
芳香族炭化水素とフェノール・アニリン
カメレオン先生ベンゼン環は安定だから置換反応が主役。フェノールとアニリンは、酸・塩基としての強さが鍵だよ。
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- ベンゼン環をもつ芳香族化合物(新しいタブで開きます)は、安定な構造のため付加反応(新しいタブで開きます)より置換反応を起こしやすい。
- ベンゼン環に-OHが直接結合したフェノール類は弱酸(新しいタブで開きます)性、-NH₂が結合した芳香族アミンは弱塩基性を示す。
- フェノールは塩化鉄(Ⅲ)水溶液で紫色に呈色し、トルエンを酸化すると芳香族カルボン酸の安息香酸になる。
詳しく
芳香族化合物とフェノール類・芳香族アミン
ベンゼン環C₆H₆を骨格にもつ化合物を芳香族化合物という。ベンゼン環は単結合と二重結合が交互に並ぶ構造で表されるが、実際には6個の炭素原子間の結合はすべて等しく、付加反応より置換反応を起こしやすい安定した構造をもつ。
ベンゼン環にヒドロキシ基-OHが直接結合した化合物をフェノール類という。代表例のフェノールC₆H₅OHは水溶液が弱酸性を示すが、炭酸より弱い酸なので炭酸水素ナトリウム(新しいタブで開きます)とは反応しない。
ベンゼン環にアミノ基-NH₂が直接結合した化合物を芳香族アミンという。代表例のアニリンC₆H₅NH₂は水に溶けにくい弱塩基性の液体で、ニトロベンゼンをスズと塩酸で還元(新しいタブで開きます)してつくられる。
例:ベンゼンの置換反応とフェノールの検出
ベンゼンに鉄を触媒として塩素を反応させると、C₆H₆+Cl₂→C₆H₅Cl+HClのように水素原子(新しいタブで開きます)が塩素原子に置き換わる置換反応(塩素化)が進み、クロロベンゼンができる。濃硝酸と濃硫酸の混合物(混酸)を作用(新しいタブで開きます)させるニトロ化では、ニトロベンゼンC₆H₅NO₂ができる。
フェノールの水溶液に塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると紫色に呈色する。この反応はフェノール性ヒドロキシ基をもつ化合物に共通する検出反応で、アルコールのヒドロキシ基では見られない。
トルエンC₆H₅CH₃を過マンガン酸カリウムで酸化すると、側鎖のメチル基が酸化されて芳香族カルボン酸の安息香酸C₆H₅COOHになる。ベンゼン環は酸化されにくく、側鎖だけが酸化される。
置換反応が主役になる理由
ベンゼン環が付加反応より置換反応を起こしやすいのは、6個の炭素原子間に広がった安定な電子の分布(非局在化)が壊れにくく、水素原子だけを置き換える方が構造を保てるためである。
フェノールが炭酸水素ナトリウムと反応しないのは、フェノールの酸としての強さが炭酸より弱いためである。炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素(新しいタブで開きます)を追い出せるのは、炭酸より強い酸に限られるのだ。
アニリンが弱い塩基性を示すのは、アミノ基の窒素原子がもつ非共有電子対(新しいタブで開きます)が水素イオン(新しいタブで開きます)を受け取れるためである。ただしベンゼン環に電子が引き寄せられる影響で、脂肪族アミンより塩基性は弱い。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/aromatic-hydrocarbons-phenol-and-aniline/?from=print#quiz
ベンゼンが二重結合をもつのに、付加反応より置換反応を起こしやすい理由に関係する語はどれか。
- ◯ 還元性
- ◯ 不斉炭素原子
- ◯ 非局在化した安定な電子の分布
- ◯ 強い酸性
正解:非局在化した安定な電子の分布
ベンゼン環は6個の炭素原子間に電子の分布が広がって非局在化した安定な構造をもち、これが壊れにくいため、水素原子(新しいタブで開きます)だけを置き換える置換反応(新しいタブで開きます)の方が起こりやすい。フェノールの水溶液に塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えたときに起こることはどれか。
- ◯ 黄色沈殿を生じる
- ◯ 白色沈殿を生じる
- ◯ 紫色に呈色する
- ◯ 二酸化炭素が発生する
正解:紫色に呈色する
フェノール性ヒドロキシ基をもつ化合物(新しいタブで開きます)に塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると紫色に呈色する。アルコールのヒドロキシ基ではこの反応は見られない。フェノールが炭酸水素ナトリウム水溶液と反応しない理由として正しいものはどれか。
- ◯ フェノールが塩基だから
- ◯ フェノールの酸性が炭酸より弱いから
- ◯ フェノールが中性だから
- ◯ フェノールが還元性をもつから
正解:フェノールの酸性が炭酸より弱いから
フェノールの酸としての強さは炭酸より弱い。弱酸(新しいタブで開きます)は、より強い酸の塩(新しいタブで開きます)から追い出されることはあっても、弱い酸どうしでは置き換わらないため、フェノールは炭酸水素ナトリウム(新しいタブで開きます)からCO₂を発生させない。トルエンC₆H₅CH₃を過マンガン酸カリウムで酸化すると生じる物質はどれか。
- ◯ アニリン
- ◯ 安息香酸
- ◯ ベンゼン
- ◯ フェノール
正解:安息香酸
トルエンの側鎖のメチル基が酸化されて、芳香族カルボン酸の安息香酸C₆H₅COOHになる。ベンゼン環は酸化されにくく、側鎖だけが酸化される。
単元のポイント
- 芳香族化合物の置換反応 C₆H₆+Cl₂→C₆H₅Cl+HCl。鉄触媒の塩素化、混酸によるニトロ化など
- フェノール類 ベンゼン環に-OHが直接結合。炭酸より弱い酸で、塩化鉄(Ⅲ)水溶液で紫色に呈色する
- 芳香族アミン ベンゼン環に-NH₂が直接結合。代表例のアニリンは水に溶けにくい弱塩基性の液体
- 芳香族カルボン酸 トルエンの側鎖を過マンガン酸カリウムで酸化すると安息香酸になる