
α粒子の散乱実験と原子核の発見
カンガルー先生ほとんどのα粒子はそのまま通り抜けたのに、ごくわずかだけ大きく跳ね返った。この「わずか」が原子核の発見につながったんだよ。
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- トムソンの原子模型は、正の電荷(新しいタブで開きます)が原子全体に薄く広がり、その中に電子がまばらに埋め込まれていると考えるものだった(ブドウパン型)。
- ラザフォードらは、薄い金箔にα粒子を当てる散乱実験を行った。ほとんどのα粒子はそのまま直進したが、ごくわずかな粒子だけが大きな角度で跳ね返った。
- 大角度の跳ね返りを説明するには、正の電荷と質量が原子の中心のきわめて小さな体積に集中している必要がある。こうして原子核の存在が発見された。
詳しく
トムソンの原子模型
20世紀の初め、原子の中に電子が存在することがわかると、原子の中で正の電荷と電子がどう配置されているかが問題になった。イギリスのトムソンは、正の電荷が原子全体に薄く広がった球の中に、負の電荷をもつ電子がまばらに埋め込まれているという原子模型を考えた。これは、果実の中に種が散らばる様子にたとえて、ブドウパン型の原子模型とよばれる。
この模型では、正の電荷が原子全体に広く薄く分布しているため、原子に高速の粒子を当てても、大きな角度で向きを変えるようなことは起こらないと予想された。
α粒子の散乱実験
ラザフォードと、彼のもとで実験を行ったガイガー、マースデンは、放射性物質(新しいタブで開きます)から出るα粒子(ヘリウムの原子核)を、きわめて薄い金箔に当てる実験を行った。金箔のまわりを蛍光幕で囲み、散乱されたα粒子が当たった位置の光を観察し、どの角度にどれだけのα粒子が散乱されるかを数える、散乱実験の方法である。
実験の結果、大部分のα粒子はほとんど向きを変えずに金箔を直進し、これはトムソンの模型の予想どおりだった。ところが、ごくわずかな割合(およそ8000個に1個程度)のα粒子だけが、90°を超える大きな角度で散乱され、中には入射方向へほぼ逆戻りするように跳ね返るものもあった。この結果は、当時誰も予想していないものだった。
原子核の発見
電荷が原子全体に薄く広がっているトムソンの模型では、このような大角度の散乱は説明できない。ラザフォードは、正の電荷と質量のほとんどが、原子よりもはるかに小さい一点に集中していると考えれば、ごくまれにα粒子がその近くを通ったときだけ強いクーロン力(新しいタブで開きます)を受けて大きく跳ね返ることを説明できると示した。
こうして、原子の中心に正の電荷と質量が集中した小さな原子核があり、そのまわりの広い空間を電子が回っているという原子核模型が確立された。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/rutherford-scattering-and-nuclear-discovery/?from=print#quiz
トムソンの原子模型(ブドウパン型)では、正の電荷はどのように存在すると考えられていたか。
- ◯ 原子全体に薄く広がっている
- ◯ 原子の中心の1点に集中している
- ◯ 存在しない
- ◯ 電子の中だけに含まれている
正解:原子全体に薄く広がっている
トムソンの模型では、正の電荷(新しいタブで開きます)は原子全体に薄く広がった球をつくり、その中に電子がまばらに埋め込まれていると考えられた。α粒子の散乱実験で、金箔に当てたα粒子の大部分はどうなったか。
- ◯ すべて止まって金箔の中にとどまった
- ◯ ほとんど向きを変えずに直進した
- ◯ すべて大きな角度で反射した
- ◯ すべて金箔に吸収された
正解:ほとんど向きを変えずに直進した
α粒子の大部分は、金原子の中のほとんど何もない空間を通り抜け、ほとんど向きを変えずに直進した。ごくわずかなα粒子が大きな角度で跳ね返ったことから、原子についてどのようなことがわかったか。
- ◯ 原子は一様な密度の球である
- ◯ 金の原子は磁石のように振る舞う
- ◯ 原子には電子が存在しない
- ◯ 正の電荷と質量が原子の中心の小さな原子核に集中している
正解:正の電荷と質量が原子の中心の小さな原子核に集中している
強いクーロン力(新しいタブで開きます)で大きく跳ね返るには、正の電荷と質量が原子の中心のきわめて小さな体積に集中している必要がある。こうして原子核の存在がわかった。この実験で金箔に当てられたα粒子の正体は何か。
- ◯ X線
- ◯ ヘリウムの原子核
- ◯ 中性子
- ◯ 電子の流れ
正解:ヘリウムの原子核
α粒子は、陽子(新しいタブで開きます)2個と中性子2個からなるヘリウムの原子核(正の電荷を2個分もつ)である。
単元のポイント
- トムソンの原子模型 正の電荷が原子全体に薄く広がり、電子がまばらに埋まるという模型(ブドウパン型)
- α粒子の散乱実験 薄い金箔にα粒子を当て、散乱される角度を蛍光幕で調べた実験(ガイガー=マースデンの実験)
- 大角度散乱 ごくわずかな割合のα粒子だけが大きな角度で跳ね返る現象
- 原子核 原子の中心にある、正の電荷と質量が集中したきわめて小さな粒