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芳香族炭化水素(ほうこうぞくたんかすいそ)とフェノール・アニリン

カメレオン先生ベンゼン環(かん)は安定(あんてい)だから置換反応(ちかんはんのう)が主役(しゅやく)。フェノールとアニリンは、酸(さん)・塩基(えんき)としての強(つよ)さが鍵(かぎ)だよ。

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  1. ベンゼン環(かん)をもつ芳香(ほうこう)族(ぞく)化合物(かごうぶつ)(新しいタブで開きます)は、安定(あんてい)な構造(こうぞう)のため付加反応(ふかはんのう)(新しいタブで開きます)より置換反応(ちかんはんのう)を起(お)こしやすい。
  2. ベンゼン環(かん)に-OHが直接(ちょくせつ)結合(けつごう)したフェノール類(るい)は弱酸(じゃくさん)(新しいタブで開きます)性(せい)、-NH₂が結合(けつごう)した芳香族(ほうこうぞく)アミンは弱塩基(じゃくえんき)性(せい)を示(しめ)す。
  3. フェノールは塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)で紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)し、トルエンを酸化(さんか)すると芳香族(ほうこうぞく)カルボン酸(さん)の安息香(あんそくこう)酸(さん)になる。

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芳香(ほうこう)族(ぞく)化合物(かごうぶつ)とフェノール類(るい)・芳香族(ほうこうぞく)アミン

ベンゼン環(かん)C₆H₆を骨格(こっかく)にもつ化合物(かごうぶつ)を芳香(ほうこう)族(ぞく)化合物(かごうぶつ)という。ベンゼン環(かん)は単(たん)結合(けつごう)と二重(にじゅう)結合(けつごう)が交互(こうご)に並(なら)ぶ構造(こうぞう)で表(あらわ)されるが、実際(じっさい)には6個(こ)の炭素(たんそ)原子間(げんしかん)の結合(けつごう)はすべて等(ひと)しく、付加反応(ふかはんのう)より置換反応(ちかんはんのう)を起(お)こしやすい安定(あんてい)した構造(こうぞう)をもつ。

ベンゼン環(かん)にヒドロキシ基(き)-OHが直接(ちょくせつ)結合(けつごう)した化合物(かごうぶつ)をフェノール類(るい)という。代表(だいひょう)例(れい)のフェノールC₆H₅OHは水溶液(すいようえき)が弱酸性(じゃくさんせい)を示(しめ)すが、炭酸(たんさん)より弱(よわ)い酸(さん)なので炭酸水素(たんさんすいそ)ナトリウム(新しいタブで開きます)とは反応(はんのう)しない。

ベンゼン環(かん)にアミノ基(き)-NH₂が直接(ちょくせつ)結合(けつごう)した化合物(かごうぶつ)を芳香族(ほうこうぞく)アミンという。代表(だいひょう)例(れい)のアニリンC₆H₅NH₂は水(みず)に溶(と)けにくい弱塩基(じゃくえんき)性(せい)の液体(えきたい)で、ニトロベンゼンをスズと塩酸(えんさん)で還元(かんげん)(新しいタブで開きます)してつくられる。

フェノールの塩化鉄(Ⅲ)による検出Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

例(れい):ベンゼンの置換反応(ちかんはんのう)とフェノールの検出(けんしゅつ)

ベンゼンに鉄(てつ)を触媒(しょくばい)として塩素(えんそ)を反応(はんのう)させると、C₆H₆+Cl₂→C₆H₅Cl+HClのように水素(すいそ)原子(げんし)(新しいタブで開きます)が塩素(えんそ)原子(げんし)に置(お)き換(か)わる置換反応(ちかんはんのう)(塩素(えんそ)化(か))が進(すす)み、クロロベンゼンができる。濃(こ)硝酸(しょうさん)と濃(こ)硫酸(りゅうさん)の混合物(こんごうぶつ)(混酸(こんさん))を作用(さよう)(新しいタブで開きます)させるニトロ化(か)では、ニトロベンゼンC₆H₅NO₂ができる。

フェノールの水溶液(すいようえき)に塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)を加(くわ)えると紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)する。この反応(はんのう)はフェノール性(せい)ヒドロキシ基(き)をもつ化合物(かごうぶつ)に共通(きょうつう)する検出(けんしゅつ)反応(はんのう)で、アルコールのヒドロキシ基(き)では見(み)られない。

トルエンC₆H₅CH₃を過(か)マンガン酸(さん)カリウムで酸化(さんか)すると、側(がわ)鎖(くさり)のメチル基(き)が酸化(さんか)されて芳香族(ほうこうぞく)カルボン酸(さん)の安息香(あんそくこう)酸(さん)C₆H₅COOHになる。ベンゼン環(かん)は酸化(さんか)されにくく、側(がわ)鎖(くさり)だけが酸化(さんか)される。

ベンゼンの置換反応Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図)

置換反応(ちかんはんのう)が主役(しゅやく)になる理由(りゆう)

ベンゼン環(かん)が付加反応(ふかはんのう)より置換反応(ちかんはんのう)を起(お)こしやすいのは、6個(こ)の炭素(たんそ)原子間(げんしかん)に広(ひろ)がった安定(あんてい)な電子(でんし)の分布(ぶんぷ)(非(ひ)局在(きょくざい)化(か))が壊(こわ)れにくく、水素(すいそ)原子(げんし)だけを置(お)き換(か)える方(ほう)が構造(こうぞう)を保(たも)てるためである。

フェノールが炭酸水素(たんさんすいそ)ナトリウムと反応(はんのう)しないのは、フェノールの酸(さん)としての強(つよ)さが炭酸(たんさん)より弱(よわ)いためである。炭酸水素(たんさんすいそ)ナトリウムから二酸化炭素(にさんかたんそ)(新しいタブで開きます)を追(お)い出(だ)せるのは、炭酸(たんさん)より強(つよ)い酸(さん)に限(かぎ)られるのだ。

アニリンが弱(よわ)い塩基(えんき)性(せい)を示(しめ)すのは、アミノ基(き)の窒素(ちっそ)原子(げんし)がもつ非(ひ)共有(きょうゆう)電子(でんし)対(たい)(新しいタブで開きます)が水素(すいそ)イオン(新しいタブで開きます)を受(う)け取(と)れるためである。ただしベンゼン環(かん)に電子(でんし)が引(ひ)き寄(よ)せられる影響(えいきょう)で、脂肪(しぼう)族(ぞく)アミンより塩基(えんき)性(せい)は弱(よわ)い。

確認問題

問題 1 / 4ベンゼンが二重(にじゅう)結合(けつごう)をもつのに、付加反応(ふかはんのう)より置換反応(ちかんはんのう)を起(お)こしやすい理由(りゆう)に関係(かんけい)する語(ご)はどれか。

確認問題(解答用紙)

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https://manazoo.com/science/aromatic-hydrocarbons-phenol-and-aniline/?from=print#quiz

  1. ベンゼンが二重(にじゅう)結合(けつごう)をもつのに、付加反応(ふかはんのう)より置換反応(ちかんはんのう)を起(お)こしやすい理由(りゆう)に関係(かんけい)する語(ご)はどれか。

    • ◯ 還元(かんげん)性(せい)
    • ◯ 不斉炭素原子(ふせいたんそげんし)
    • ◯ 非(ひ)局在(きょくざい)化(か)した安定(あんてい)な電子(でんし)の分布(ぶんぷ)
    • ◯ 強(つよ)い酸性(さんせい)

    正解:非局在化した安定な電子の分布
    ベンゼン環(かん)は6個(こ)の炭素(たんそ)原子間(げんしかん)に電子(でんし)の分布(ぶんぷ)が広(ひろ)がって非(ひ)局在(きょくざい)化(か)した安定(あんてい)な構造(こうぞう)をもち、これが壊(こわ)れにくいため、水素(すいそ)原子(げんし)(新しいタブで開きます)だけを置(お)き換(か)える置換反応(ちかんはんのう)(新しいタブで開きます)の方(ほう)が起(お)こりやすい。

  2. フェノールの水溶液(すいようえき)に塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)を加(くわ)えたときに起(お)こることはどれか。

    • ◯ 黄色(きいろ)沈殿(ちんでん)を生(しょう)じる
    • ◯ 白色(はくしょく)沈殿(ちんでん)を生(しょう)じる
    • ◯ 紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)する
    • ◯ 二酸化炭素(にさんかたんそ)が発生(はっせい)する

    正解:紫色に呈色する
    フェノール性(せい)ヒドロキシ基(き)をもつ化合物(かごうぶつ)(新しいタブで開きます)に塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)を加(くわ)えると紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)する。アルコールのヒドロキシ基(き)ではこの反応(はんのう)は見(み)られない。

  3. フェノールが炭酸水素(たんさんすいそ)ナトリウム水溶液(すいようえき)と反応(はんのう)しない理由(りゆう)として正(ただ)しいものはどれか。

    • ◯ フェノールが塩基(えんき)だから
    • ◯ フェノールの酸性(さんせい)が炭酸(たんさん)より弱(よわ)いから
    • ◯ フェノールが中性(ちゅうせい)だから
    • ◯ フェノールが還元(かんげん)性(せい)をもつから

    正解:フェノールの酸性が炭酸より弱いから
    フェノールの酸(さん)としての強(つよ)さは炭酸(たんさん)より弱(よわ)い。弱酸(じゃくさん)(新しいタブで開きます)は、より強(つよ)い酸(さん)の塩(えん)(新しいタブで開きます)から追(お)い出(だ)されることはあっても、弱(よわ)い酸(さん)どうしでは置(お)き換(か)わらないため、フェノールは炭酸水素(たんさんすいそ)ナトリウム(新しいタブで開きます)からCO₂を発生(はっせい)させない。

  4. トルエンC₆H₅CH₃を過(か)マンガン酸(さん)カリウムで酸化(さんか)すると生(しょう)じる物質(ぶっしつ)はどれか。

    • ◯ アニリン
    • ◯ 安息香(あんそくこう)酸(さん)
    • ◯ ベンゼン
    • ◯ フェノール

    正解:安息香酸
    トルエンの側(がわ)鎖(くさり)のメチル基(き)が酸化(さんか)されて、芳香族(ほうこうぞく)カルボン酸(さん)の安息香(あんそくこう)酸(さん)C₆H₅COOHになる。ベンゼン環(かん)は酸化(さんか)されにくく、側(がわ)鎖(くさり)だけが酸化(さんか)される。

単元のポイント

  • 芳香族化合物(ほうこうぞくかごうぶつ)の置換反応(ちかんはんのう) C₆H₆+Cl₂→C₆H₅Cl+HCl。鉄(てつ)触媒(しょくばい)の塩素(えんそ)化(か)、混酸(こんさん)によるニトロ化(か)など
  • フェノール類(るい) ベンゼン環(かん)に-OHが直接(ちょくせつ)結合(けつごう)。炭酸(たんさん)より弱(よわ)い酸(さん)で、塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)で紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)する
  • 芳香族(ほうこうぞく)アミン ベンゼン環(かん)に-NH₂が直接(ちょくせつ)結合(けつごう)。代表(だいひょう)例(れい)のアニリンは水(みず)に溶(と)けにくい弱塩基(じゃくえんき)性(せい)の液体(えきたい)
  • 芳香族(ほうこうぞく)カルボン酸(さん) トルエンの側(がわ)鎖(くさり)を過(か)マンガン酸(さん)カリウムで酸化(さんか)すると安息香(あんそくこう)酸(さん)になる

出典・クレジット

  • 単元の構成:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(新しいタブで開きます)(政府標準利用規約 2.0)
  • 学習指導要領の該当箇所:高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編 化学 (4)有機化合物の性質 ア(ア)有機化合物(新しいタブで開きます)(解説p.107〜108。項目(ア(ア)有機化合物 ㋐炭化水素:脂肪族炭化水素の性質や反応を構造と関連付けて理解する ㋑官能基をもつ化合物:官能基をもつ脂肪族化合物に関する実験などを行い、その構造・性質・反応について理解する ㋒芳香族化合物:芳香族化合物の構造・性質・反応について理解する)と内容の取扱い(㋑はアルコール・エーテル・アルデヒド・ケトン・カルボン酸及びエステルを取り上げ、それらの性質は炭素骨格及び官能基により特徴付けられることを扱い、鏡像異性体にも触れる。㋒は芳香族炭化水素・フェノール類・芳香族カルボン酸及び芳香族アミンを扱う)、p.107〜108の解説(脂肪族炭化水素はアルカン・アルケン・アルキンの代表的な化合物の構造・性質・反応を扱い、構造異性体や立体異性体としてシス-トランス異性体も扱う。官能基をもつ脂肪族化合物は炭素骨格及び官能基により性質が特徴付けられることや相互の関係を反応や構造と関連付けて扱い、不斉炭素原子を1個含む化合物で鏡像異性体に触れ、エステルに関連して油脂やセッケンにも触れる。芳香族化合物はベンゼン環及び官能基により性質が特徴付けられることを扱う)を6ページに分けて扱う。高分子化合物(イ)は別単元で扱うため本単元には含めない)
  • 事実データ:Wikidata の項目 Q230731(新しいタブで開きます)(CC0)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」p.107〜108(新しいタブで開きます)
  • 本文:Manazoo 編集部
  • 図(ベンゼンに鉄触媒で塩素を反応させるとクロロベンゼン、混酸を反応させるとニトロベンゼンになる2つの置換反応を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 図(フェノールの水溶液に塩化鉄(III)水溶液を加えると紫色に呈色する様子と、フェノールとアニリンの構造を示した図):Asatte Studio(Manazoo)/オリジナル(コードで作図) / 出典(新しいタブで開きます)
  • 最終確認日:

単元の並びは学習指導要領に沿って作り、年号や人物などの事実は公開データと照らし合わせています。誤りに気づいたら意見箱からお知らせください。確かめて直します。テストや受験の前には、教科書や先生の説明もあわせて確認してください。

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単元のポイント
  • 芳香族化合物(ほうこうぞくかごうぶつ)の置換反応(ちかんはんのう) C₆H₆+Cl₂→C₆H₅Cl+HCl。鉄(てつ)触媒(しょくばい)の塩素(えんそ)化(か)、混酸(こんさん)によるニトロ化(か)など
  • フェノール類(るい) ベンゼン環(かん)に-OHが直接(ちょくせつ)結合(けつごう)。炭酸(たんさん)より弱(よわ)い酸(さん)で、塩化(えんか)鉄(てつ)(Ⅲ)水溶液(すいようえき)で紫色(むらさきいろ)に呈色(ていしょく)する
  • 芳香族(ほうこうぞく)アミン ベンゼン環(かん)に-NH₂が直接(ちょくせつ)結合(けつごう)。代表(だいひょう)例(れい)のアニリンは水(みず)に溶(と)けにくい弱塩基(じゃくえんき)性(せい)の液体(えきたい)
  • 芳香族(ほうこうぞく)カルボン酸(さん) トルエンの側(がわ)鎖(くさり)を過(か)マンガン酸(さん)カリウムで酸化(さんか)すると安息香(あんそくこう)酸(さん)になる