
エステルと油脂・セッケン
カメレオン先生エステル化は可逆、けん化は一方通行。セッケンが油を取り込めるのはミセルのおかげだよ。
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- カルボン酸とアルコールが水をとって結合するエステル化で、酢酸エチルなどのエステルができる。
- 油脂はグリセリンの3つのヒドロキシ基すべてに高級脂肪酸がエステル結合した化合物(新しいタブで開きます)である。
- 油脂をけん化すると得られる脂肪酸のナトリウム塩(新しいタブで開きます)がセッケンで、ミセル(新しいタブで開きます)をつくって油を水中に分散させる。
詳しく
エステル化とけん化
カルボン酸とアルコールが水分子をとって結合する反応をエステル化といい、CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂Oのように進んで酢酸エチルなどのエステルができる。濃硫酸を触媒に用いる可逆反応(新しいタブで開きます)である。
エステルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると、けん化と呼ばれる加水分解(新しいタブで開きます)が起こり、CH₃COOC₂H₅+NaOH→CH₃COONa+C₂H₅OHのようにカルボン酸のナトリウム塩とアルコールが生じる。酸による加水分解と異なり、けん化は逆向きに戻らない。
グリセリン(1,2,3-プロパントリオール)がもつ3つのヒドロキシ基すべてに高級脂肪酸がエステル結合した化合物を油脂という。飽和脂肪酸が多いと常温で固体の脂肪になり、不飽和脂肪酸が多いと常温で液体の油になる。
例:セッケンのミセルと硬化油
油脂をけん化すると、グリセリンと高級脂肪酸のナトリウム塩が得られる。この脂肪酸のナトリウム塩をセッケンといい、水になじみやすい親水性の部分(-COONa)と、油になじみやすい疎水性の炭化水素基の部分を1分子の中に合わせもつ。
セッケン水の中では、疎水性の部分を内側に、親水性の部分を外側に向けたミセルという集合体をつくる。油汚れはミセルの内側に取り込まれて水中に分散する(乳化作用(新しいタブで開きます))ため、セッケンは洗浄剤として役立つ。
不飽和脂肪酸を多く含む液体の油に、触媒を使って水素を付加させると、二重結合が減って飽和脂肪酸の割合が増え、常温で固体の硬化油になる。マーガリンなどはこの反応を利用してつくられる。
可逆反応と洗浄のしくみ
エステル化が可逆反応なのは、生成物(新しいタブで開きます)のエステルと水が逆向きに反応してもとのカルボン酸とアルコールに戻る加水分解が同時に起こり得るためで、濃硫酸は正反応・逆反応のどちらも速めるが、平衡の位置(生成量の割合)そのものは変えない。
けん化で生じるカルボン酸がナトリウム塩(イオン(新しいタブで開きます)の形)になって反応が一方向に進むのは、強塩基(新しいタブで開きます)の水酸化ナトリウムがカルボン酸の水素イオン(新しいタブで開きます)を受け取って安定なカルボン酸イオンにしてしまうため、エステルに戻る逆反応が起こりにくくなるからである。
セッケン水で洗浄できるのは、水と混ざりにくい油を、セッケン分子が疎水性部分で取り囲んでミセルにし、親水性部分を外側に向けることで水中に分散できる形に変えるためである。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/esters-fats-and-soap/?from=print#quiz
酢酸とエタノールに濃硫酸を加えて加熱し、酢酸エチルができる反応を何というか。
- ◯ 置換反応
- ◯ けん化
- ◯ エステル化
- ◯ 付加反応
正解:エステル化
カルボン酸とアルコールが水分子(新しいタブで開きます)をとって結合する反応をエステル化という。CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂Oのように進む可逆反応(新しいタブで開きます)である。エステルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、加水分解する反応を何というか。
- ◯ エステル化
- ◯ ヨードホルム反応
- ◯ 中和
- ◯ けん化
正解:けん化
エステルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱する加水分解(新しいタブで開きます)をけん化という。CH₃COOC₂H₅+NaOH→CH₃COONa+C₂H₅OHのように進み、酸による加水分解と異なり逆向きには戻らない。セッケン分子が1分子の中に合わせもつ2つの部分の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ◯ 還元性の部分と酸化性の部分
- ◯ 酸性の部分と塩基性の部分
- ◯ 親水性の部分と疎水性の部分
- ◯ 芳香族の部分と脂肪族の部分
正解:親水性の部分と疎水性の部分
セッケンは水になじみやすい親水性の部分(-COONa)と、油になじみやすい疎水性の炭化水素基の部分を1分子の中に合わせもち、ミセル(新しいタブで開きます)をつくって油を水中に分散させる。油脂はグリセリンの3つのヒドロキシ基すべてが脂肪酸とエステル結合したトリエステルである。この油脂1molを完全にけん化するために必要な水酸化ナトリウムは何molか。
答え:____________
正解:3
油脂1分子には3か所のエステル結合がある。けん化は1か所のエステル結合につき水酸化ナトリウム1molを使うので、油脂1molには水酸化ナトリウムが3mol必要になる。
単元のポイント
- エステル化 CH₃COOH+C₂H₅OH⇌CH₃COOC₂H₅+H₂O。濃硫酸を触媒とする可逆反応
- けん化 エステルに水酸化ナトリウムを加えて加熱する加水分解。逆向きには戻らない
- 油脂 グリセリンと高級脂肪酸のトリエステル。飽和脂肪酸が多いと固体、不飽和脂肪酸が多いと液体
- セッケン 脂肪酸のナトリウム塩。親水性部分と疎水性部分をもち、ミセルで油を分散させる(乳化作用)