
磁場を横切る導体棒の誘導起電力
カンガルー先生棒の中の自由電子が磁場から力を受けて端に集まる。右手の法則で向きを決めよう。
30秒でつかむ
- 磁場に垂直な2本のレールの上で、長さlの導体棒が速さvで動くと、棒の両端に誘導起電力(新しいタブで開きます)V=vBlが生じる。
- 誘導起電力の向きは、親指を棒の動く向き、人差し指を磁場の向きに合わせたとき、中指が示す向き(フレミングの右手の法則)で決まる。
- 回路に電流が流れると、棒は磁場から運動を妨げる向きの力を受ける。棒を一定の速さで動かし続けるには、その力とつり合う外力が必要になる。
詳しく
導体棒の誘導起電力 V=vBl
間隔の2本の平行なレールを、レールに垂直な磁束密度(新しいタブで開きます)の磁場の中に置き、レールの上を導体棒が速さで動く状況を考える。棒の中の自由電子(新しいタブで開きます)は棒と一緒に動くので、磁場からローレンツ力(新しいタブで開きます)を受けて棒の一端に集まり、もう一端との間に電位差(新しいタブで開きます)が生じる。
棒の内部で電荷にはたらく力とつり合うまで電荷が移動すると、棒の両端に生じる誘導起電力はだ。これは、棒が磁場を横切って掃いた面積が単位時間あたりずつ増えるため、回路を貫く磁束が単位時間あたりだけ変化することと対応し、ファラデーの電磁誘導の法則の一つの場合にあたる。
誘導起電力の向きは、右手の親指を棒が動く向き、人差し指を磁場の向きに合わせたとき、中指が示す向きになる。この向きの決め方をフレミングの右手の法則という。
例題:棒を動かし続けるのに必要な力
例題:間隔0.40mのレール上を、磁束密度0.50Tの磁場に垂直な向きで、導体棒が一定の速さ6.0m/sで動く。誘導起電力はV。レールと棒を含めた回路の抵抗が1.5Ωなら、流れる電流はA。
電流が流れる棒は磁場からNの力を受ける。レンツの法則から、この力は棒の運動を妨げる向きにはたらくので、棒を一定の速さで動かし続けるには、外から同じ大きさ0.16Nの力を動く向きに加え続ける必要がある。
なぜ外力がした仕事と電気エネルギーが等しくなるのか
外力が棒にする仕事(新しいタブで開きます)の割合(パワー)はWである。一方、回路で消費される電力(新しいタブで開きます)もWで、同じ値だ。
外力がした仕事は、棒の運動エネルギー(新しいタブで開きます)を増やすのではなく、磁場から受ける力とつり合った分だけ、回路の電気エネルギー(最終的には抵抗でのジュール熱(新しいタブで開きます))に変わっている。力学的な仕事と電気エネルギーの間でも、エネルギーの総量は保たれる。
もし外力を加えずに棒を放っておくと、磁場から受ける力によって棒はしだいに減速し、運動エネルギーを失いながら電流を流す。これも、エネルギーが力学的な形から電気的な形に移り変わる例といえる。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/motional-emf-in-a-magnetic-field/?from=print#quiz
間隔0.80mの平行レール上を、磁束密度0.40Tの磁場に垂直な向きで、導体棒が一定の速さ5.0m/sで動く。導体棒に生じる誘導起電力は何Vか。
答え:____________
正解:1.6
V=vBl=5.0×0.40×0.80=1.6V。前の問題と同じ棒(誘導起電力1.6V)で、レールと棒を含めた回路の抵抗が1.6Ωのとき、棒を一定の速さ5.0m/sで動かし続けるために外から加える力は何Nか。
答え:____________
正解:0.32
電流はI=1.6÷1.6=1.0A。棒が磁場から受ける力はF=BIl=0.40×1.0×0.80=0.32N。この力と向きが逆で大きさの等しい外力を加え続ければ、棒は一定の速さで動き続ける。磁場を横切る導体棒の誘導起電力の向きを求めるフレミングの右手の法則で、人差し指を磁場の向きに合わせたとき、親指は何の向きに合わせるか。
- ◯ 導体棒が動く向き(速度の向き)
- ◯ 誘導起電力(電流)の向き
- ◯ 磁場に垂直で任意に選んでよい向き
- ◯ 導体棒の長さの向き
正解:導体棒が動く向き(速度の向き)
フレミングの右手の法則では、人差し指を磁場の向き、親指を導体棒が動く向き(速度(新しいタブで開きます)の向き)に合わせると、中指が誘導起電力(新しいタブで開きます)(電流)の向きを示す。回路がつながった導体棒を、磁場を横切って一定の速さで動かし続けるには、外から力を加える必要がある。その理由として正しいものはどれか。
- ◯ 磁場の強さが、棒が動くと時間とともに弱くなるため
- ◯ 電磁誘導で生じた電流が、磁場から棒の運動を妨げる向きの力を受けるため
- ◯ 導体棒の質量が、動いているうちに大きくなるため
- ◯ 回路の抵抗が、動き始めると急に大きくなるため
正解:電磁誘導で生じた電流が、磁場から棒の運動を妨げる向きの力を受けるため
電流が流れる導体棒は磁場からF=BIlの力を受け、レンツの法則によりこの力は棒の運動を妨げる向きにはたらく。そのため、一定の速さで動かし続けるには、その力とつり合う外力を加え続ける必要がある。
単元のポイント
- 導体棒の誘導起電力 V=vBl(lは棒の長さ、vは速さ、Bは磁束密度)
- フレミングの右手の法則 親指=棒の運動の向き、人差し指=磁場の向き、中指=誘導起電力(新しいタブで開きます)(電流)の向き
- 棒が受ける力 F=BIl。向きは棒の運動を妨げる向き(レンツの法則と同じ)
- エネルギーの保存(新しいタブで開きます) 外力がする仕事の割合=回路で消費される電力(Fv=I²R)