本文へ移動

エステルと油脂(ゆし)・セッケン

カメレオン先生エステル化(か)は可逆(かぎゃく)、けん化(か)は一方(いっぽう)通行(つうこう)。セッケンが油(あぶら)を取(と)り込(こ)めるのはミセルのおかげだよ。

30秒でつかむ

  1. カルボン酸(さん)とアルコールが水(みず)をとって結合(けつごう)するエステル化(か)で、酢酸(さくさん)エチルなどのエステルができる。
  2. 油脂(ゆし)はグリセリンの3つのヒドロキシ基(き)すべてに高級(こうきゅう)脂肪酸(しぼうさん)がエステル結合(けつごう)した化合物(かごうぶつ)(新しいタブで開きます)である。
  3. 油脂(ゆし)をけん化(か)すると得(え)られる脂肪酸(しぼうさん)のナトリウム塩(えん)(新しいタブで開きます)がセッケンで、ミセル(新しいタブで開きます)をつくって油(あぶら)を水中(すいちゅう)に分散(ぶんさん)させる。

ChatGPT に解説してもらう(新しいタブで開きます)

詳しく

エステル化(か)とけん化(か)

カルボン酸(さん)とアルコールが水分子(みずぶんし)をとって結合(けつごう)する反応(はんのう)をエステル化(か)といい、CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂Oのように進(すす)んで酢酸(さくさん)エチルなどのエステルができる。濃(こ)硫酸(りゅうさん)を触媒(しょくばい)に用(もち)いる可逆(かぎゃく)反応(はんのう)(新しいタブで開きます)である。

エステルに水酸化(すいさんか)ナトリウム水溶液(すいようえき)を加(くわ)えて加熱(かねつ)すると、けん化(か)と呼(よ)ばれる加水(かすい)分解(ぶんかい)(新しいタブで開きます)が起(お)こり、CH₃COOC₂H₅+NaOH→CH₃COONa+C₂H₅OHのようにカルボン酸(さん)のナトリウム塩(えん)とアルコールが生(しょう)じる。酸(さん)による加水(かすい)分解(ぶんかい)と異(こと)なり、けん化(か)は逆(ぎゃく)向(む)きに戻(もど)らない。

グリセリン(1,2,3-プロパントリオール)がもつ3つのヒドロキシ基(き)すべてに高級(こうきゅう)脂肪酸(しぼうさん)がエステル結合(けつごう)した化合物(かごうぶつ)を油脂(ゆし)という。飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと常温(じょうおん)で固体(こたい)の脂肪(しぼう)になり、不(ふ)飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと常温(じょうおん)で液体(えきたい)の油(あぶら)になる。

エステル化とけん化Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例(れい):セッケンのミセルと硬化油(こうかゆ)

油脂(ゆし)をけん化(か)すると、グリセリンと高級(こうきゅう)脂肪酸(しぼうさん)のナトリウム塩(えん)が得(え)られる。この脂肪酸(しぼうさん)のナトリウム塩(えん)をセッケンといい、水(みず)になじみやすい親水(しんすい)性(せい)の部分(ぶぶん)(-COONa)と、油(あぶら)になじみやすい疎水(そすい)性(せい)の炭化(たんか)水素(すいそ)基(き)の部分(ぶぶん)を1分子(ぶんし)の中(なか)に合(あ)わせもつ。

セッケン水(すい)の中(なか)では、疎水(そすい)性(せい)の部分(ぶぶん)を内側(うちがわ)に、親水(しんすい)性(せい)の部分(ぶぶん)を外側(そとがわ)に向(む)けたミセルという集合体(しゅうごうたい)をつくる。油汚(あぶらよご)れはミセルの内側(うちがわ)に取(と)り込(こ)まれて水中(すいちゅう)に分散(ぶんさん)する(乳化(にゅうか)作用(さよう)(新しいタブで開きます))ため、セッケンは洗浄(せんじょう)剤(ざい)として役立(やくだ)つ。

不(ふ)飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)を多(おお)く含(ふく)む液体(えきたい)の油(あぶら)に、触媒(しょくばい)を使(つか)って水素(すいそ)を付加(ふか)させると、二重(にじゅう)結合(けつごう)が減(へ)って飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)の割合(わりあい)が増(ふ)え、常温(じょうおん)で固体(こたい)の硬化油(こうかゆ)になる。マーガリンなどはこの反応(はんのう)を利用(りよう)してつくられる。

セッケンのミセルと乳化作用Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

可逆(かぎゃく)反応(はんのう)と洗浄(せんじょう)のしくみ

エステル化(か)が可逆(かぎゃく)反応(はんのう)なのは、生成物(せいせいぶつ)(新しいタブで開きます)のエステルと水(みず)が逆(ぎゃく)向(む)きに反応(はんのう)してもとのカルボン酸(さん)とアルコールに戻(もど)る加水(かすい)分解(ぶんかい)が同時(どうじ)に起(お)こり得(え)るためで、濃(こ)硫酸(りゅうさん)は正反応(せいはんのう)・逆(ぎゃく)反応(はんのう)のどちらも速(はや)めるが、平衡(へいこう)の位置(いち)(生成(せいせい)量(りょう)の割合(わりあい))そのものは変(か)えない。

けん化(か)で生(しょう)じるカルボン酸(さん)がナトリウム塩(えん)(イオン(新しいタブで開きます)の形(かたち))になって反応(はんのう)が一方向(いちほうこう)に進(すす)むのは、強塩基(きょうえんき)(新しいタブで開きます)の水酸化(すいさんか)ナトリウムがカルボン酸(さん)の水素(すいそ)イオン(新しいタブで開きます)を受(う)け取(と)って安定(あんてい)なカルボン酸(さん)イオンにしてしまうため、エステルに戻(もど)る逆(ぎゃく)反応(はんのう)が起(お)こりにくくなるからである。

セッケン水(すい)で洗浄(せんじょう)できるのは、水(みず)と混(ま)ざりにくい油(あぶら)を、セッケン分子(ぶんし)が疎水(そすい)性(せい)部分(ぶぶん)で取(と)り囲(かこ)んでミセルにし、親水(しんすい)性(せい)部分(ぶぶん)を外側(そとがわ)に向(む)けることで水中(すいちゅう)に分散(ぶんさん)できる形(かたち)に変(か)えるためである。

確認問題

問題 1 / 4酢酸(さくさん)とエタノールに濃(こ)硫酸(りゅうさん)を加(くわ)えて加熱(かねつ)し、酢酸(さくさん)エチルができる反応(はんのう)を何(なん)というか。

確認問題(解答用紙)

この問題を端末で解くための QR コード

スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。

https://manazoo.com/science/esters-fats-and-soap/?from=print#quiz

  1. 酢酸(さくさん)とエタノールに濃(こ)硫酸(りゅうさん)を加(くわ)えて加熱(かねつ)し、酢酸(さくさん)エチルができる反応(はんのう)を何(なん)というか。

    • ◯ 置換反応(ちかんはんのう)
    • ◯ けん化(か)
    • ◯ エステル化(か)
    • ◯ 付加反応(ふかはんのう)

    正解:エステル化
    カルボン酸(さん)とアルコールが水(みず)分子(ぶんし)(新しいタブで開きます)をとって結合(けつごう)する反応(はんのう)をエステル化(か)という。CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂Oのように進(すす)む可逆(かぎゃく)反応(はんのう)(新しいタブで開きます)である。

  2. エステルに水酸化(すいさんか)ナトリウム水溶液(すいようえき)を加(くわ)えて加熱(かねつ)し、加水(かすい)分解(ぶんかい)する反応(はんのう)を何(なん)というか。

    • ◯ エステル化(か)
    • ◯ ヨードホルム反応(はんのう)
    • ◯ 中和(ちゅうわ)
    • ◯ けん化(か)

    正解:けん化
    エステルに水酸化(すいさんか)ナトリウム水溶液(すいようえき)を加(くわ)えて加熱(かねつ)する加水(かすい)分解(ぶんかい)(新しいタブで開きます)をけん化(か)という。CH₃COOC₂H₅+NaOH→CH₃COONa+C₂H₅OHのように進(すす)み、酸(さん)による加水(かすい)分解(ぶんかい)と異(こと)なり逆(ぎゃく)向(む)きには戻(もど)らない。

  3. セッケン分子(ぶんし)が1分子(ぶんし)の中(なか)に合(あ)わせもつ2つの部分(ぶぶん)の組(く)み合(あ)わせとして正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ 還元(かんげん)性(せい)の部分(ぶぶん)と酸化(さんか)性(せい)の部分(ぶぶん)
    • ◯ 酸性(さんせい)の部分(ぶぶん)と塩基(えんき)性(せい)の部分(ぶぶん)
    • ◯ 親水(しんすい)性(せい)の部分(ぶぶん)と疎水(そすい)性(せい)の部分(ぶぶん)
    • ◯ 芳香(ほうこう)族(ぞく)の部分(ぶぶん)と脂肪(しぼう)族(ぞく)の部分(ぶぶん)

    正解:親水性の部分と疎水性の部分
    セッケンは水(みず)になじみやすい親水(しんすい)性(せい)の部分(ぶぶん)(-COONa)と、油(あぶら)になじみやすい疎水(そすい)性(せい)の炭化(たんか)水素(すいそ)基(き)の部分(ぶぶん)を1分子(ぶんし)の中(なか)に合(あ)わせもち、ミセル(新しいタブで開きます)をつくって油(あぶら)を水中(すいちゅう)に分散(ぶんさん)させる。

  4. 油脂(ゆし)はグリセリンの3つのヒドロキシ基(き)すべてが脂肪酸(しぼうさん)とエステル結合(けつごう)したトリエステルである。この油脂(ゆし)1molを完全(かんぜん)にけん化(か)するために必要(ひつよう)な水酸化(すいさんか)ナトリウムは何(なん)molか。

    答え:____________

    正解:3
    油脂(ゆし)1分子(ぶんし)には3か所(しょ)のエステル結合(けつごう)がある。けん化(か)は1か所(しょ)のエステル結合(けつごう)につき水酸化(すいさんか)ナトリウム1molを使(つか)うので、油脂(ゆし)1molには水酸化(すいさんか)ナトリウムが3mol必要(ひつよう)になる。

単元のポイント

  • エステル化(か) CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂O。濃(こ)硫酸(りゅうさん)を触媒(しょくばい)とする可逆(かぎゃく)反応(はんのう)
  • けん化(か) エステルに水酸化(すいさんか)ナトリウムを加(くわ)えて加熱(かねつ)する加水(かすい)分解(ぶんかい)。逆(ぎゃく)向(む)きには戻(もど)らない
  • 油脂(ゆし) グリセリンと高級(こうきゅう)脂肪酸(しぼうさん)のトリエステル。飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと固体(こたい)、不(ふ)飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと液体(えきたい)
  • セッケン 脂肪酸(しぼうさん)のナトリウム塩(えん)。親水(しんすい)性(せい)部分(ぶぶん)と疎水(そすい)性(せい)部分(ぶぶん)をもち、ミセルで油(あぶら)を分散(ぶんさん)させる(乳化(にゅうか)作用(さよう))

出典・クレジット

  • 単元の構成:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(新しいタブで開きます)(政府標準利用規約 2.0)
  • 学習指導要領の該当箇所:高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編 化学 (4)有機化合物の性質 ア(ア)有機化合物(新しいタブで開きます)(解説p.107〜108。項目(ア(ア)有機化合物 ㋐炭化水素:脂肪族炭化水素の性質や反応を構造と関連付けて理解する ㋑官能基をもつ化合物:官能基をもつ脂肪族化合物に関する実験などを行い、その構造・性質・反応について理解する ㋒芳香族化合物:芳香族化合物の構造・性質・反応について理解する)と内容の取扱い(㋑はアルコール・エーテル・アルデヒド・ケトン・カルボン酸及びエステルを取り上げ、それらの性質は炭素骨格及び官能基により特徴付けられることを扱い、鏡像異性体にも触れる。㋒は芳香族炭化水素・フェノール類・芳香族カルボン酸及び芳香族アミンを扱う)、p.107〜108の解説(脂肪族炭化水素はアルカン・アルケン・アルキンの代表的な化合物の構造・性質・反応を扱い、構造異性体や立体異性体としてシス-トランス異性体も扱う。官能基をもつ脂肪族化合物は炭素骨格及び官能基により性質が特徴付けられることや相互の関係を反応や構造と関連付けて扱い、不斉炭素原子を1個含む化合物で鏡像異性体に触れ、エステルに関連して油脂やセッケンにも触れる。芳香族化合物はベンゼン環及び官能基により性質が特徴付けられることを扱う)を6ページに分けて扱う。高分子化合物(イ)は別単元で扱うため本単元には含めない)
  • 事実データ:Wikidata の項目 Q101487(新しいタブで開きます)(CC0)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」p.107〜108(新しいタブで開きます)
  • 本文:Manazoo 編集部
  • 図(酢酸とエタノールが濃硫酸を触媒に酢酸エチルになる可逆反応と、その逆向きの加水分解、水酸化ナトリウムで酢酸ナトリウムができるけん化を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 図(セッケン分子が親水性部分を外側、疎水性部分を内側に向けたミセルをつくり、油汚れを取り込んで水中に分散させる様子を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 最終確認日:

単元の並びは学習指導要領に沿って作り、年号や人物などの事実は公開データと照らし合わせています。誤りに気づいたら意見箱からお知らせください。確かめて直します。テストや受験の前には、教科書や先生の説明もあわせて確認してください。

間違いを知らせる
問題を解く
単元のポイント
  • エステル化(か) CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂O。濃(こ)硫酸(りゅうさん)を触媒(しょくばい)とする可逆(かぎゃく)反応(はんのう)
  • けん化(か) エステルに水酸化(すいさんか)ナトリウムを加(くわ)えて加熱(かねつ)する加水(かすい)分解(ぶんかい)。逆(ぎゃく)向(む)きには戻(もど)らない
  • 油脂(ゆし) グリセリンと高級(こうきゅう)脂肪酸(しぼうさん)のトリエステル。飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと固体(こたい)、不(ふ)飽和(ほうわ)脂肪酸(しぼうさん)が多(おお)いと液体(えきたい)
  • セッケン 脂肪酸(しぼうさん)のナトリウム塩(えん)。親水(しんすい)性(せい)部分(ぶぶん)と疎水(そすい)性(せい)部分(ぶぶん)をもち、ミセルで油(あぶら)を分散(ぶんさん)させる(乳化(にゅうか)作用(さよう))