
渦電流
カンガルー先生コイルのような輪が無くても、金属の中には渦を巻く誘導電流が流れるよ。向きはレンツの法則のまま。
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- 金属の板や塊のような導体を貫く磁束(新しいタブで開きます)が変化すると、決まった回路がなくても導体の内部に渦を巻くように誘導電流(新しいタブで開きます)が流れる。これを渦電流という。
- 渦電流もレンツの法則(新しいタブで開きます)にしたがい、磁束の変化を妨げる向きに流れるので、導体が磁場の中を動くときは運動を妨げる向きの力(電磁ブレーキの力)がはたらく。
- 導体にすき間を入れたり、薄い板を重ねたりして渦電流の経路を分断すると、渦電流とそれによる発熱(損失)を小さくできる。
詳しく
渦電流としくみ
コイルのように決まった形の回路がなくても、金属の板や塊のような広がった導体を貫く磁束が変化すると、電磁誘導によって導体の内部に誘導電流が生じる。この電流は、導体の中で渦を巻くように流れるので渦電流とよばれる。
渦電流も、レンツの法則にしたがって磁束の変化を妨げる向きに流れる。そのため、導体が磁場の中を動いているときは、運動を妨げる向きの力が渦電流と磁場の間にはたらく。この力を利用した仕組みを電磁ブレーキという。
例:すき間の多い板とない板の違い
一様な磁場の中に金属の板を振り子のように振って通すと、すき間のない板は磁場の中で大きな渦電流が流れ、電磁ブレーキの力で振れがすぐに小さくなる。板に細いすき間を何本も入れておくと、渦電流の流れる経路が分断されて渦電流が小さくなり、振れはあまり小さくならずに通り抜ける。
同じしくみで、電磁誘導を利用するIH調理器は、コイルに流した交流(新しいタブで開きます)で鍋底に渦電流を流し、そのジュール熱(新しいタブで開きます)で鍋そのものを発熱させる。一方、変圧器(新しいタブで開きます)やモーターの鉄心は、渦電流による発熱(損失)を減らすため、薄い鉄板を何枚も重ねて絶縁した積層構造だ。
なぜすき間を入れると渦電流が小さくなるのか
渦電流の大きさは、ファラデーの電磁誘導の法則と同じく、電流の流れる経路が囲む面積を貫く磁束の変化の速さに関係する。板にすき間を入れると、1つの輪としてつながっていた経路が小さく分断され、それぞれの輪が囲む面積が小さくなる。
囲む面積が小さいほど、その輪を貫く磁束もその変化も小さくなるので、流れる渦電流は小さくなる。変圧器やモーターの鉄心を薄い板の積み重ねにするのも、同じ理由で渦電流の経路を細かく分断するためだ。
渦電流そのものはジュール熱として失われるエネルギーなので、むだな発熱を減らしたい装置では小さくするくふうをし、逆にIH調理器のようにその発熱を利用したい装置では、わざと大きくなるように設計する。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/eddy-currents/?from=print#quiz
金属の板のような、コイルの形をしていない導体にも渦電流が流れる理由として正しいものはどれか。
- ◯ 渦電流は金属の温度が高いときにしか流れないため
- ◯ 渦電流は交流の電源につないだときにしか現れない現象だから
- ◯ 渦電流は磁場が無くても自然に流れている電流だから
- ◯ 導体を貫く磁束が変化すると、決まった回路がなくても導体内部に電磁誘導で誘導電流が生じるため
正解:導体を貫く磁束が変化すると、決まった回路がなくても導体内部に電磁誘導で誘導電流が生じるため
電磁誘導(新しいタブで開きます)は、コイルのような決まった回路がなくても、導体を貫く磁束(新しいタブで開きます)が変化しさえすれば起こる。広がった導体では、誘導電流が内部で渦を巻くように流れ、渦電流とよばれる。細いすき間を何本も入れた金属板を磁場の中で振り子のように振ると、すき間のない板に比べて渦電流と電磁ブレーキの力はどうなるか。
- ◯ すき間を入れると渦電流はむしろ大きくなる
- ◯ 渦電流もブレーキの力も、すき間の有無で変わらない
- ◯ 渦電流の大きさは変わらないが、ブレーキの力だけ大きくなる
- ◯ 渦電流の経路が分断されて小さくなり、ブレーキの力も小さくなる
正解:渦電流の経路が分断されて小さくなり、ブレーキの力も小さくなる
すき間を入れると、渦電流が流れる1つの輪が小さく分断され、それぞれの輪が囲む面積が小さくなる。囲む面積が小さいほど渦電流は小さくなるので、電磁ブレーキの力も小さくなる。IH調理器が鍋を温めるしくみとして正しいものはどれか。
- ◯ コイル自体が高温になり、その熱を鍋に伝えている
- ◯ コイルから出る光(赤外線)で鍋を加熱している
- ◯ コイルに流した交流で鍋底に渦電流を流し、そのジュール熱で鍋自体を発熱させる
- ◯ 鍋の中の水に直接電流を流して発熱させている
正解:コイルに流した交流で鍋底に渦電流を流し、そのジュール熱で鍋自体を発熱させる
IH調理器は、コイルに交流(新しいタブで開きます)を流して変化する磁場をつくり、鍋底に渦電流を流す。渦電流によるジュール熱(新しいタブで開きます)で鍋そのものが発熱する仕組みで、コイル自体や光で加熱しているわけではない。変圧器やモーターの鉄心を、1枚の厚い鉄の塊ではなく、絶縁した薄い鉄板を何枚も重ねてつくる理由として正しいものはどれか。
- ◯ コストを下げるためだけで、性能にはまったく関係ない
- ◯ 鉄心の磁力をより強くするため
- ◯ 鉄心を軽くするためで、電気的な性質には関係ない
- ◯ 渦電流の経路を細かく分断し、渦電流による発熱(損失)を減らすため
正解:渦電流の経路を細かく分断し、渦電流による発熱(損失)を減らすため
厚い鉄の塊だと渦電流が流れる輪が大きく、損失(発熱)も大きい。薄い鉄板を絶縁して重ねると、渦電流の経路が細かく分断されて輪が小さくなり、渦電流による損失を減らせる。
単元のポイント
- 渦電流 導体を貫く磁束の変化によって、導体内部に渦を巻くように流れる誘導電流
- 電磁ブレーキ 渦電流と磁場の間にはたらく、運動を妨げる向きの力を利用した仕組み
- IH調理器 鍋底に渦電流を流し、そのジュール熱で鍋自体を発熱させる
- 積層鉄心 渦電流の経路を分断して発熱(損失)を減らすため、薄い鉄板を重ねてつくる