
熱力学第一法則と気体の状態変化
カンガルー先生気体に入った熱と、された仕事の合計が、内部エネルギーの増え方。4つの変化で、どれが0になるかを見るのがコツだよ。
30秒でつかむ
- 気体が吸収した熱量をQ、外からされた仕事(新しいタブで開きます)をWとすると、内部エネルギー(新しいタブで開きます)の変化はΔU=Q+Wとなる(熱力学第一法則)。
- 定積変化ではW=0、等温変化ではΔU=0、断熱変化ではQ=0。定圧変化で気体がする仕事はpΔVである。
- 気体がする仕事は、p-Vグラフの線と横軸の間の面積で表せる。断熱圧縮では温度が上がり、断熱膨張では下がる。
詳しく
熱力学第一法則と4つの状態変化
気体が吸収した熱量を、外から気体がされた仕事をとすると、内部エネルギーの変化はとなる。これを熱力学第一法則といい、内部エネルギーを含めたエネルギー保存の法則(新しいタブで開きます)にあたる。気体が外にした仕事を使えば、とも書ける。
体積を変えない定積変化では仕事がないので。圧力を変えない定圧変化では、気体が外にする仕事はで、吸収した熱の一部が仕事に、残りが内部エネルギーの増加になる。
温度を変えない等温変化では、理想気体(新しいタブで開きます)の内部エネルギーは変わらないので、吸収した熱と同じだけの仕事を気体が外にする。熱の出入りがない断熱変化ではなのでとなり、圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がる。
例題:定圧・定積・断熱変化での計算
例題1:圧力1.0×10⁵Paのまま、気体の体積が2.0×10⁻³m³から5.0×10⁻³m³に増えた。気体が外にした仕事はJで、p-Vグラフでは長方形の面積にあたる。このとき熱を750J吸収していれば、内部エネルギーの増加は450Jになる。
例題2:容器の体積を変えずに、気体に熱を200J与えた。定積変化なので仕事は0で、内部エネルギーは200J増え、そのぶん温度が上がる。
例題3:ピストンを急に押して、気体に150Jの仕事をした。急な変化で熱が出入りするひまがないので断熱変化とみなせて。内部エネルギーは150J増え、気体の温度は上がる。
なぜ断熱圧縮で温度が上がるのか
ピストンを押しこむと、動いてくるピストンに当たった分子(新しいタブで開きます)は、当たる前より速くはね返される。向かってくるバットで打ち返したボールが速く飛ぶのと同じしくみだ。
断熱変化では外から熱が入らないので、ピストンがした仕事はそのまま内部エネルギーの増加になる。分子の平均の運動エネルギー(新しいタブで開きます)が増えるので、温度も上がっていく。注射器に似た圧縮発火器でピストンを急に押すと、中に入れた紙が燃えるほどの高温になる。
逆に、気体が膨張して遠ざかるピストンを押すと、分子は遅くなってはね返る。断熱膨張で温度が下がるのはこのためで、上空へ上がって膨張した空気が冷えて雲(新しいタブで開きます)ができるのも、同じしくみによるものだ。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/first-law-of-thermodynamics-and-gas-processes/?from=print#quiz
圧力2.0×10⁵Paを一定に保ったまま、気体の体積が1.0×10⁻³m³から4.0×10⁻³m³に増えた。気体が外にした仕事は何Jか。
答え:____________
正解:600
定圧変化で気体がする仕事(新しいタブで開きます)はW′=pΔV。ΔV=4.0×10⁻³−1.0×10⁻³=3.0×10⁻³m³なので、W′=2.0×10⁵×3.0×10⁻³=600J。p-Vグラフでは、長方形の面積にあたる。ある気体が熱を1500J吸収し、圧力一定のまま膨張して外に600Jの仕事をした。内部エネルギーの変化は何Jか。
答え:____________
正解:900
熱力学第一法則ΔU=Q+W。気体が外にした仕事が600Jなので、気体がされた仕事はW=−600J。ΔU=1500+(−600)=900J増える。気体を断熱圧縮すると、気体の温度はどうなるか。
- ◯ 変わらない
- ◯ 上がる
- ◯ 下がる
- ◯ 0Kになる
正解:上がる
断熱変化では熱の出入りがない(Q=0)ので、ΔU=W。圧縮では気体が正の仕事をされる(W>0)ので、内部エネルギー(新しいタブで開きます)が増え、温度が上がる。理想気体が温度を一定に保ったまま膨張し、外に350Jの仕事をした。気体が吸収した熱量は何Jか。
答え:____________
正解:350
等温変化では温度が変わらないので、理想気体(新しいタブで開きます)の内部エネルギーは変わらない(ΔU=0)。ΔU=Q+WよりQ=−W。気体がされた仕事はW=−350Jなので、Q=350J。
単元のポイント
- 熱力学第一法則 ΔU=Q+W(Qは吸収した熱量、Wはされた仕事)
- 定積変化と定圧変化 定積:W=0でΔU=Q/定圧:気体がする仕事はpΔV
- 等温変化 ΔU=0なので、吸収した熱と同じだけ外に仕事をする
- 断熱変化 Q=0なので、ΔU=W。圧縮で温度が上がり、膨張で下がる