力(りょく)が強(つよ)いから
    • ◯ HFはイオン結合(けつごう)でできているから
    • ◯ HClは常温(じょうおん)で分解(ぶんかい)してしまい、沸点(ふってん)を測(はか)れないから
    • ◯ HFの分子(ぶんし)どうしには、HClには無(な)い水素(すいそ)結合(けつごう)が働(はたら)くから

    正解:HFの分子どうしには、HClには無い水素結合が働くから
    フッ素(そ)は電気(でんき)陰性(いんせい)度(ど)(新しいタブで開きます)が非常(ひじょう)に大(おお)きいため、HFの分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)間(かん)には水素(すいそ)結合(けつごう)が働(はたら)く。塩素(えんそ)は電気(でんき)陰性(いんせい)度(ど)がフッ素(そ)より小(ちい)さく、HCl分子間(ぶんしかん)には水素(すいそ)結合(けつごう)が働(はたら)かないため、分子(ぶんし)量(りょう)が大(おお)きいにもかかわらず沸点(ふってん)はHFより低(ひく)い。

  3. 水(みず)H₂O(分子(ぶんし)量(りょう)18)の沸点(ふってん)100℃が、分子(ぶんし)量(りょう)の近(ちか)いメタンCH₄(分子(ぶんし)量(りょう)16、沸点(ふってん)−162℃)より圧倒的(あっとうてき)に高(たか)いのはなぜか。

    • ◯ 水分子(みずぶんし)どうしには水素(すいそ)結合(けつごう)が働(はたら)くが、メタンの分子間(ぶんしかん)にはファンデルワールス力(りょく)しか働(はたら)かないから
    • ◯ 水(みず)は常温(じょうおん)で電離(でんり)しているから
    • ◯ 水(みず)の方(ほう)が分子(ぶんし)量(りょう)が大(おお)きく、ファンデルワールス力(りょく)が強(つよ)いから
    • ◯ メタンは気体(きたい)にならないから

    正解:水分子どうしには水素結合が働くが、メタンの分子間にはファンデルワールス力しか働かないから
    水分子(みずぶんし)のHはOに直接(ちょくせつ)結(むす)びついており、別(べつ)の水分子(みずぶんし)のOの非(ひ)共有(きょうゆう)電子(でんし)対(たい)(新しいタブで開きます)と水素(すいそ)結合(けつごう)を作(つく)る。メタンのHはC(電気(でんき)陰性(いんせい)度(ど)が小(ちい)さい)に結(むす)びついているため水素(すいそ)結合(けつごう)は働(はたら)かず、分子間力(ぶんしかんりょく)は弱(よわ)いファンデルワールス力(りょく)だけになる。

  4. 塩化(えんか)ナトリウムの融点(ゆうてん)(801℃)が、水素(すいそ)結合(けつごう)をもつ水(みず)の融点(ゆうてん)(0℃)よりもさらに高(たか)いのはなぜか。

    • ◯ 水(みず)はもともと液体(えきたい)になりにくい物質(ぶっしつ)だから
    • ◯ 塩化(えんか)ナトリウムの分子(ぶんし)にも水素(すいそ)結合(けつごう)が働(はたら)いているから
    • ◯ 塩化(えんか)ナトリウムの分子(ぶんし)量(りょう)が水(みず)より大(おお)きいから
    • ◯ イオン結合(けつごう)は、ファンデルワールス力(りょく)や水素(すいそ)結合(けつごう)よりもさらに強(つよ)い結合(けつごう)だから

    正解:イオン結合は、ファンデルワールス力や水素結合よりもさらに強い結合だから
    塩化(えんか)ナトリウムはNa⁺とCl⁻が強(つよ)いイオン結合(けつごう)(新しいタブで開きます)で結(むす)びついたイオン結晶(けっしょう)(新しいタブで開きます)で、分子間力(ぶんしかんりょく)(ファンデルワールス力(りょく)や水素(すいそ)結合(けつごう))よりもイオン結合(けつごう)の方(ほう)がずっと強(つよ)い。そのため融点(ゆうてん)は分子(ぶんし)性(せい)の物質(ぶっしつ)よりはるかに高(たか)くなる。

単元のポイント

  • ファンデルワールス力(りょく) 電子(でんし)の分布(ぶんぷ)のかたよりから生(う)まれる、すべての分子(ぶんし)のあいだに働(はたら)く弱(よわ)い引力(いんりょく)。分子(ぶんし)が大(おお)きいほど強(つよ)い
  • 水素(すいそ)結合(けつごう) F・O・Nに直接(ちょくせつ)結(むす)びついたHと、別(べつ)の分子(ぶんし)のF・O・Nの非(ひ)共有(きょうゆう)電子(でんし)対(たい)とのあいだに働(はたら)く、ファンデルワールス力(りょく)より強(つよ)い引力(いんりょく)
  • 沸点(ふってん)の目安(めやす) 分子(ぶんし)の大(おお)きさが近(ちか)ければファンデルワールス力(りょく)の強(つよ)さで決(き)まるが、水素(すいそ)結合(けつごう)をもつ分子(ぶんし)はその予想(よそう)より沸点(ふってん)が高(たか)い
  • 水(みず)・フッ化(か)水素(すいそ)・アンモニア H₂O・HF・NH₃は分子(ぶんし)量(りょう)が近(ちか)い物質(ぶっしつ)より沸点(ふってん)がはるかに高(たか)く、水素(すいそ)結合(けつごう)の代表(だいひょう)例(れい)とされる
問題を解く
単元のポイント
  • ファンデルワールス力(りょく) 電子(でんし)の分布(ぶんぷ)のかたよりから生(う)まれる、すべての分子(ぶんし)のあいだに働(はたら)く弱(よわ)い引力(いんりょく)。分子(ぶんし)が大(おお)きいほど強(つよ)い
  • 水素(すいそ)結合(けつごう) F・O・Nに直接(ちょくせつ)結(むす)びついたHと、別(べつ)の分子(ぶんし)のF・O・Nの非(ひ)共有(きょうゆう)電子(でんし)対(たい)とのあいだに働(はたら)く、ファンデルワールス力(りょく)より強(つよ)い引力(いんりょく)
  • 沸点(ふってん)の目安(めやす) 分子(ぶんし)の大(おお)きさが近(ちか)ければファンデルワールス力(りょく)の強(つよ)さで決(き)まるが、水素(すいそ)結合(けつごう)をもつ分子(ぶんし)はその予想(よそう)より沸点(ふってん)が高(たか)い
  • 水(みず)・フッ化(か)水素(すいそ)・アンモニア H₂O・HF・NH₃は分子(ぶんし)量(りょう)が近(ちか)い物質(ぶっしつ)より沸点(ふってん)がはるかに高(たか)く、水素(すいそ)結合(けつごう)の代表(だいひょう)例(れい)とされる