
慣性力と遠心力
カンガルー先生慣性力は、加速している自分から見たときだけ現れる見かけの力。地上と車内のどちらの立場で式を立てるか、最初に決めよう。
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- 加速度(新しいタブで開きます)aで動く観測者から見ると、質量mの物体には、加速度と逆向きに大きさmaの力が働いているように見える。この見かけの力を慣性力という。
- 慣性力を加えると、加速する観測者の立場でも力のつり合いの式(新しいタブで開きます)を立てられる。ただし慣性力には、力を及ぼす相手の物体も反作用(新しいタブで開きます)もない。
- 物体と一緒に回る観測者から見ると、中心から外向きに大きさmrω²=mv²/rの慣性力が働いて見える。これを遠心力という。
詳しく
慣性力と遠心力
電車が急に動き出すと、車内の人は後ろへ押されるように感じる。地上から見れば人は電車と一緒に加速しているだけだが、加速度で動く観測者から見ると、質量の物体には加速度と逆向きに大きさの力が働いているように見える。この見かけの力を慣性力という。
慣性力を物体に働く力に加えれば、加速する観測者の立場でも、静止して見える物体について力のつり合いの式を立てられる。ただし慣性力はほかの物体が及ぼす力ではないので、反作用をもたない。静止または等速直線運動(新しいタブで開きます)をする観測者の立場(慣性系)では、慣性力は現れない。
等速円運動(新しいタブで開きます)する物体と一緒に回る観測者から見ると、物体は止まって見える。このとき向心力とつり合うように、中心から外向きに大きさの慣性力が働いて見える。この外向きの慣性力を遠心力という。
例題:エレベーターと回転する円板
例題1:質量50kgの人が、上向きに2.0m/s²で加速しはじめたエレベーターの床に立っている。エレベーターの中から見ると、重力Nと下向きの慣性力Nの和が、床からの垂直抗力(新しいタブで開きます)とつり合う。590Nで、止まっているときより100Nだけ強く床を押すことになる。
例題2:水平に回転する円板の上で、中心から0.20mの位置に質量0.10kgの小物体が乗り、円板と一緒に角速度4.0rad/sで回っている。円板の上から見ると、外向きの遠心力0.32Nと、中心向きの静止摩擦力(新しいタブで開きます)がつり合う。
例題3:例題2の円板と小物体の間の静止摩擦係数が0.40なら、最大摩擦力はNになる。遠心力がこれを超えるとすべり出すので、より、角速度が約4.4rad/sを超えると小物体は外へすべる。
なぜ見かけの力を考えるのか
例題1を地上から見ると、人に働く力は重力と垂直抗力だけで、運動方程式(新しいタブで開きます)からNが求まる。慣性力を使った式と同じ答えになるのは、運動方程式の左辺を右辺へ移し、慣性力を含むつり合いの式に書きかえただけだからだ。
円板の上の小物体も、地上から見れば静止摩擦力を向心力として円運動しているだけで、外向きの力は働いていない。遠心力は一緒に回る観測者にだけ現れる力なので、どちらかの立場を先に決めて、向心力と遠心力を同じ式に入れないようにする。
カーブを曲がる車の中で体が外へ押されるように感じるのも、遠心力で説明できる。地上から見ると、体は慣性によってまっすぐ進もうとしていて、座席やシートベルトが内向きの力を加えて体の向きを曲げている。
確認問題
確認問題(解答用紙)
スマホやタブレットで読み取ると、この問題をその場で解けます。
https://manazoo.com/science/inertial-force-and-centrifugal-force/?from=print#quiz
質量40kgの人が、上向きに1.5m/s²で加速しているエレベーターの床に立っている。床から受ける垂直抗力は何Nか。重力加速度(新しいタブで開きます)を9.8m/s²とする。
答え:____________
正解:452
エレベーターの中から見ると、重力40×9.8=392Nと下向きの慣性(新しいタブで開きます)力40×1.5=60Nの和が垂直抗力(新しいタブで開きます)とつり合う。N=392+60=452N。下向きに加速しているエレベーターの中で体重計に乗ると、体重計が示す値は止まっているときと比べてどうなるか。
- ◯ 0になる
- ◯ 変わらない
- ◯ 小さくなる
- ◯ 大きくなる
正解:小さくなる
エレベーターの中から見ると、上向きの慣性力が働くので、体重計を押す力は重力より小さくなる。0になるのは加速度(新しいタブで開きます)が重力加速度(新しいタブで開きます)と等しいときだけ。質量0.50kgの物体が、半径0.40mの円周上を速さ2.0m/sで等速円運動している。物体と一緒に回る観測者から見た遠心力の大きさは何Nか。
答え:____________
正解:5
遠心力の大きさは向心力(新しいタブで開きます)と同じmv²/r。0.50×2.0²÷0.40=5.0N。慣性力についての説明として正しいものはどれか。
- ◯ 地上で静止している観測者にも見える
- ◯ 観測者の加速度と同じ向きに働く
- ◯ ほかの物体が及ぼす力なので反作用がある
- ◯ 力を及ぼす相手がなく、反作用をもたない
正解:力を及ぼす相手がなく、反作用をもたない
慣性力は加速する観測者から見たときだけ現れる見かけの力で、観測者の加速度と逆向きに働く。力を及ぼす物体がないので反作用(新しいタブで開きます)もない。
単元のポイント
- 慣性力 大きさma・観測者の加速度と逆向き
- 慣性系 静止または等速直線運動をする観測者の立場(慣性力は現れない)
- 遠心力 mrω²=mv²/r・中心から外向き
- 反作用(新しいタブで開きます) 慣性力には反作用がない