
自己誘導と自己インダクタンス
カンガルー先生電流を変えようとすると、コイル自身がその変化を妨げる誘導起電力を生む。だから電流はすぐには変わらないよ。
30秒でつかむ
- コイルに流れる電流Iが変化すると、コイル自身を貫く磁束(新しいタブで開きます)も変化し、その変化を妨げる向きにコイル自身に誘導起電力(新しいタブで開きます)が生じる。この現象を自己誘導という。
- 自己誘導の誘導起電力の大きさeは、電流の変化ΔIと変化にかかった時間Δtから、e=L|ΔI/Δt|で求められる。比例定数Lはコイルの形や巻数で決まり、自己インダクタンス(単位H)という。
- 電流Iが流れているコイルには、U=(1/2)LI²のエネルギーが磁場の形で蓄えられている。
詳しく
自己誘導と自己インダクタンス
コイルに流れる電流が変化すると、コイル自身を貫く磁束も変化する。その結果、変化を妨げる向きにコイル自身に誘導起電力が生じる。この現象を自己誘導という。
自己誘導で生じる誘導起電力の大きさは、電流の変化と、変化にかかった時間を使ってと表される。比例定数はコイルの形や巻数で決まる値で、自己インダクタンスという。単位はヘンリー(記号H)。
自己誘導の誘導起電力の向きは、電流の変化を妨げる向きになる。電流を増やそうとすると、増加を妨げる(遅らせる)向きの誘導起電力が生じ、電流を減らそうとすると、減少を妨げる(保とうとする)向きの誘導起電力が生じる。
例題:スイッチを閉じたときの誘導起電力とエネルギー
例題:自己インダクタンス0.40Hのコイルを含む回路のスイッチを閉じ、電流が0.25秒かけて0から5.0Aまで変化したとする。自己誘導で生じる誘導起電力はVだ。
電流が5.0Aまで流れた状態のコイルには、Jのエネルギーが磁場の形で蓄えられている。電源がした仕事(新しいタブで開きます)の一部はこの形でコイルに蓄えられ、残りは回路の抵抗でジュール熱(新しいタブで開きます)になる。
なぜ電球がすぐに最大の明るさにならないのか
コイルと電球を直列につないだ回路でスイッチを閉じた直後、電球はすぐには最大の明るさにならず、暗い状態から徐々に明るくなる。これは、自己誘導の誘導起電力が電流の増加を妨げているためだ。
反対にスイッチを開いて電流を止めようとすると、コイルは電流を保とうとして大きな誘導起電力を生じ、スイッチの接点に火花が飛ぶことがある。どちらも、コイルが電流の変化そのものを妨げる性質のあらわれである。
コイルに蓄えられた磁場のエネルギーは、コンデンサー(新しいタブで開きます)に蓄えられる静電エネルギー(新しいタブで開きます)と同じように、回路から取り出して使うことができる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/self-induction-and-inductance/?from=print#quiz
自己インダクタンス0.60Hのコイルに流れる電流が、0.20秒の間に3.0A変化した。コイルに生じる自己誘導の誘導起電力の大きさは何Vか。
答え:____________
正解:9
e=L|ΔI/Δt|=0.60×3.0÷0.20=9.0V。自己インダクタンス0.80Hのコイルに電流2.0Aが流れているとき、コイルに蓄えられているエネルギーは何Jか。
答え:____________
正解:1.6
U=(1/2)LI²=0.5×0.80×2.0²=1.6J。コイルと電球を直列につないだ回路でスイッチを閉じた直後、電球の明るさはどうなるか。
- ◯ 自己誘導の誘導起電力で電流の増加が妨げられ、暗い状態から徐々に明るくなる
- ◯ スイッチを閉じた瞬間から最大の明るさで光る
- ◯ スイッチを閉じた直後だけ、普通より明るく光る
- ◯ コイルがあると、電球はまったく光らない
正解:自己誘導の誘導起電力で電流の増加が妨げられ、暗い状態から徐々に明るくなる
スイッチを閉じた直後は、自己誘導の誘導起電力(新しいタブで開きます)が電流の増加を妨げるため、電流は抵抗だけの回路よりゆっくり増える。電球は暗い状態から徐々に明るくなる。コイルを含む回路のスイッチを開くと、接点に火花が飛ぶことがある理由として正しいものはどれか。
- ◯ コイルの温度が、スイッチを開いた瞬間に急に下がるため
- ◯ コイルが電流を保とうとして、大きな自己誘導の誘導起電力を生じるため
- ◯ スイッチの金属が、磁石のように磁化してしまうため
- ◯ 回路の抵抗が、スイッチを開いた瞬間に0になるため
正解:コイルが電流を保とうとして、大きな自己誘導の誘導起電力を生じるため
スイッチを開くと電流を急に止めようとするが、コイルは電流の変化を妨げる(保とうとする)ので、大きな自己誘導の誘導起電力が生じ、接点付近で火花(スパーク)が起きることがある。
単元のポイント
- 自己誘導 コイルを流れる電流の変化が、コイル自身に誘導起電力を生じさせる現象
- 自己インダクタンス e=L|ΔI/Δt|の比例定数L。単位はヘンリー(H)
- 自己誘導の誘導起電力の向き 電流の変化を妨げる向き(増えるときは妨げ、減るときは保とうとする)
- コイルに蓄えられるエネルギー U=(1/2)LI²(磁場の形で蓄えられる)