
共有結合の結晶と分子結晶の構造
カメレオン先生同じ炭素でできたダイヤモンドと黒鉛が、硬さも電気の通りやすさもまるで違うのがこのページの見どころだよ。
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- ダイヤモンドは炭素原子どうしが共有結合(新しいタブで開きます)で三次元的に連なった共有結合の結晶で、非常に硬く融点(新しいタブで開きます)が高い。
- 黒鉛は炭素原子が共有結合で層状につながった結晶で、層の中は電気を通すが、層どうしは弱い力で結びついているため薄くはがれやすい。
- ドライアイスや氷のように、分子(新しいタブで開きます)が分子間力(新しいタブで開きます)で結びついてできた結晶を分子結晶といい、やわらかく昇華・融解しやすい。
詳しく
ダイヤモンドと黒鉛:同じ炭素原子でできた共有結合の結晶
原子どうしが共有結合だけで三次元的に、あるいは層状につながってできた結晶を共有結合の結晶という。ダイヤモンドは、1個の炭素原子が隣接する4個の炭素原子と共有結合で結ばれ、それが三次元的に繰り返されてできた結晶で、配位数(新しいタブで開きます)は4である。すべての結合が共有結合で強く固定されているため、天然の物質の中で最も硬く、融点もきわめて高い。
同じ炭素原子でできていても、黒鉛(グラファイト)では炭素原子が共有結合で平面状(層状)につながり、正六角形を基本とする網目状の層をつくる。1個の炭素原子は同じ層の中の3個の炭素原子とだけ共有結合し、残った電子は層全体を自由に動けるため、黒鉛は層の方向に電気を通す。
黒鉛の層と層のあいだには共有結合がなく、弱い分子間の引力だけで結びついている。そのため層と層の間ではずれやすく、黒鉛は薄くはがれやすい、やわらかい結晶になる。
二酸化ケイ素と分子結晶:ドライアイス・氷
二酸化ケイ素SiO₂の結晶(石英・水晶)も共有結合の結晶の一つで、1個のケイ素原子が4個の酸素原子と共有結合し、それぞれの酸素原子がさらに別のケイ素原子と結合する三次元網目構造をつくる。ダイヤモンドと同じように硬く、融点も高い。
これに対して、分子そのものが結晶の単位になっている結晶を分子結晶という。ドライアイス(固体の二酸化炭素(新しいタブで開きます)CO₂)では、CO₂分子が面心立方格子と同じ配置で並んでおり、単位格子(新しいタブで開きます)に含まれる分子の数は面心立方格子の原子数と同じ8×1/8+6×1/2=4個になる。分子どうしは弱い分子間の引力だけで結びついているため、ふつうの温度と圧力のもとで固体から直接気体になる(昇華する)。
氷も水分子が分子間の引力で結びついた分子結晶である。水分子が正四面体状に結びつくため、すき間の多い構造になり、液体の水よりも体積が大きく、密度(新しいタブで開きます)は小さい。これが氷が水に浮く理由である。
なぜ硬さや電気の通りやすさに違いが出るのか
共有結合の結晶が硬く融点がきわめて高いのは結晶全体が共有結合の網目でできているため、分子結晶がやわらかく融点が低いのは分子を結びつける力が弱い分子間力だけだからだ(化学基礎「物質と化学結合」で学んだとおり)。ここまでに見てきたほかの結晶と同じように、配位数というものさしで比べてみよう。
ダイヤモンドの配位数は4で、面心立方格子の金属(配位数12)や塩化ナトリウム型のイオン結晶(新しいタブで開きます)(配位数6)よりすき間の多い構造になるが、結びつきが共有結合そのものであるため非常に硬く、融点はきわめて高い。同じ炭素原子でできていても、黒鉛はダイヤモンドのように三次元に広がらず、1個の炭素原子が同じ層の中の3個の炭素原子とだけ共有結合する配位数3の層状構造をとる。層の中を自由に動ける電子があるため電気を通し、層と層の間には共有結合がなく弱い力だけで結びついているため、層どうしがずれやすく薄くはがれやすい。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/covalent-and-molecular-crystal-structures/?from=print#quiz
ダイヤモンドが非常に硬く、融点がきわめて高い理由として最も適切なものはどれか。
- ◯ 炭素原子の質量が大きいから
- ◯ 分子間の引力が非常に強いから
- ◯ すべての炭素原子が共有結合で三次元的に強く結びついているから
- ◯ 自由に動ける電子が結晶全体にあるから
正解:すべての炭素原子が共有結合で三次元的に強く結びついているから
ダイヤモンドは1個の炭素原子が4個の炭素原子と共有結合(新しいタブで開きます)で結ばれ、それが三次元的に強く固定されているため非常に硬く、融点(新しいタブで開きます)もきわめて高い。黒鉛が電気を通し、かつ層状にはがれやすい理由として最も適切なものはどれか。
- ◯ 黒鉛の炭素原子は金属結合で結びついているから
- ◯ 黒鉛はアモルファスだから
- ◯ 層の中は共有結合で強く結びつき自由に動ける電子があるが、層と層の間は弱い力だけで結びついているから
- ◯ 黒鉛の炭素原子はイオン結合で結びついているから
正解:層の中は共有結合で強く結びつき自由に動ける電子があるが、層と層の間は弱い力だけで結びついているから
黒鉛は層の中では炭素原子が共有結合で強く結びつき、自由に動ける電子があるため電気を通す。一方、層と層の間には共有結合がなく弱い力だけなので、層どうしがずれやすくはがれやすい。ドライアイス(固体のCO₂)では、CO₂分子が面心立方格子と同じ配置(頂点8個・面の中心6個)で並んでいる。単位格子に含まれる分子の数は何個か。
答え:____________
正解:4
面心立方格子(新しいタブで開きます)の原子数の数え方と同じく、頂点の分子(新しいタブで開きます)8×1/8=1個、面の中心の分子6×1/2=3個で、合計1+3=4個になる。氷が液体の水よりも密度が小さい(氷が水に浮く)理由として最も適切なものはどれか。
- ◯ 氷の中では水分子が分解しているから
- ◯ 水分子が正四面体状に結びつき、すき間の多い構造になるから
- ◯ 氷は共有結合の結晶だから
- ◯ 氷の中の水分子はイオン化しているから
正解:水分子が正四面体状に結びつき、すき間の多い構造になるから
氷の中では水分子が正四面体状に結びつき、すき間の多い構造になるため、液体の水よりも体積が大きく、密度(新しいタブで開きます)が小さくなる。
単元のポイント
- ダイヤモンド 炭素原子が共有結合で三次元的に連なった共有結合の結晶。配位数4。非常に硬く融点が高い
- 黒鉛 炭素原子が共有結合で層状につながった結晶。層の中は電気を通すが、層どうしは弱いファンデルワールス力(新しいタブで開きます)
- 分子結晶 分子が分子間力で結びついてできた結晶。ドライアイスや氷など。やわらかく昇華・融解しやすい